大黒さんの金魚鉢

黒金町の住人の独り言は“One”

One voice , one mission , one family

ひたすらに労働福祉の道を

2015年05月18日 | 労働者福祉
1960年1月1日創刊号「労働者と福祉」のなかに賀川豊彦の寄稿文を見つけました。
55年前の主張ですが、まさに“あたたかい血のかよった福祉事業”を生み育てていくことが、労福協の目標ですね。
全文を掲載します。

このたび、労働福祉中央協議会が労働組合、労働金庫、生活協同組合などの手によって飛躍的に強化され、月刊誌「労働者と福祉」を発行することになったのは、すばらしいことだと思っている。
戦前、日本の労働組合運動は残念ながら福祉活動には熱心でなかった。
労働者一人一人の要求に具体的に結びつく福祉活動が、労働運動のマイナスになるからといって軽んぜられていたのである。
私は、常々これは大変なあやまりだと思っていた。
戦後、この面の考え方が改められ、労働組合も福祉活動を見直すようになった。
しかし実際の運動は、ときにはつまづき、ときには暴走し、一貫した発展の道を歩むことはできなかった。
こういう時期、混乱のなかに生まれた福対協の苦労が並大抵でなかったことは、私もよく知っている。
だが早いもので、福対協が生まれてからもう十年たち、今ここに全労働者のはばひろい福祉問題と真正面からとりくむ組織として生まれ変わることになったことは、何にもまして嬉しいことである。
労働者自身の、あたたかい血のかよった福祉事業―それは労福協に結集する労働組合、生活協同組合、労働金庫の協同の場以外からは決して生まれない。
強化された労福協は、こういう真の労働福祉の道をひたすらに歩んでもらいたいものである。
これは単に私の希望というだけでなく、労福協によって結ばれた600万労働者の心からの願いであろうと思うのである。