興趣つきぬ日々

僅椒亭余白 (きんしょうてい よはく) の美酒・美味探訪 & 世相観察

「王になった男」

2013-04-08 | 時には芸術気分

韓国映画「王になった男」を、新所沢の「新所沢レッツシネパーク」に
見にいってきました。

大変おもしろい映画でした。
朝鮮王朝時代、第15代王・光海君の影武者になったという男の話です。

王と道化男という、まったくキャラクターの違う二役を、主演のイ・ビョンホン
見事に演じきっていました。

たまたま王の代役をさせられた男が、民を忘れ利権に凝り固まり、王毒殺や
王妃追放の謀略をめぐらす重臣たちと渡り合います。


緊張感に満ちた展開ながら、時折リアリティのあるユーモアも織り込まれています。

練り上げられた脚本と、イ・ビョンホンを中心とした俳優たちの名演技。
世界的に見ても、おそらく近年指折りの秀作であろうと感じました。

 

 

 

 

 

新所沢には初めて降りましたが、駅近辺はマンションが多く、広い公園もあり、
とても都会的できれいな町でした。

住宅地として新しく開けた街なのですね。

 

 




新所沢レッツシネパークやPARCOのある西口と反対側の、東口方面を駅から見下ろすと、
タクシー乗り場が見えました。

止まっていたのは、なんと白い色のタクシーばかり。

これがほんとうの ‘白タク’ です。


「妖怪道中膝栗毛シリーズ」の第4巻が出ました!

2012-12-01 | 時には芸術気分

児童書の新刊を一冊ご紹介します。

大好評 「妖怪道中膝栗毛シリーズ」 第4巻。

道中膝栗毛 肆(四) 船で空飛ぶ 妖怪クルーズ
 (三田村信行・作 十々夜(ととや)・絵 あかね書房・刊)

逃亡した妖怪の頭領・山ン本(さんもと)五郎左衛門を追って、
江戸時代にタイムスリップした蒼一、夏実、信夫、三人の、
京に向けた東海道の旅。 今回は岡崎、鳴海、宮、桑名を行きます。

岡崎では月下美人に宿った花の妖怪 「玉蘭(ぎょくらん)」 事件に遭遇し、
鳴海では蟒蛇(うわばみ)妖怪を始めとしたたくさんの妖怪たちに出くわします。

そして、宮から桑名への七里の渡しでは、海の妖怪 「海坊主」 に襲われます。
大男、海坊主が持ち上げ、宙にぶん投げた四十人乗りの船には、蒼一たち三人も乗っていました・・・。

読者を 「ありえない世界」 にぐいぐい引き込む作者の筆は、ますます快調です。

http://www.akaneshobo.co.jp/search/info.php?isbn=9784251045140


Someone To Watch Over Me.

2012-08-11 | 時には芸術気分

去年くらいから、マンション「PROUD」のテレビコマーシャルのバックに流れていた曲が、ずっと気になっていました。
(聞いたことがあるけど、なんという曲だろう?)

とても美しい曲です。
それがようやくわかりました。

Someone To Watch Over Me」 (誰かが私を見守っている) という曲です。
ジャズのスタンダード曲として広く演奏され、多くの歌手に歌われているようです。

Allison Iraheta の歌で、まず聴いてください。
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=px0jfHoGTGQ#!

なぜ、この曲の名前がわかったかというと、 「THE BEST OF JAZZ」 というCDを二ケ月ほど前に手に入れたからです。(上の写真)

二枚組CDの二枚目に入っていました。


そこで歌っていたのは、エラ・フィッツジェラルドです。
http://www.youtube.com/watch?v=TYEeAOTIQ2c&feature=related


Allison Iraheta もすばらしいのですが、おだやかな歌い方で、わたしはこちらのほうが好みです。


この Someone To Watch Over Me は、 「パリのアメリカ人」 の作曲家として有名なジョージ・ガーシュウィンの曲だったのですね。

ほんとうに、名曲だと思います。 ガーシュウィンに 乾杯

                


好評児童書「妖怪道中膝栗毛シリーズ」第3弾発売!

2012-06-04 | 時には芸術気分

大好評の創作童話 「妖怪道中膝栗毛シリーズ」 の新刊です。

道中膝栗毛  旅はみちづれ 地獄ツアー
 (三田村信行・作 十々夜(ととや)・絵 あかね書房・刊)

妖怪の頭領・山ン本 (さんもと) 五郎左衛門を追って、江戸時代にタイムスリップした小6の蒼一、夏実、信夫三人の、京に向けた東海道の旅は続きます。

今回三人は、浜松の宿で 「運び屋妖怪・黒ぶとん」 につかまり、地獄の入口、三途の川まで運ばれてしまいます。
そこにいたのは 「妖怪・奪衣婆(だつえば)」。 三途の川のほとりにいて、死んだ人の着物をはぎ取る鬼婆です。

亡者として閻魔大王のところに連れていかれそうになった三人。 はたしてその運命や、いかに?


