倉野立人のブログです。

日々の思いを、訥々と。

「空き家問題」 実際の課題

2020-08-23 | 日記

8/22 Sat.

 

この日、長野市役所北庁舎の「市民交流スペース」で『空き家 ワンストップ相談会』が行なわれ〝見学〟に足を運んだのですが、その内容が、当初 私がイメージしていたものと異なっており、そのこと(イメージギャップ)が 逆に、私に新たな認識を与えてくれることになったのでした。

 

 

 

 

「空き家問題」については、人口減少・高齢化が伸張する中、ここ長野市のみならず 全国各地域での〝悩みの種〟になっているのは ご案内のとおりであります。

特に 戦後から「核家族化」が進み、多世代の家族の同居は減る一方です。家を継いでもらいたかった跡取り世帯が別個(べっこ)に家を建てて居(きょ)を構えることにより、それは いま現在の世帯(年寄り夫婦)が住む家が その者(老夫婦)が住まなくなった時点で〝空き家化〟することを現しており、そしてそれは近年 まさに右肩上がりの社会問題となっております。

 

 

 

 

地域のそこここに「主(あるじ)」を無(亡)くした空き家が遍在するようになっており、それは 年月の経過と共に 倒壊を伴う〝危険空き家〟ともなり、看過できない事態に至っています。

 

 

(写真は資料)

 

 

 

一方で 空き家の譲渡を進め、新たな主の下で〝第二の役割〟を果たす物件や、若い感性でリフォームを行ない、新たな〝まちの拠点〟として活用される事例もあり、空き家のもつ功罪は さまざまな面アリ といったところです。

 

(写真は資料)

 

 

 

かかる「空き家問題」については、行政(自治体)も重要視することとなっており、長野市においては 建設部建築指導課に「空き家対策室」を設置し、取り組みを強めています。

 

 

 

 

また一方 別の視点…空き家を 市の定住(移住)人口を増やすための〝重要ツール〟と位置づけ、市内にある空き家を内外に広く紹介することにより 長野市に住んでいただこうという主旨で、企画政策部 人口増推進課が「移住・定住相談デスク」を設置、空き家の解消&定住人口増を期して行政活動を行なっています。

 

 

 

 

 

また 最近では「相続問題」に起因する 空き家問題の解決のお手伝いを、と、「長野県司法書士会」が国土交通省の支援を受けて、地域で連続講座を行なうと共に「空き家問題から考える 未来の地域づくり」としてシンポジウムを開催するなどして、空き家問題を〝自分事〟として捉えていただくべく積極的な取り組みを行なった事例もあります。

「空き家問題から考える 未来の地域づくり」シンポジウム記事

              ⇓

https://blog.goo.ne.jp/kz2df777/e/cbcc69fdc6a6bc3872c74a25f5df6d57

 

 

 

 

このように 都市空間における「空き家問題」は、現下の社会における課題を ときに象徴するような〝多面性〟を有しているところですが、こと この日の「空き家ワンストップ相談会」は、どちらかと言えば、市域内における空き家の「負の面」について 市民の相談に応じるものでありました。

 

 

 

 

当初 私が、長野市HPで開催を知った瞬間には「市民交流スペース」で行なうイベントということで、何というか「オープンセミナー」的な内容を想像したものでした。

しかし、実際に会場(市民交流スペース)に足を運ぶと そこは完全にパーティションで仕切られており、相談は 完全予約制の〝個別型〟になっておりました。

相談を希望する人は 時間に合わせて受け付けを行ない、個別スペースに案内されて 個々(世帯)の抱える「空き家問題」について相談し、アドバイスを受けるというものです。

 

 

 

 

受付の職員に訊くと、この日の相談は 相続・相続放棄・解体・筆(所有権)について など、いわば〝現実的〟な相談が殆(ほとん)どで、対応についても その場で回答できる類(たぐい)のものでは無い、とのことでした。

相談の事例とすれば、連担(連なっている)している家屋のうち、自分(の親)の名義分だけ解体したいのだが 左右の所有者と連絡が取れずに困っている とか、複数階の物件の一つの階層を(亡父が)所有しており、権利を放棄したいのだが 他の所有者との折り合いがつかなくて困っている、などの 非常に現実的でややこしい課題があるとのこと。

この日の相談会は、そんな〝現実問題〟を抱える市民が居られること、そのうえで〝空き問題〟の解決には、それら現実的課題を具体的に解決しないことには、それより先に進めないこものであることを示しているものでした。

 

 

 

現在 長野市には、8,000軒をゆうに超える空き家が遍在しており、その数は 今後も増えつづけることが想定されています。

これから数を増すであろう「空き家」この社会的命題の解決のためには、空き家になってから「さあ どうしよう?」と困ってみても〝遅い〟と言わざるを得ないとのこと。

老夫婦が健在でいるうちに、自らの意思や 次世代家族の意向を話し合って〝方向づけ〟を前もって行なっておくことが非常に重要であると、担当職員も述べておりました。

 

 

現代社会に大きく横たわる「空き家問題」さまざまな視点で、積極的に しかしながら地道に取り組みを強めてゆくべきと、改めて認識を新たにした ひとときでありました。