大黒さんの金魚鉢

黒金町の住人の独り言は“One”

One voice , one mission , one family

異次元の顛末

2014年05月26日 | 政治
消費税増税によりどこの家計にも少なからずの悪影響があった。
少しくらいのベアによる恩恵を受けたとしても、多くの国民の懐は痛み、貯金通帳の残高も減りこそすれ増えてはいない。
特に年金生活をしているお年寄り世帯や無職世帯は敏感に反応している。
なにしろ貯金を食いつぶして生きているからだ。
それでもそれ相応の貯金があり、それ相応の年金をもらっているお年寄りはいいだろう。
しかし、そうでないお年寄りは深刻だ。
子どもがいなかったり、子どもが不安定な雇用だったりする世帯は案外多い。

25日に開催された「しんば賀津也政治セミナー」において、講演をしてくれた「大塚耕平参院議員」の資料が実に分かり易かった。
さすが日銀出身者だと感心したが、アベノミクスの功罪について聞きながら、この国の将来についてますます不安が高まってきた。
デフレからの脱却を目指し、具体的には2%の物価上昇を目論む安倍政権。
異次元の金融緩和で国中にはお札が撒き散らされている(はずだ)。

マネタリーベースはお金の供給量、まさに異次元の量的緩和だ。
長期金利は政府が発行した「10年物国債」が指標となっており、その利回りがその国の長期金利とされている。
国債は発行時に償還期限と利率が定められ売りに出されるが、その後市場でも売買できるため価格は常に変わる。
(償還期限を迎えると元金である国債発行時の金額が支払われる仕組みで信用度が高い)
買いが強ければ売買価格は上がる代わりに利率は下がる仕組みだ。
逆に売りが強ければ売買価格は下がるが利率は上がる。
国債は政府の借金だから、政府としては利息は低いほうがいいに決まっている。
そこで日銀が買い手に回るという禁じ手を使ったから、まさに異次元の金融政策だ。
これで長期金利を安定させて政府は一安心。
基準貸付利率とは日銀が銀行へ融資する際の政策利率のことで、これにもとづいて市中の金利が決定する。
この20年ほどはゼロ金利政策だったから若い人は実感できないだろうが、それ以前の金利は平均すると4~5%程度で推移していた。
雇用所得のないお年寄りでもその金利収入があり気持ち的にも消費に回す余裕があったというのがゼロ金利以前の姿であった。

さて金融緩和も金融政策も異次元ならば、財政赤字の状況も異次元だ。
国債発行残高(GDP比)も終戦直前を超え、日銀保有残高(GDP比)も終戦直前を超えている。
敗戦によって債券は紙くずとなって、国民の財産は一夜にして消え去った。

そして現代、異次元の金融緩和と消費増税で物価は上がりつつある。
物価上昇とともに金利が上がれば政府の借金は増えるから抑えようとする。
物価が上がっても金利を抑えれば国民の金融資産は自動的に減っていく。
みなが気づかないうちに政府の借金を国民の虎の子から払わせようと企んでも不思議はない。

金融資産は銀行への預金だけではないからね…と株式市場へ誘導も図ったが、個人投資家もまだバブル崩壊時の教訓が生きているから思うようには進まない。
お金はふんだんにばら撒いたが、肝心の企業が立ちすくんだままで借りてくれない。
アベノミクス3本目の矢が放たれないとなると想定外の事態も起きかねない。
まさに異次元の顛末が気がかりだ。