7/27 Mon.
「新型コロナウィルス禍」の中、それを承知でスタートさせた「GoToトラベルキャンペーン」ですが、あたかもそれを待っていたかのように全国で陽性感染者発生の報が伝えられており「案の定」というほかない状況に至っています。
全国で さまざまな形態で陽性感染者が発生する中、私が特に憂慮するのが「島」での陽性感染者の発生であります。
鹿児島県の与論島では、22日に初めての陽性感染者が発生して以来 まさにあれよあれよという勢いで感染の連鎖が始まり、一週間余りで30名を超える陽性感染者が報告されています。
(7/23報道映像)
このような「島」でのコロナ発生は、これまでも問題視されている「施設内クラスター」の状況に酷似することとなっています。すなわち、周囲を海で囲まれた「島」は ひとつ屋根の下でウィルス感染が始まったに等しい状況…いわば閉ざされた部屋の中に爆竹を投げ込んだようなものでありましょう。
さらに言えば、かかる「島」は医療機関(体制)が脆弱であり、おそらくは 多くの罹患者を一度に受け入れる病院は一施設 あるか無いかのところでありましょう。
そして何より「島」には 健康弱者である高齢者が多いこと そして若年者と高齢者が同居している世帯が多く「島」でのクラスターは それは即ち「家庭内クラスター」につながり、そして それは高齢者への感染につながるということが容易に想像(懸念)されるところです。
この与論島は 観光が島の産業の主体となっており、夏の行楽シーズンを迎えたこの時季 本来であれば「千客万来」多くの観光客を受け入れるときであるハズですが、降ってわいた〝島内クラスター〟の状況を受け、島の首長さんが「島に来ないでください。」との緊急メッセージを出さざるを得ない状況になってしまっています。
かかる「島内クラスター」さきには 新潟県の佐渡ヶ島でも陽性感染者が発生したことが伝えられており、与論島のような感染拡大に至らないかが憂慮されています。
この悪しき状況に「GoTo」が拍車をかけることにならなければイイが…憂慮の念は強まるばかりであります。
これら「島内クラスター問題」を一つの事例に挙げる以外にも、全国各地で 街のスナックなどの施設で複数に亘る陽性感染者発生の報が伝えられるなど、あたかも東京都の感染者の数の多さが目立っている中、その実は(コロナウィルスが)全国に飛び火していると言わざるを得ない状況が 実感として伝わってきています。
そんな厳しい状況下ですが、私は 報道などを見る中で、政府の会見での言い回しに大きな違和感を感じざるを得ません。
『緊急事態宣言』解除後、再び大きな感染の波(第2波)が来たとも言える状況の中ですが、安倍首相は「あの時(第1波)とは状況が異なる。」と述べている他 菅官房長官も「ただちに再び緊急事態宣言を発出する状況ではない。」と 楽観的とも取れる発言を重ねています。
この陰(かげ)にには、経済をも回してゆかなければならない状況や、休業補償など これ以上の手当ができない財政状況など、背に腹はかえられない事情があることが窺(うかが)えますが、それらを差し引いても 私は、これら国のトップの発言を聞くたびに さきの大戦で敗戦が濃厚になっているにも関わらず、その実態を隠して強弁を続けた姿を重ね合わさざるを得ないのです。
「わが損害軽微なり」
さきの大戦の末期、実際には 日本軍は壊滅的とも言える敗走を続ける状況に陥っているにも関わらず、国民に対しては その事実を隠し「大(たい)したこと無いよ。」と言い続け、あげく亡国の危機に至らせてしまった 当時の内閣の失政。
この事例は やや極端ではありますが、政府の記者会見での落ち着きぶりを見れば見るほど、地方の深刻な状況との「大きなズレ」を感じているのは 私だけではないハズです。
いずれにしても 国は、再びやってきた〝感染の波〟に毅然と立ち向かうべき。
前述の「島」での感染問題への対処、また首都圏での軽症者受入れのための宿泊療養施設の確保・増加しつつある重症者の病床確保・誰でも受けられる検査態勢の構築・陽性感染者を早期収容する療養施設の確保・医療従事者や保健所体制の強化・経営不安に陥る民間医療機関への支援等々、やるべきことに枚挙の暇はありません。
そんな中、政府の〝追加支援策〟の報が舞い込みました。
しかしながら、それを聞いた私は 一瞬わが耳を疑ってしまいました。
その記事によると「政府が新型コロナウイルスの感染防止策として始めた布マスクの配布事業で、介護施設や保育所など向け 布マスクを、今後さらに約8,000万枚追加配布する予定であることが厚生労働省などへの取材でわかった。」というのであります。
あれほど不評だった 通称「アベノマスク」、おそらくほとんどの国民が使わないまま(安倍内閣の閣僚・官僚も ほぼ全員が使っていない)になっている布マスクを、再び配るという無駄な事業を継続するとは。
百歩譲って言えば、当時はマスク自体が逼迫(ひっぱく)していました。しかし 今はマスク市場も安定し、店頭にも常時並ぶようになっているのはご案内のとおりであります。
なのに、なぜ今さら。
おそらくは、初期発注の分の予算分に猶予があり、(予算を)使い切るために追加発注したものと思われますが、何というか すっかり食事が終わった後に追加の料理を出してくるかの間の悪さには、半ば呆れるばかりといったところです。
国は、本当に危機感をもっているのでしょうか?
コロナ禍が再び広がりをみせる中、疑心暗鬼を深めるばかりの国の対応(姿勢)が この有様であります。