作者の筆はますます快調。 登場するキャラクターたちが生き生きと活躍し、宿場町や街道筋の様子も目に見えるようです。

シリーズ三巻目ながら、各巻それぞれで完結。 どの巻から読み始めても大丈夫です。
小学校中学年から大人まで。 お薦めします。

http://blog.goo.ne.jp/kyusan2/e/369185323b8dc230df2135f85a08e949


クラシックギターのミューズ

2012-04-08 | 時には芸術気分


今、ギタリスト 村治佳織 の演奏を、CD と You Tube で聴きこんでいます。

クラシックギター界の美人ギタリスト、村治佳織のことは前から知っていましたが、キレイだから人気があるのだろうというくらいにしか思っていませんでした。
ところが先日、たまたま You Tube で彼女の演奏をあれこれ聴き、すっかり心惹かれてしまいました。

美貌の故にではありません(それもありますが・・・)。 その確かな演奏技術と豊かな音楽性の故にです。

曲目もスペインの古典的なギター名曲だけでなく、クラシックの小品やポピュラーのスタンダードなどにも選曲の幅を広げています。 そのどれもが美しく、爪弾かれる一音一音が胸にしみます。

村治佳織は容姿だけでなく、演奏しているときの表情も凛として美しい。‘クラシックギターのミューズ(音楽の女神)’といわれているのも納得です。


ところで話は変わりますが、実はわたしも遠い昔、クラシックギターをやったことがあります。
結構一生懸命練習をしたのですが (うるさいといって下宿を追い出されたこともある)、 結局上達せず、3年ほどでやめてしまいました。

ミューズは、わたしには微笑んでくれなかったのです。


 ↓ You Tube で、村治佳織演奏の「Le ciel~空~」。
http://www.youtube.com/watch?v=1OfeOsiXhdA&feature=endscreen&NR=1


北緯36度線、地球の風景

2012-03-02 | 時には芸術気分


『えほん 北緯36度線』
(小林 豊 ・ 作/絵
 をご紹介します。

東京から地球をまっすぐ西へ、 「北緯36度線をぐるりと辿る旅」 の絵本です。

港町、歴史を刻む木造家屋の町、レンガ造りの家の建つ大陸内部の町、砂漠の町、戦火の傷跡の残る町・・・さまざまな地域と、そこに暮す人々の姿が描かれています。
著者の小林豊画伯は、各地域のそれぞれ特色ある景観のみならず、その中で生きる人々の生活の匂いまでをも写し取っています。

生きる喜びとは何か、人と人との連帯とは何か・・・この絵本は、格調高い絵を通してたくさんのことを語りかけてきます。









1999年、今から13年ほど前に初版が発刊されたものですが、上野公園の 「上野の森美術館」 で開催中の 「北緯36°線 の風景 小林 豊展 (日本画と絵本原画) を、昨日訪れるまで、この絵本のことは寡聞にして知りませんでした。








上野の森美術館 です。

ここで今開かれている 「北緯36°線 の風景 小林 豊展」(来週火曜日、6日まで) には、 『えほん 北緯36度線』 の原画のほか、小林画伯が世界を回って素材を求めたタブロー(絵画作品) の力作も多数展示されており、きわめて充実した展覧会となっています。

なお、 『えほん 北緯36度線』 は、ポプラ社・刊、定価:本体1300円。 「北緯36°線 の風景 小林 豊展」 の売店でも購入できます。








上野公園の桜は、まだ開花の兆しがありません。
今年は寒かったせいか、2月に咲くといわれる寒桜もまだ蕾の状態でした。


平清盛の実像は

2012-01-08 | 時には芸術気分

 

本を一冊ご紹介します。

『平清盛』 (三田村信行・著/ポプラ社・刊/定価:本体650円)

平清盛といえば、権勢におぼれ驕り高ぶった ‘悪人’ というイメージがとても強いのですが、本当にそうだったのでしょうか。

最近の研究では、清盛は、昔ながらの古い意識や慣習にしがみつく貴族社会に揺さぶりをかけ、宋(今の中国) との交易を拡大させるなど世界にも目を向けた、きわめて革新的な政治家であったことが明らかにされてきているといいます。

本書 『平清盛』  は、そのような新しい研究もふまえ、平安時代末期、平家一門を栄華の頂点にみちびき、政治の実権をにぎり、夢を抱きつつ歴史を大きく動かした平清盛の波乱の生涯をいきいきと描いています。

若い頃、瀬戸内海の海賊討伐に出た折の、若大将清盛の兵士たちに対する細かい心遣いなどを読むと、清盛に対する悪人イメージがいっぺんで吹き飛ぶに違いありません。


子供向けの本ではありますが、子供の本といって侮ることなかれ。 読んで面白いだけでなく、保元・平治の乱から壇ノ浦の合戦にいたるまでの、さまざまな出来事の背景と複雑な人物相関関係が大変よくわかります。

NHKの今年の大河ドラマは 「平清盛」。 本書が信頼のおける格好の解説書にもなること請け合いです。


「妖怪道中膝栗毛シリーズ 2」 発刊!

