大黒さんの金魚鉢

黒金町の住人の独り言は“One”

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幹部候補?高度専門職?

2014年05月28日 | 労働者福祉
もう騙されてはいけない!

新日本的経営が経団連から提唱された当時、私は単組委員長で産別中央執行委員の一人であった。
働く人たちの選択肢を増やせるというもっともらしい理屈と、このままでは日本の企業は競争力を失ってしまうという経営者張りの理屈で経団連の味方をする某業種の労組リーダーと激論を戦わせた。
最後に彼はこう言い放った。
「あなたは古い!信じられないくらい古くてこのままじゃあ、あなたの会社はこの先わからないね」
彼の会社名はカタカナ表記だったが、文字通り外国資本に呑み込まれて今は無惨だ。

産業競争力会議が「残業代ゼロ」法案を修正した模様だ。
ポイントはふたつ。
対象となる働き手を「幹部候補」などに限定し、年収を問わず導入できるようにすること。
もうひとつは、労働組合がある企業を対象とし、労組の了解を得たうえで本人の希望で適用するというものだ。

さてまずは「幹部候補」なるものの定義である。
労基法にもその定義はない。
労基法にあるのは、第9条の「労働者」の定義と、第10条の「使用者」の定義である。
ここでいう「労働者」とはつぎのような者である。
『職業の種類を問わず、事業に使用される者で、賃金を支払われる者をいう』

「使用者」の定義はちょっと難しい。
『事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう』
解説するとこうなる。
事業主:事業の経営主体を意味し、会社その他法人の場合はその法人そのもの、個人事業の場合は事業主個人をいう。
事業の経営担当者:法人の代表者や取締役、理事などのように、事業の経営について権限と責任を負う者をいう。
事業主のために行為をするすべての者:人事部長のように労務管理の実施などについて一定の権限と責任を負う者をいう。
「幹部候補」なるものを定めなくとも「使用者」に置き換えたらどうか、それならば簡単だ。
労働時間など関係なく、骨身を惜しまず頑張るはずだ。


これに対し、徹底抗戦をしたかった(であろう)厚労省だったが、押し切られることを恐れたのか対案を打ち出した。
そのポイントは「高度な専門職」で「年収数千万円以上」というものである。
全容はまだ明らかではないが、「使用者」以上に高いハードルの職種である。
果たしてそれほどの能力の持ち主が、「労働者」の地位に甘んじているだろうか?
いずれにしても産業競争力会議の「幹部候補」と、厚労省の「高度専門職」との凌ぎ合いになっていこう。


問題は「労働組合」だ。
肝心要の労働組合が覚悟を持たないからここまでコケにされる。
先のような経団連寄りの労組リーダーたちは、悲しいかな信じられないほど多い。
なんのため、誰のための労働組合かを考えようともしないリーダーもいる。
だからここまでコケにされる。
覚悟のない労働組合のことを「御用組合」という。
老婆心ながらそう呼ばれないように覚悟をもって攻め立てて欲しい。

攻めは求心!守りは離心