laisser faire,laisser passer

人生は壮大なヒマつぶし。
楽しく気楽につぶして生きてます。

またまたエンタメはしごその2.二人のよっすぃ、または家族愛part2

2008-09-09 | kabuki a Tokio

今月の歌舞伎、通う回数は結果的に赤坂>演舞場>歌舞伎座なんだけど、楽しみにしてる度合いは逆だったりして。頭と身体って一致しないのよね(なんじゃそりゃ)。

で、いちばん楽しみだった

盛綱陣屋

 

いや~期待を裏切らないいい出来!

あえてケチをつけるなら、
吉右衛門が立派過ぎて、高綱の策を、小四郎が自害するあたりまで気づかないってのも不自然。もう少しあたふたした感じの盛綱(勘三郎とかそんな感じだった)のほうが、ラストの盛り上がり感は高まったかな。
玉三郎がなんか浮いてる。
歌舞伎味の濃い面子のなかで、一人いびられてる嫁、見たいな感じ。レベルは違うけど、赤坂の狐狸狐狸で段治郎が浮いてたのをちょっと思い出しちゃった。
早瀬と盛綱に夫婦の情が感じられないんだよね。相性ってことなんだろうか?
これは個人的な超わがままな意見ですが、福助の篝火が神妙すぎてつまらない。もっと女武道風にがんばってくれてもよかったんじゃなかろうか、特に前半。はじけると神妙にやれよ!と思い、神妙にやるとはじけてよ!と思う。
これは福助ファンが永遠に逃れられないアンビバレントな欲望なのでしゅ。

 

子役二人がともにかわいくかつ立派!
ご贔屓玉太郎くんは(もうちゃんじゃ悪いみたい!)花道の見得もしっかりできていたし、いちばん不安だった(きっと芝翫さんも)小四郎役の宜生が思いのほかしっかりしていて。三越も含めて、はっしー三兄弟、今月なかなかのがんばりぶりですね。

とりあえず、小四郎くんはきっちり台詞を覚えてください。
盛綱さんはろれつを回してください。しばらくがらきたろう、笑いました。
微妙さんは足元大丈夫ですか。
早瀬さんは盛綱さんにかわいがってもらってください。
篝火さんはも少し元気でもいいですよ。
そして、小三郎くん・・・そのままでいいよ!お口がとんがってるのもかわいい!

 

とぐちゃぐちゃいいながらも、全体としてはとても満足できる盛綱陣屋でした。
こういうのが見たいんだよ!!!

 

鳥羽絵

 

まあ、テーマは家族愛!の一環ってことで。
ひとことだけ言うと、同じ短い舞踊なら富十郎一人のものが観たかった。
親子愛大会は富十郎の後援会ででもやっててください。

後見の京蔵、大ちゃんが出てくるときは必ずこの人が後見だよね。
なんか好かれちゃってる?好いてる?
ある意味大ちゃんの、天王寺屋の将来が心配なような楽しみなような・・・

 

河内山

 

うーーーん

 

なんつか、吉右衛門一人、無駄に巧い。

本当に巧い。感心する。

 

だけど、芝居としてはつまんない。

 

そんな感じ。

 

脇では家老役の左團次ほうが、明らかに北村大膳役の由次郎より悪いでしょう!
しかも松江候の染五郎がまた、色狂いの青髭公爵に見えてしまって!(見たまんまかい!)
アホだけど愚直でまじめな由次郎を全員でよってたかっていじめてる!の図に見えてしまったのはあたしだけ?

大詰めのぶぅわぁかーめー!!!

