My Home Town(旧風力発電と子育て日記)

観光と風力発電と子育ての日記です。

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京都府企業局の風力発電事業について

2010-08-07 18:52:23 | 風車日記
京都府企業局の風力発電事業のことを検索して当ブロ
グに辿り着く方がいるようなので少し感想を書きます。

以下、産経新聞の記事です。

【府が4日発表した平成21年度の公営企業会計決算で、
伊根町で府が進める風力発電事業の設備利用率が同年
度は10.01%であることがわかった。前年度も11.55%
で、当初計画(21.70%)の約半分の利用率。風力発電
事業だけでは赤字決算となっている。

こうした中で、府はすでに風力発電事業の評価委員会
を設置しており、今年度中に報告をまとめる予定。

 同事業は、風車6基を備えた「太鼓山風力発電所」で
行われ、最大出力4500キロワット。施設は府公営企
業管理事務所が管理、13年度から発電を開始した。

設備利用率は、最大出力で1年間フル稼働した発電量に
対する実績発電量の割合。しかし、発電可能な風速(秒
速3~25メートル)でないと運転は行われず、15年
度には当初計画に近づく17%の利用率になったが、最
近は低迷しているという。

府は南丹市で水力発電事業も行っており、水力と風力を
合わせた電気事業会計の21年度の収益的収支は4百万
円の黒字。ところが風力だけでは4600万円の赤字で、
20年度も4500万円の赤字だった。

府は、赤字が続いていることを認識しており、評価委で
は「あらゆることを想定した議論を進めていただいてい
る」としている。】

以上、転載終了。

この件は以前も取り上げたことがあるのですが、風力発
電事業の典型的な失敗例となってしまったようです。

まず、計画の設備利用率が21.7%ということですから、
元々、あまり風況が良い場所とは言えないでしょう。
私ならこの設備利用率が推計された時点で計画に反対し
ます。理論上30%の設備利用率が推計される場所で、様
々な要因を考慮して計画設備利用率を21.7%に設定した
ということであれば考慮の余地がありそうですが、多分
そうではないでしょう。

この場所は風も乱れも強く、太鼓山という地名からも
わかるように雷も当然予想される場所です。しかもそ
れほど日本国内で実績があるわけでもない風車機種選
定など今になってみると反省(後悔?)する点がいく
つもあるのではないでしょうか。

雷が近づくと風車を止めるような仕組みも事業開始後に
取り入れたようですが、風車を止めても落雷そのものを
減らす効果はほとんど期待できないように思います。
回っているブレードは静電気を帯びるので落雷し易くな
るという人もいるようですが、しっかりとした研究結果
があるわけではないでしょう。

落雷対策に関係する会社が風車を引き取りたいという
話もあったように聞いていますが、評価委員会を設置
してからかなり時間が経っていることを考えると、意志
決定のスピードにも問題があると思います。これは京都
の問題だけではなく、自治体風車全体に共通する問題
だと思います。

風車が回らない→赤字→壊れても修理する決断ができない
→風車停止長期化→赤字拡大という悪循環に至るケース
が多いのではないでしょうか。風況についてある程度の
実績がある風車サイトでは早期復旧を目指すべきだと思い
ますが、多額の修理費がかかる場合、議会との関係もあり
決断できないのかもしれません。

詳しいことがわかれば、アドバイスすることもできます
が、自治体風車もほとんど情報が公開されていないので
順調に稼働しているのか、問題を抱えているのかさえわ
からないというのが実情です。

京都府の風車は無償でも良いのでノウハウのある民間事業
者に譲渡するか、引き受けてくれる企業がなければ撤去す
るかのいずれかしか選択肢はないでしょう。残念です。