底抜けの空を賜り球根植う
堀 佐夜子
佐久に造った小さな庭に、やっと球根を植えました。
野良仕事の合間に腰を伸ばすと、秋の浅間が。
すぐ目の前なのに、この半年というもの、作業に追われて一度も登ってないんですよ。
あぁなさけない。
それに、数日前、新宿御苑でドングリ拾いに熱中した後だったんで、ケツから股の筋肉が伸ばされちゃって痛かったのよね。
ホント、この頃運動不足とデブが祟って、こんなんじゃ北岳だの穂高だの行ってたら遭難すること確実と言うほどの体のなまりよう。
なので「球根植う」ってのは秋の季語ですが、実際この日は「球根植う、ううう......」ってな感じで結構手こずりました。
「歳はとりたくないねぇ....あ、どっこいしょっと」
「痛たたた、ふひ~」ってな感じ。
ポール・スミザー風に言えば、「ばらまきメソード」で自然風に植え付けているところ。
この日一日で1000球以上の球根を一気に植えました。
こんな風に日照条件などに応じて同じ種類や同じ色合いの品種の球根をばらまいて、次々とその場に埋めていきます。
そうすると、全体としては野山に自然に生えているかのような自然風の植え込みになるってな訳です。
所々に大小の塊を造るのが、自然風に見せるコツと言えばコツかしらね。
ムスカリみたいにとんでもない数を植えるのには、こんな事いちいちやってられません。
キュ-ケンホフのまねごとと言われようが、林の中を流れる川よろしく帯状に球根をばらまいていって後から土をかぶせます。
最後に温かい腐葉土のお布団を掛けてできあがり。
でも、こんなんでホントに大丈夫なんかしらん?
佐久の冬は、雪無しのー15度。
雪に埋もれてれば、地温はせいぜい0度近辺で済むんですがね、吹きっさらしとなると、ひょっとすると球根の冷凍物ができあがるかも知れません。
いろんな意味で、来春が楽しみです。>汗
さて、野良仕事はこれだけでは終わりません。
近くの休耕田に出かけていってノハラアザミの種子を集めます。
えぇ、春咲くのがノアザミ、秋咲くのがノハラアザミなんだそうですよ。
集める時の重要なポイントは、なるべくいろんな株から少しずつ種を集めること。
そうすることで、もともとこの植物が持っていた遺伝的な多様性を極端に失うことを防ぐことが出来るんです。
なんでそんなことを気にするかって?
他にも色々理由はあるけれど、だって、その方が遙かに長い間花期を楽しめるからですよ。
これがまた、軍手をしていてもチクチクしてねぇ。
集めた種をまいておけば、来年の秋には美しい紫色の花が一面に咲いてくれることでしょう。
で、やがてそれが沢山の種を結んで、隣近所に飛んでいく。
......植物を使ったテロというかレジスタンスというか.....。
A(^_^;