マゲのカツラの襟足から地毛がはみ出ているのは我慢します。
しかし、戦国時代や江戸時代の武士やお姫様が、
「愛」だの「自由」だのという言葉を口にするのだけは我慢できません。
そんな言葉も、概念すらなかった時代に、
現代ドラマのような台詞を言わせると、時代劇はとたんにつまらなくなります。
どんなにお金をかけて時代考証をしても、
登場人物の心が「現代人」のままでは、時代劇を見る意味がありません。
視聴者は刀をさした現代ドラマが見たいわけではないのです。
同じように、戦時中を舞台にしたドラマや映画。
少年兵士が長髪で登場して、イマドキ風にセリフを言うと、
これもまた興ざめしてしまいます。
「仏つくって魂いれず」
まさにこれです。