興趣つきぬ日々

僅椒亭余白 (きんしょうてい よはく) の美酒・美味探訪 & 世相観察

ビールを飲んで涙が出ますか

2006-03-06 | 美酒・美味探訪
 わたしの経験から言えば、昔はビールをグイッと飲むと、そのすぐあと目頭に涙がにじんできたものである。
 感情的なものではなく、反射的というか、いわば生理的な反応であった。とくに最初の一杯がそうであった。
 ところが、ここ数年、いや十数年、いやもっとかな、わたしはビールを飲んで涙が出たことがない。
 ビールの味が変わったのか、わたしの感受性がにぶったのか、たぶん、にぶったのだろうと思っていた。

 最近、Yomiuri Weekly(2001.5.27号)を見ていて、こんな記事に出会った。
「1960年代後半、冷蔵庫の普及とともに、ビールはハレの日の飲み物からお父さんの晩酌へと位置づけが変わった。それに合わせ、コクや苦みの強い重厚なものから、清涼感を重視した味へと変わっていった」
(超ロングセラー商品の秘密)
 つまり、ビールの味が変わったのである。

 そういえば小さいころ、(いたずらで)飲んだビールは苦くて飲めたものではなかった。その後、長じて飲んだビールは、うまいと思ったが、涙を誘発した。ビールは、かつては今よりホップを効かせていて、それが涙腺を刺激したのではないだろうか。

 ビール製造各社に一つ提案がある。新商品開発の際、昔の苦みの強いビールをラインナップのひとつに加えてはどうだろう。
 年配者は懐かしさもあって、若者は「新しい味だ」などといって、喜んで迎えてくれるにちがいない。
 その広告のキャッチフレーズは、これできまりだ。

 “涙の出るほどうまいビール新登場”

2001.5.26

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