は本当は大膳に言っているように見せて、陰にいる松江候に言ってるんだと思うけど、昨日のsituationだと、ただただ由次郎を馬鹿にしてるように見えちゃったよ。

家老を歌六にするとか、(大膳は左團次)出来なかったのかなあ。いつもの吉右衛門軍団に左團次が加わって、かえって変なことになってしまったという座組みの妙(本当に妙)でした。

 


またまたエンタメはしごその1.半蔵門の猿と狐

2008-09-09 | spectacles

文楽に通いだして日が浅いので、初めて(たぶん)の襲名興行。三味線方の燕三の襲名もあったけど、そのときは見てないと思うのだ。

歌舞伎みたいに華やかさはないけれど、通常では聞けない人形遣いさんの肉声が聞けたり、口上は楽しかった。前一列にお偉いさんが並び、後ろには弟弟子?たちが並ぶ。本人は一言も口を利かないのがちょっと物足りなかったけど。
蓑助さんの、不自由ながら一生懸命の「清十郎と文楽をよろしくお願いモウシ~アゲ~タテマツリマス~」にはちょっと泣けた。

 

順番が逆になりますが、この口上の後、襲名狂言

本朝二十四孝(十種香・奥庭)

勝頼を遣うのが蓑助、濡衣が文雀。二人の国宝に見つめられつつ八重垣を遣うって・・・名誉でもあるけれど、さぞかしど緊張なんだろうな。
清十郎、清之助時代から思っていたけれど、いわゆる「行儀のいい」遣い手さんなんですよね。ポーカーフェイスで人形に感情移入するというよりは、あくまで遣い手に徹する。
脇をやっているときには凄く好感を持っていたのだけれど、主役をやるときは、ある意味サービス精神を兼ねてもう少しドラマチックにやってみてもいいんじゃないだろうか。

人形浄瑠璃はあくまで浄瑠璃を聴くのが主、人形は従、という考えには賛成だけれど、今の観客の多くはどうしても人形を見て筋を追うわけで。ってことはついでに人形遣いの顔も見ちゃうわけで。
人形遣いの顔は関係ない!という信念があるなら、ずっと黒衣をかぶっててもいいわけで(実際そういうこともあるしね)。

この感想は実は、奥庭でより強まったのだ。
襲名サービス?バージョンで左遣いに勘十郎さん、足遣いに清五郎さん(たぶん?違ったらすみません)が顔出しで出てたんだけど、勘十郎さんの思いいれたっぷりのおおきい(これも要因)顔を見ていると、こちらが主遣いみたいに見えてしまって。
裃着て真ん中にいる清十郎さんの存在感が・・・
これは勘十郎が悪いのではなく、清十郎が悪いのでもなく、双方のキャラのせいだとは思うんですが。

最後の最後に一門の兄弟弟子がFIVE FOX(コムサデモードか!)で顔だしで並んだところは襲名ならではで、楽しかった。

 

人形遣い襲名なのでlavieにしては珍しく人形に注目しちゃいました。

嶋大夫よかったです。
ところで、三味線の人間国宝といえば寛治はちゃんといたけれど、清治は最近見ないのだが。好きなんだけど、どうしちゃったんだろう??
まだ若いはずなんだけど。

 

と、これが最後で、最初に

近頃河原の達引

 

猿回しの段しか、歌舞伎では見たことがないのだが、それに四条河原の殺し場がつく。文楽で歌舞伎の補填勉強をよくさせてもらうのだが、まあこの殺し場は、見なくても想像がつく程度のもので、やや退屈でした。

住大夫の鳥辺山(猿回しの段でのいれごと)を楽しみにしていたのだけれど、やっぱりもうきついのかねぇ。昨日が特に調子が悪かったということだといいんだけど。
高音が苦しいだけじゃなくて、声量も・・・

逆に世話の語りになったらさすがに聞かせてくれたんだけど。詠ったり張ったりは、さすがに衰えが隠せない。

ラストの猿夫婦の踊りはとても楽しかった(長かったけど・・・)。この人形を遣っているのが終始黒衣の遣い手なんだけど、あの技術は主遣いの人なんじゃ?とか思ってしまった。初心者ゆえ、誰なのかまったくわかりませんでしたが。