5/25 Sat.
まだ食べられるのに捨ててしまう「食品ロス」の削減を目指す「食品ロス削減推進法」が、24日の参院本会議で全会一致で可決・成立したことが「日本農業新聞」の第一面で報じられ、「食と農」の切り難い相間関係が表されていました。
わが国で、半ば垂れ流し的に発生し続けている「食品ロス」この「究極のムダ」を無くすため、永田町がようやく腰を上げたというところでしょうか。
さまざまな場面で遍在する「食品ロス」根絶に向け、政府や自治体、企業の責務のほか、消費者の役割をも定め「国民運動」として問題解決に取り組むこととしていました。
同法は超党派の議員立法(全会一致)で、公布後6カ月以内に施行されるそうで、政府に対し、食品ロス削減推進の基本方針を定めることを義務付けた外、都道府県と市町村には「削減推進計画」を策定するよう努力義務が課されるとのこと。企業については国や自治体の施策に協力し、消費者も、食品の買い方を工夫することなどで自主的に削減に取り組むよう求めているとのことです。
わが国の「食品ロス」、農林水産省によると、国内で2016年度に廃棄された食品は2700万トンをゆうに越え、このうちまだ食べることができたものは600万トン以上もあったそうです。
地球規模では飢餓にあえぐ国が現にある中、日本という国は、矛盾だらけのうちに「食品ロス」を発生させ続けています。
食料自給率が40%に届かず、多くの食材を輸入に頼りながら、一方で食品ロスを発生させている原状は、同じ国民でありながら首を傾げざるを得ません。
わが国の食品ロスの量は、国連WFP(国際連合世界食糧計画)による、世界中で8億人に上る飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食料援助量 約350万トンを大きく上回っています。
また、この食品ロス量(600万トン超)は、日本のコメ生産量(約850万トン)に追いつきそうな勢いで、いわば農家の方々の汗の結晶(の量)をそのまま廃棄しているというような状況に、日本人は、何とも矛盾に満ちた食生活を送っていると言わざるを得ないですね。
この法律については、政府をはじめ、それぞれの立場の方々に対し、一定の取り組みを求めています。が・・・
その通底には「食べ物をムダにしない」という「意識づけ」が重要であることが強く感じ取られるところであり、もって同法は「理念型法制」と言えるのではないかと思うところです。
実際にお膳に向かう当事者・食事を提供する家庭や販売する事業者など、そのときどきに「食」に関係する全ての方々が「ムダは止めよう」と心から思って行動することこそが「食品ロス」を無くすための第一義になると思うところです。
市民レベルでは、宴会などで 食べずにお酌に回る行為を諫めるための「30・10(さんまる・いちまる)運動」や、家庭で購入したまま使われないでいる食材を他者に寄付する「フードバンク・フードドライブ」などが緒に就き、事業所においては、大手コンビニが 期限切れ間近の食材の値引き販売を検討することが報じられるなど「食品ロスの撲滅」に向けたさまざまな取り組みを耳にするようになり、喜ばしい限りです。
併せて、前述のとおり「日本農業新聞」が この話題を第一面に載せたように、国民一人ひとりが、食の大切さに=農業の大切さ に目を向け「地産地消」などの地場農産品を積極的に購入し、もって日本農業の「復権」に寄与していただきたいと願うところです。
いずれにしても、国民生活の根幹に関わる食生活の真の向上のための「食品ロス削減」、今回の法整備に併せて進捗することが大きく期待されます。
ところで、この法整備に尽力された 永田町のセンセイ方におかれては、このような時機を得た法律をせっかく成立させたのだから、これが国民生活に浸透し、実際に食品ロスの削減につながるよう、あらゆる機会を通じて啓蒙すること、また各自も あまたある宴席に出席する際は 食べ残しすることのないよう、自覚ある行動を求めたいものです。
国民にとって、不毛の議論は もうお腹いっぱい。たまには「実践」で示してほしいと願うのは、私だけではないでしょう。