大黒さんの金魚鉢

黒金町の住人の独り言は“One”

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ケインズ伝(2)

2014年11月28日 | 労働者福祉
「勝って、勝手にやりたい解散」による総選挙の費用として予備費から631億8300万円の支出を決定したそうです。
その一方で、自民党の公約であった「幼児教育無償化」の第一弾として予定していた「5歳児保育料無償化」を見送ったとありました。
これにかかる費用は年間240億円です。

やはりどこかおかしいですね?
それでも自公は勝つんでしょうか…悔しいやら切ないやら。

それでは「ケインズ伝」の続きです。

イギリスの巨額にのぼる戦債は非常に大きな問題でした。
この大戦により、軍事的のみならず金融的優位性までもが、イギリスからアメリカに移ってしまいました。
ケインズはこの間事態の推移をみつめ、積極的な評論活動を続けていました。
その考え方は自由党の経済政策・社会哲学に影響を及ぼします。

当時まとめた彼の論文「自由放任の終焉」は、資本主義社会の現状に批判的であり、その是正のために唱えたのが「ニュー・リベラリズム」でした。
資本主義の本質的特徴とは、すなわち、経済機構の主要な推進力として、個人の金儲け本能への強力な訴えかけに依存しているという点である、というのがケインズの見解です。
このような本質的特徴をもつ資本主義社会はケインズの目からみれば、絶えず大きなジレンマにさらされているようなものでした。
資本主義は経済的にみたら効率的なシステムですが、そのことは自由に放任しておけばうまくいくということとは違います。
むしろ自由に放任しておけば、不安定になる性質を有していますから、「自由放任の思想」からの脱却が必要であり、資本主義を賢明に管理する政策技術の探求が不可欠であるとしました。

経済学者ケインズの代表的な著作は「貨幣改革論」「貨幣論」「一般理論」の三点です。
第一作の「貨幣改革論」は1913年に刊行されました。
それは貨幣価値(つまりは物価)の変化が社会に及ぼす害悪を論じることから始まり、続いて、危機的な状況下で紙幣の増刷により公的資金を調達する方策が引き起こす貨幣価値変化の問題が論じられています。
主要な関心事は貨幣価値(つまりは物価)の安定化です。

そして1936年「一般理論」が刊行されます。
政策によって完全雇用が達成できるとしたこの理論は熱狂的に迎えられました。
世界中の経済学者がケインズの理論を学び、資本主義国はこぞってケインズの経済政策を採用しました。
ケインズの主著「一般理論」は世界中の経済学者たちのバイブルとなりました。
「一般理論」には次の3つのことが明らかにされています。
1、何がGDPの水準を決めるのか
2、なぜ失業が生じるのか
3、どうすれば失業がなくせるのか
そして大不況下に苦しむ資本主義世界にあって、その苦境に何ら有効な政策を提示できない伝統的経済学に失望した若い経済学者、政策立案者から熱狂的な支持を勝ち得ることになります。