laisser faire,laisser passer

人生は壮大なヒマつぶし。
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ブラーヴィ!国宝さまズ

2018-02-23 | kabukiza

歌舞伎座久しぶり・・・の気がする。

七段目が圧巻でしたがそれぞれの幕で国宝さまに感動させられました。

熊谷陣屋   結構ののしってますんで新幸四郎さんファンは目を背けてくださいw

熊谷・・・なんだあれ。中学生が歌舞伎茶屋で熊谷のコスプレさせてもらった、みたいな見た目。

年齢的に熊谷やるには不足はないんだろうけれど、圧倒的に見た目が変。台詞回しなんかは播磨屋のお仕込みなのか、ところどころちゃんとしてるんだけどね。台詞はどうしようもなかったけど、押し出しのおかげで見た目はいけてた海老蔵とどっちが酷いかというと・・・甲乙つけがたいw
そもそも、三階から見てたので私が一番好きな最初の花道の熊谷の出が見られなかったのだけど、背中と歩き方だけ見て、なにこれ高麗屋さんと思ったの。(その時点で親父のほうがやってると思ってたw)足でも痛めてるのか、ひょこひょこ軽い歩き方で。本舞台に出てきたのみたらコスプレ息子wで、なんだそうか、じゃ仕方ない(仕方なくはないw)と納得した。

というわけで、どうせ「染五郎」だからダメでしょ、という偏見ではありません。普通にダメでした。

襲名だからの豪華顔ぶれがかえってバランスを欠いていたのも結果的にマイナスだったかも。
魁春はすばらしい丸本物の演じ手だけど、中学生コスプレ熊谷と並ぶとどう見ても親子。藤の方の雀右衛門は良かったけど、芝居全体の水準をあげるだけの力もなく・・・なんだよこれ、と思っていたら

出てきましたよ。すごいのが。

てか、魁春が出てるから義経は絶対梅玉さんだと思ってたの。御簾の中から聞こえる声が・・・あれ?違う。誰だ誰だ。播磨屋でもない。(今月の出演役者の知識もないまま)。

そう来たか!の音羽屋さん!

これがいいのよ。梅玉の貴公子ぶりはちょいと欠けるけど、その分とっても情があってね。この場の義経は佐藤忠清との絡みもあって、情が重要だから、本当によかった。後半の幸四郎は前半よりはずっと見られたこともあって、途中で投げ出してお茶しに行ったりしなくてまあよかったなあ、と思えたのでした。

それにしても、新幸四郎さんはこうやって似合わない役を次々やっていくうちに、似合うようになっていくのだろうか。無理するな、とおもってしまった・・・

 

芝居前

口上代わりということでとにかくたくさん出てくる出てくる。

両花の半分より後ろは三階からは見えないので、いつものお楽しみ。声色で誰だか名乗りの前に当てる!をやってみたら友右衛門さん以外は全部わかったw私がすごいのか、友右衛門さんがすごいのかw

全員が本舞台に揃ってからは個人的に上手→下手とオペラグラスは

左升→藤十郎→我當→藤十郎と行ったり来たり。大好きさとぴーとすっかりおやせになって13代目にそっくりの我當さんはもちろんのこと、藤十郎さんに目が釘付け!

声と足腰はさすがに衰えを見せる昨今ですが・・・なんなのあの若さ美しさ!お肌!
玉三郎が衰えを知らぬ美貌と言われてるけど、そして確かに美しいけど。個人的には歌舞伎界イチの美貌(もちろん顔してね)は山城屋さんだと再確認したのだった。

まっしろや!

 

七段目

 

…本当に素晴らしかった。

大石の高麗屋さんはもちろんのこと(七段目前半のかろみは、この方にしか出せないと思う)、もう見られないかと思っていた仁左衛門の平右衛門、玉三郎のおかるコンビがもう・・・筆舌に尽くしがたい絶品。

このコンビの欠点は美しすぎて時として兄妹ではなく恋人に見えてしまうところだと思っていたのだが・・・いい意味で仁左衛門が枯れて、(玉三郎は変わらないw)、ちゃんと兄妹に見えるようになり、完成されたと思った。

個人的に玉三郎は好きじゃない。特に古典の玉三郎はどこが国の宝なんだか、と思わされることが多いのだが、少なくともこの日のおかるは、素晴らしかった。高麗屋の大星ではないが、おかるのほんらいの「かるさ」を十全に出しつつ、でもけなげさ可愛らしさは失っていない。しかし70近いじいさんのあの可愛らしさは何事だ!母さん事件です!

主役三人が絶品で、脇を固める錦語始める重鎮たち。おそらく現在歌舞伎で見られる最高水準の七段目を目撃出来たと思う。怖い物見たさで海老菊のも見て見ようかなとちらっと思わないでもなかったが、これを見てしまった後で変なもの上書きされたら大変なので、絶対見ない!と心に誓ったのだったw

 

というわけで、それぞれの幕でMVPを選ぶなら

菊五郎・藤十郎・玉三郎

全員国宝さまでしたねぇ。権威は嫌いだけど、いいものはいい。しゃーない。