錯乱坊の彷徨える日々

フィールドでの出会いに癒しを求めて…

報われた年になりました

2021年03月15日 | 昆虫・植物

ここでのお話は先の“弥生に飛んだ”クロツに関する続きになるのですが、むかーし、昔、その昔・・・・
そう、今から30年以上前の話かなぁ?
道路の拡張と、その道路に接続するトンネル工事で海に面した岬状の突端だけを残して切通された。
そして、その海岸に突き出た部分にはベンケイソウ科のツメレンゲが自生し、それに依存するようにクロツことクロツバメシジミが生息していたものだから、その後の話はご想像の通りですよ。
もちろん他にもクロツの自生地はある。
あったけど・・・・
過疎化に伴う集落の消失によってツメレンゲが自生は藪に覆われ、また別の場所では住宅であったためにコンクリートで覆われたりして発生地が消えた。
で、そこへトドメを刺したのがトンネルで出入り口の補強工事でポツポツと散在していたツメレンゲの壁面は削られてコンクリートで固められてしまったんだなぁ。


だから・・・
その後は道路と海岸の間に残された、ちよっとした部分に残ったツメレンゲで発生したと思われるクロツが僅かに確認されてはいたものの、中には海岸に吹かれる中でのことなので全てが本当にクロツであったかは疑わしい。


そこで・・・
この僅かに残った部分から落下したツメレンゲを切通された反対側の法面に張られたフェンスを登り、毎年のように移植してみたけど、ここは白亜紀に堆積した姫浦層群の地層のために風化によって大豆ほどの大きさに砕けてボロボロと剥げ、そこへ風雨によってツメレンゲが法面から落下する。
でも、落ちても頑張るド根性のツメレンゲもあるのはあるけど・・・・
最終的には埋もれてしまう。
こうなると、もう焼け石に水。
でも、指を銜えるだけで何もしないよりはマシ。


そして、このころから役場やボランティアという強い味方を得た。
そこで地元の土木会社からコンクリート製のU字溝廃材をいただき、それを法面に添うように並べて落下したツメレンゲをボランティアの力を借りて移植してみた。
が!


そんな直ぐに結果か出るわけがない。
一年、二年と時が過ぎ・・・
三年目が過ぎても思うような結果が出ない。
そのうちに、この移植活動が本当に正しかったのかと・・・・
すると!


移植活動をしていたボランティアさんの一人が『クロツバメシジミってこれでかぁ?』って。
なにせ、これまでの活動で初めて見るものだから、それがどうか疑心暗鬼。
おまけに止まってる。
そう、これですよ‼
すると、ここにも・・・・
あっ!そこにも。
ほらほら、ここでも飛んでる。
そして、道をはさんだ反対側の法面からも聞こえてくる・・・・


そうなると初めて目にするクロツバメシジミの撮影会が始まる。
そして・・・
入れ代り立ち代りして、その後は自身が撮影した渾身の一枚を見せあってる。


それに奮起した方々は再び撮影にトライ。
ん?
ん・・・・
移植作業はどうしたのかなぁ?
でも、これって皆さんが出した結果なんだら、ここは少しばかり後回しにしてもイイかぁ。


あの環境を無視した工事から30有余年。
ここに至るまで長かったぁ・・・・
そして、この戻ってくれたクロツが我が子のように可愛く見えた。
けど、我が身はジイさんへと変わった。
来年も・・・
そして、これからも元気に飛び回るクロツの姿が見られますように。
※クロツが生息する近隣の竹島などは個人所有の島なのでチャーター船を用いた無断上陸はできません。


そんなこんなで・・・
ジジイは昨日の夜遅くに、この福岡県の端まで帰ってきましたよぉ。

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