クニの部屋 -北武蔵の風土記-

郷土作家の歴史ハックツ部屋。

10年後の“吉川”の町はどう映っている?

2010年11月23日 | 利根川・荒川の部屋
約10年前に訪れた“吉川”の町は、
電車から見えた中川の光景がが印象深く残っている。
ちょうどその頃、川のことを調べていたからかもしれない。

「あ、ここにも中川が流れてる……」
電車は走り過ぎ、窓からあっという間に消えてしまう。
しかし、その一瞬の切り取られた中川の光景が、
ぼくの記憶の中でずっと残っていた。

約10年ぶりに吉川へ訪れたときも、
やはり思い浮かぶのは中川だった。
歳月と共に記憶は曖昧になり、
中川を目にしたのは本当に吉川だったのか自信がない。
当時のぼくはいろいろな町を訪れていて、
記憶がごちゃまぜになっている可能性がある。

そんな不安があったから、
電車の窓から中川が姿を現したときは妙に嬉しかった。
10年前がすぐそこにあるような……
あの頃、当たり前のようにそばにいた人たちの顔が、
思い浮かんでは消えた。

ただ、電車の窓から見える景色は一変していた。
かつては何でもない町だったが、
異質な存在感で横たわっているものがある。

それは大型ショッピングモールだ。
歳月の流れを象徴するように、
その建物はそびえ立っていた。

確かに何度も季節は移り変わったらしい。
大型ショッピングモールのそばで、
中川が少しだけ窮屈そうに見えた。
あと数年もすれば、ひしめく住宅地でいっぱいになるのだろう。
そのとき中川は……

月日の流れはどんどん早くなるばかりだ。
10年後の中川は、
どんな光景がその水面に映っているのだろう。
電車から見た中川は、
太陽の光りが反射してきらきらしていた。



吉川駅の前には金色のナマズがいる
(埼玉県吉川市)



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