くろたり庵/Kurotari's blog~since 2009

総務系サラリーマンの世に出ない言葉

今年の初詣スポット

2012-01-01 23:59:59 | お出かけ
年が開け、氏神様を祀る神社に初詣をしたあと、
東京都文京区にある「護国寺」に参詣に行ってきました。

「護国寺」と名のつくお寺は日本各地にありますが、
文京区音羽の「護国寺」は、徳川綱吉の母、桂昌院の発願によって、
1681年に創建された、たいへん古い真言宗のお寺です。

ここにはたくさんの文化財や遺構が残っていますが、
特に観音堂(本堂)は都内にありながら、幾多の地震や火災、戦渦をくぐりぬけ、
創建当時の姿を残している貴重な建物です。

都内に現存する木造建築としては、本堂は最大最古のもので、
私の、最近のお気に入りのウォーキングスポットなのです。

(写真はクリックするとすべて拡大します)
      
 大通りに面した仁王門          仁王門から不老門への参道

仁王門は元禄時代の建築と伝えられているそうです。
元旦なのでいつもより人出が多く、賑やかですがそれほど混雑していません。


      
 護国寺観音堂(本堂)

石段を登り切ると、広い境内に大きな観音堂(本堂)が現れます。
観音堂は元禄10年(1697年)の建築だそうで、国の重要文化財に指定されています。
本堂は中に入って拝観することもでき、創建当時の彫刻や奉納絵馬、
大小さまざまな仏像を見ることができます。
(堂内は撮影禁止なので、写真はありません)

      
300年以上の風雪に耐えた木造建築は、さすがに風格が違います。

      
 大師堂(左右の写真とも)

大師堂は真言宗の開祖、弘法大師を祀ったもので、
元禄14年(1701年)に築造された旧薬師堂を大正15年に改修移築したものです。
普段は開帳されていませんが、今回はお正月とあって堂内まで入れました。


 月光殿(桃山時代 築)

月光殿は、もとは滋賀(大津)の三井寺にあった客殿を移築したそうです。
国の重要文化財に指定されていますが、建物内に入ることはできません。

このように護国寺はさまざまな重要文化財を有していますが、
その中でも一番のお気に入りはこれです。


騎龍観音(油彩 原田直次郎 1890年 写真は絵葉書から)

現在は、この絵は東京国立近代美術館に寄託されています。
騎龍観音のモチーフ自体は昔からあるもののようですが、
美術館に展示されていたこの絵の実物を初めて見たときから、
とても120年前に描かれたとは思えない斬新さに目を奪われてしまいました。

護国寺は、都内でも江戸の面影を残す希少な場所です。
普段は訪れる人も多くなく、本堂内の拝観もゆっくりできますので、
歴史や古建築好きにはお勧めです。


ところで余談ですが、本堂内にいたら比較的大きな地震がありました。
ニュースなどでも報道された鳥島近海を震源とする14時28分の地震です。
東京23区でも震度4だったそうで、堂内もミシミシと音を立ててかなり揺れました。

一瞬、3.11の記憶がよみがえるほどの大きな揺れに、
堂内にいた多くの拝観者が不安そうにしていると住職が言いました。
「堂内は安全です。330年のあいだ一度も倒壊していませんから」

330年と言えば、関東大震災はもちろんのこと、
震源が江戸直下だったとされる安政の大地震にも持ちこたえたということです。
しかも地震だけでなく、それによって生じた大火からも焼失を免れたということです。
「ここには、なんだか人智を超えた力のようなものがあるのかも知れない」
そんなことをふと感じた出来事でした。