2011-12-11 | 時には芸術気分


児童書の新刊をご紹介します。

道中膝栗毛 弐 よろずトラブル 妖怪におまかせ
  (三田村信行・作 十々夜・絵 あかね書房・刊)

妖怪道中膝栗毛シリーズの二巻目です。

江戸時代の大妖怪・山ン本(さんもと)五郎左衛門を追って、江戸時代にタイムスリップした小6の蒼一、夏実、信夫の三人は三島の宿を後にし、引き続き東海道を京に向け旅します。

今回は、なんとドラキュラと五郎左衛門の決闘場面があったり、大井川の主である(妖怪)川姫に夏実が跡継ぎにと見込まれ、さらわれそうになったり・・・。

(嘘でしょ)
と思うほど奇想天外なストーリー展開ながら、ぐいぐい引き込まれます。 面白いだけでなく、感動させられたり・・・。
わたしなど電車で、乗り過ごしそうになったくらいです。

作者が大嘘をつき、読者がそれをわかっていて乗せられる・・・。 エンタテインメント文学の醍醐味ですネ。

子供に「本を読め」とお説教する必要はない。ほんとうに面白い本が、本好きな子を育てます。

http://blog.goo.ne.jp/kyusan2/e/189ca162d7ee61449568b35795c6cda5


「妖怪道中膝栗毛シリーズ」創刊!

2011-06-17 | 時には芸術気分

児童書の新刊を一点ご紹介します。

道中膝栗毛  のはじまりは タイムスリップ
  (三田村信行・作 十々夜(ととや)・絵 あかね書房・刊)

「妖怪道中膝栗毛シリーズ」の第一巻です。

舞台は西暦2110年、未来の日本です。
小六の蒼一、夏実、信夫の三人は、江戸時代にタイムスリップします。
夏実のおじさんで世界的に有名な妖怪研究家・大河原博士の密命受け、逃亡を図った江戸時代の大妖怪・山ン本(さんもと)五郎左衛門を探すためです。

日本橋の呉服屋のお嬢さま・お夏、お供の奉公人・蒼太、信助に身を変えた三人は、五郎左衛門を追って東海道を京へ向かう途中、さまざまな事件に巻き込まれます。
権太坂で行き倒れ人を食う舌長姥(したながうば)につかまったり、小田原の宿で往来切手や関所手形などの入った大切な包みを全部盗まれたり・・・。

本書には江戸時代の風俗や習慣もきっちり描かれ、このシリーズを読めば、誰しもきっと江戸時代通になれることでしょう。
また、妖怪たちのほか、たくさんの人物が登場します。途中で会ったユーモラスな二人組み、弥次郎兵衛と喜多八は、第二巻以降も活躍しそうです。

定価(本体1,200円+税) あかね書房
http://www.akaneshobo.co.jp/search/info.php?isbn=9784251045119


愛犬と過ごす人生最後の日々

2011-05-15 | 時には芸術気分

岩波ホールに、ポーランド映画「木洩れ日の家で」を見に行ってきました。

木造りの古い大きな屋敷に、愛犬とともに暮らす老婦人アニェラの、凛とした生き方を描いた映画です。


会話らしい会話はほとんどなく、愛犬フィラに語りかけるアニェラの、いわば独り言で映画は展開します。

とはいえ、頻繁にアップでとらえた愛犬フィラの表情を見ると、
「ひょっとしてこの犬、演技しているのでは?」
と思えるほど反応が自然で、生き生きとしており、十分 ‘会話’ が成立していたように思います。


モノクロームの美しい映像の中に描かれた老婦人の日々と一つの決断。 感銘を持って見終えることができました。




http://www.pioniwa.com/nowshowing/komorebi.html
神保町岩波ホールで6月10日(金)まで


グランヴィル展

2011-04-03 | 時には芸術気分

練馬区立美術館に 「グランヴィル-19世紀フランス幻想画」展 を見に行ってきました。

19世紀前半にフランスで活躍した画家、挿絵画家、グランヴィルの作品 (出版物) を、フランス文学者 鹿島茂氏のコレクションの中から紹介しているものです。

グランヴィルの名も、この展覧会の存在も、つい先日まで知らなかったのですが、出版に詳しい友人に聞かされ、興味を持ち早速行ってきました。

“動物戯画” に見られる当時の世相を風刺した版画や出版物の挿絵など、数多くの作品を大変興味深く観ることができました。

グランヴィルは、ラ・フォンテーヌの寓話の挿絵も描いていました。
ネットで前もって一部の絵を見て、どこかで見たことがあると思ったのは、昔この寓話集で見たからかもしれません。

