7/17 Fri.
◇「GoToトラベルキャンペーン」物議が醸し出されています
さまざまな面で話題沸騰となっている「GoToトラベルキャンペーン」政府の〝見直し案〟が示されて以降も、各方面で物議を招いていることが伝えられています。
この日、別件で 市内で旅行代理業を営む人(Hさん)と電話をするうち、話題は 自ずと〝GoTo〟の方へ。
こちらのHさんをはじめとする 旅行代理業やホテル関係者の方々は、これまでも報じられているように「新型コロナウィルス禍」による〝甚大な被害〟を受けた事業者であります。
特に長野市においては 昨年の令和元年東日本台風も絡んで、約1年近くに亘り厳しい状況が続いており、それだけに 今般の「GoToトラベルキャンペーン」には、ひとかたならぬ期待を寄せている(いた)とのことであります。
しかしながら「業界人」でもあるHさんをして、今回の事業には困惑を隠せないでおり、今後の推移によっては かえって〝マイナス効果〟につながってしまうのではないか…と危惧しておられました。
Hさんの言葉を借りれば「今回の見直しは、コロナの感染抑止のために行なわれたんだろ。だけど、この観点からすると、この見直しでは 不明な点や不明瞭・不公平な点が多過ぎて、(業界人として)自信をもってお勧めできないんじゃないか。」とのことでありました。
今回〝最大の見直し〟となったのが「東京在住の人の旅行・東京都(都内の施設)を目的とする旅行は、割引の対象外となる」であります。
ところが一方で、例えば 東京都の隣県である神奈川県の人が、感染リスクの高い東京都を経由して旅に出かけたとしても、割引を受けることができるのです。その逆も然り、例えば長野市から東京を経由して千葉に行った場合もOKということになります。
だが 果たしてこれは「感染拡大防止」の面ではどうなのか…懐疑的な面が否めません。
また〝GoTo〟の利用者は、目的地の宿泊先などで「東京都〝以外〟から来た」旨を証明しなければなりません。
逆に言えば 東京に住んでさえいなければ、感染リスクを別にしてOK ということでありましょうが…。
しかし実際には、例えば埼玉県内に住みながら 日常的には東京都内の会社に通っている人も居られるでしょう。 ここでも 感染拡大防止の点では〝東京に住んでなければOK〟の判断に大きな疑問符が。
また 国は、感染拡大防止の名目で「若者や高齢者の団体旅行」また「宴会を伴う旅行」について「(旅行を)控えることが望ましい。」としました。
ところが、これ(団体旅行を推奨せず)では、旅行需要の大半を占めるシルバー世代の出足を鈍らせることになり、それは即ち「観光バス」の需要の伸びを妨げてしまう。
この 団体旅行を否定するかの方針は、今回の〝コロナ不況〟への救済対象の筆頭に挙げられているバス会社のメリットを著しく損なうことになる。と Hさんは指摘します。
さらにHさんは「〝高齢者〟って何歳からだ?今の社会情勢からして、まさか厚労省の定める55才を高齢者とみなすなんてことはないだろうナ。」と疑問の声を。
また Hさんは、今回の見直しで〝隠れ被害者〟が発生することを指摘し、それは この頃の報道の遡上に載ることとなりました。
「予約キャンセル問題」です。
〝GoTo〟の予告を聞き及び「だったら この際、奮発して旅行に」としてホテル等を予約した都内の人たちは、割引の消滅を知ってキャンセルに走りますが、そこに生じるのが「キャンセル料」です。
7/22の事業開始に合わせて予約した人などは、既に直近のキャンセルとなり そこにはどうしても「キャンセル料」が発生してきます。
これを〝張本人〟の国は補償せず、というのは 何とも罪な話しでしょう。
他にも、今回の見直しに伴い 新たに発生した課題(懸念材料)は引きも切らず、今後 事業を進めれば進めるほど〝トラブル〟が起こる可能性の大きさを、Hさんは憂慮しておられました。
そのうえでHさん、自らが〝業界人〟でありながら、こうも話しおられました。
「要するに、この手のイベントは 今は(開催する)時期じゃないってことサ。」
「今の 感染者の高止まりの状態では、ウチらにしても「ぜひ旅行にお出かけください。」なんて言える空気じゃない。受け入れるホテルなんかも、例え東京が除外されたって、周辺の自治体から来る人たちには どうしても感染リスクを感じざるを得ず、いろんな面で気を遣(つか)わざるを得ない。取引先のホテルなんか、支配人以下 ピリピリ(ムード)だよ。」と。
