くろたり庵/Kurotari's blog~since 2009

総務系サラリーマンの世に出ない言葉

ほんとうに得なのはどっちか?

2012-01-16 22:37:32 | 政治経済のことも考えよう
最近は消費増税法案の陰に隠れてあまり見ませんが、
「子ども手当と扶養控除ではどちらが得か」 といった記事を少し前までよく見かけました。

政府が検討している数字を試算すれば、それはすぐにわかることですが、
しょせん法律の世界ですから、「とりきめた内容」によって結果はどうとでも変わります。
内容(条件や率)によって、どちらを「得」にすることも、「損」にすることもできます。

したがって目先の損得勘定だけにとらわれていたら、本質は見えてきません。
給付金額や控除率、所得限度額などの数字や条件の前に、
「手当」とは、「控除」とは何かということを理解する必要があります。

「子ども手当」と「扶養控除」の場合、
これを簡単に言うと、「手当」とは現金を支給することです。
全員から一度集めた税金の一部を、特定の人に対して再分配することです。

一方、「控除」とは徴集する税金を減らすことです。
特定の人からは税金の一部をとらないようにすることです。

「手当」は実際に手元に現金がきますから、「もらった」という実感があります。
錯覚にすぎませんが、受給者の中には「得をした」と感じる人もいるでしょう。
しかし、「控除」は給与明細などのうえでの数字で示されるだけですから、
「徴集されなかった」という実感があまりありません。

つまり、人は「とられなかった」という不作為よりも、
「もらった」という作為のほうに、よりありがたみを感じやすいわけです。

また、「控除」を拡大すれば、国に入るお金(税収)は減りますが、
「手当」にすれば税収が減ることはありません。
「控除」を廃止して、最初に税金を取れるだけとり、
あとで「手当」という支出のバルブを調節するほうが、都合が良いとも言えます。

民主党政権が「手当」にこだわる本音は、
こんなところにあるような気がするのは、気のせいでしょうか。