年老いた実家の両親が言います。
「上司の言うことは、逆らわずになんでもきいて、
嫌われないようにしなければいけないよ」 と。
両親は日本の戦後復興を担った昭和ヒトケタ生まれ。
終身雇用があたりまえだった彼らの世代には、
「解雇(左遷)=上司に嫌われる」という構図が染み込んでいるようです。
もちろん、彼らの言うことは、間違いではありません。
しかし、いまの時代は「従順」なだけでは、会社で生き残ることはできません。
時には、上司の考えと異なっていても、自分の考えや意見を言うことも必要です。
自分の意見の正しさを主張し、認めさせることが目的ではありません。
自分が単なる「YESマン」ではなく、自分の頭で考えていることを伝えるためです。
「従順」な社員なら、代わりの社員はいくらでもいます。
かならずしも、「あなた」である必要はありません。
しかし、自分の頭で考ええたことは、ひとりひとりのオリジナルです。
「あなた」に代わる社員はいません。
上司に嫌われて冷遇されるのは、
相手の考えを真向から否定し、自分の正当性にこだわるからにすぎません。
「勝ち負け」にこだわれば、人は必ずわだかまりを持ちます。
一番大切なのは、「塩梅(あんばい)」なのです。
言い換えれば「バランス感覚」ということでしょうか。
「言わなさ過ぎてもだめ」、逆に「言い過ぎてもだめ」ということです。