そのうえで Hさんと一致したのは、〝GoTo〟は、一旦延期して、例えば10月以降の「秋の行楽シーズン」を目処に、そのときは 東京も除外せず、一律に行なえるようにすべき。
今は〝GoTo〟に予定される予算(1兆7千億円)を取り崩してでも「コロナの収束」に向けた対策に集中し、起きつつある〝第二波〟を押さえ込んだうえで「堂々と」イベントに臨むべきではないか。(観光業者に対しては さきの「持続化給付金」のような支援も一考でありましょう)
いずれにしても、現状の中での〝強行スタート〟は、後に大きな禍根を生じさせることが大いに懸念されると言わざるを得ません。
最悪の事態は、地方の温泉旅館における〝都会由来の陽性感染者の発生〟です。
そうなれば…その悪しき風評が 温泉街全体に及ぶことや、事業そのものの評価が地に墜ちること、そして何より これ(GoTo)が、代え難い国民の健康(生命)を 国策によって脅かした愚を犯すことになるとすれば・・・。
懸念に堪えない「GoToトラベルキャンペーン」どのように推移するのでしょうか。
◇「推し店プラチナチケット事業」申込み〆切り
この日をもって、長野市が独自に コロナ禍に喘(あえ)ぐ飲食店や小売店さんなどの〝再興〟を支援する「推し店プラチナチケット」の申込みが締め切られました。
当初は PR不足などにより申込み数が低迷していましたが、その後 周知が進み、最終的に 予定されていた13万冊を超える応募があったとのこと。先ずは第一ハードルがクリアされた感であります。
そのうえで 本当の課題は、このチケットが如何(いか)に活用されるか(=個店さんの〝明日〟につなぐことができるか)であります。
既にご案内のとおり このチケット事業は、コロナ禍で客足が遠のいてしまった個店さんを支援するため、長野市が ¥5,000利用できるチケットを、希望する個店さんに無料で配布し、各店は それを¥3,000で消費者(常連さん・新規客さん)に販売、市は 差額(プレミア分)の1冊¥2,000×販売冊数分を補助するものです。
顧客さんは ¥2,000のメリットを得たうえで、もう一度・あと二度三度と お店に足を運んでいただき、その消費行動が 結果として お店の〝再興〟を支援することにつながることを期するものです。
この事業のポイントは「チケット販売・活用を〝次につなげる〟」ことに他なりません。
一見すると、チケットに付与した¥2,000のプレミア分は 消費者にとってはお得ですが、店にとっては おまけ分を市が補填するだけのことなので、プラスαの〝補助金のような旨味(うまみ)〟はありません。
私も 何軒かにお勧めする中、そういう価値観(補助金ではない)から「ウチはやらない。」と断られるところもありました。それはそれで ごもっともなところでありました。
しかし もう一方では、顧客の立場に立って考えてみると「価値観」も変わってきます。
先ずは 市の補助金を活用して、消費者(顧客さん)に「お得感」を享受していただくこと。「あの店に行ったら、¥2,000分 得をした。」と感じていただくことです。
そのうえで「得した分、もう一度 あの店に行こう。行って、得した分も含めて もう一度消費してみよう。」と思い、実際に消費行動を興していただくことです。
そして その間には、個店さんにおいては 改めての来店を感謝すると同時に、自分の店の魅力を再アピールするなどして さらなる〝つなぎ止め〟の努力を図り、一旦は遠のいた客足の復活を図る。
片や 常連さんにおいては、¥2,000もの「おまけ」を甘受したうえで 行きつけの店を応援することができ、それはまさに〝常連冥利〟というところではないでしょうか。
中には、プラチナチケットの取り扱いを聞いた〝新規のお客さん〟も来るかもしれません。個店さんにおいては、そんな ご新規さんにも気を配ることで〝新たな顧客獲得〟が図れるかもしれませんよね。
このように「推し店プラチナチケット事業」は。単なる「¥2,000得した」だけの範疇(はんちゅう)ではない〝その先〟を見越した事業であることを含み置いたうえで活用されることを 大いに期待するところであります。
いずれにしても 個店さんにおいては、1円も「腹」は痛まないとはいえ、チケットを¥3,000で売るだけではメリットは無いことを踏まえてください。
それを(顧客さんに)使い切っていただくこと、そして 二度三度と足を運んでもらい、それ以降の継続的な消費行動につなげてこそ「真の事業メリット」となることをご理解いただき、事業を活用してくださるよう お願い(ご期待)いたすところであります。