 



練馬区立美術館は西武池袋線中村橋駅下車徒歩3分。グランヴィル展は今月10日まで。
http://www.city.nerima.tokyo.jp/manabu/bunka/museum/tenrankai/2010grandville.html


新鮮な目で

2011-03-29 | 時には芸術気分

銀座の永井画廊に、「藤原新也の写真と書展 『死ぬな生きろ』 」 を見に行ってきました。

実はわたしは、日頃から写真家藤原新也氏の著書やブログのファン(愛読者)なのです。
社会や政治、人間に対する独自の鋭い視点が大変示唆に富むからです。

今回の展覧会では、四国を巡って撮影した88枚の写真と、それに添えた藤原氏自身の墨文字の言葉が展示されています。

「目の前にある世界を十分に感じ取り、この世に生を授かっていることの喜びを感じてほしい」
と氏自身がブログで語っているように、ただ漫然と過ごすのでなく、自分の周囲の事象を、些細なことでも新鮮な目で見ること (それが生きるということ) の大切さを教えてくれているように思いました。


氏はこのたびの東北大地震、大津波により被災した地域にも足を運び、その救援のための活動も始めています。
http://www.fujiwarashinya.com/talk/index.php


■藤原新也の写真と書展「死ぬな生きろ」
会場:永井画廊(東京都中央区銀座4-10-6)
期間:31日(木)まで
時間:11時30分~19時


『わたしの渡世日記』

2011-03-08 | 時には芸術気分

今年元日に流れた女優高峰秀子さんの訃報を、わたしは一つの驚きを持って受けとめた。
なぜなら、ちょうどその時高峰さんの本を読んでいたからだ。 『わたしの渡世日記』 である。

昭和の始め、5歳で子役として映画界にデビューして以来、戦前戦後を通じ第一線の役者として活躍した自身の波乱万丈の半生を、率直かつ歯切れのいい文章でつづったものである。

実は今から二十数年前、一時期わたしは高峰さんの夫君松山善三氏と仕事の関わりがあり、一度、こちらからの連絡の電話口で高峰さんの声を直接聞いたことがある。
なぜ高峰さんと思ったかというと、そのしっかりした声質とキビキビした語り口は、長年プロとして修練を積んできた人のものである、と素直に思えたからだ。

そのこともあってか、この 『わたしの渡世日記』 の最終部分、木下恵介監督の助監督をしていた若き松山氏との出会い、そして結婚に至るまでの経緯を読みながら、わたしは自然に目頭が熱くなってきてしまった。

複雑な家庭環境に育ち、子役としても女優としても多忙を極め、心労も多い人生であったことが読み取れるが、その筆致はサバサバとしていて明るく、出会った人たちへの感謝に満ち溢れている。

映画人のみならず、各界の著名人を含むたくさんの人々に愛され、なにより女優として昭和期、ケタ違いに多いファンにずっと愛され続けた人生であった。

高峰秀子。 享年86。 合掌。


上村松園展

2010-10-16 | 時には芸術気分
竹橋の東京国立近代美術館に 「上村松園展」 を観に行ってきました。

雅びと洗練の極致。

美しいものに言葉は要りません。




観覧料は一般1300円。
高いといえば高い。 高くないといえば高くない。

入場券売り場の窓口で、わたしの前の、年配のおじさんが、
「シルバーはないの?」
と聞いていました。

ここは映画館ではないのです。
(せめてシニアと言ってください)

*上村松園展は明日17日まで





(これはパンフレットを写したものです)

「やさしい嘘と贈り物」

2010-04-03 | 時には芸術気分

映画 「やさしい嘘と贈り物」 を観てきました。 (シネスイッチ銀座)

一人暮らしの老紳士ロバートは、向かいに越してきたチャーミングな老婦人メアリーに食事に誘われます。

デートを重ねるうち、ロバートにとってメアリーは、かけがえのない存在になってきます。
やがて・・・。

熟年カップルの純愛物語であり、家族愛の物語でもあります。 ラストには涙が止まりませんでした。

ネタばれになるので、観にいかれる方は何の先入情報もなく行かれるとよいでしょう。映画評はもちろん、できればポスターのキャッチコピーさえも読まずに・・・。





 

街角で、道の向こう側をのぞき見している少年を見つけました。
裸で、手に弓矢を持っています。

 



近づくと、少年はわたしにこう言って口をとがらせました。

「ぼく、小便小僧じゃないんだからね」
「・・・・・」

愛のキューピッドは、人の心も読むようです。 (銀座四丁目「天賞堂」角にて)