くまえもんのネタ帳2

放置してたのをこちらに引っ越ししてみました。

おてんばセット

2005-09-30 12:41:12 | ノンジャンル
ファッションが個性の主張なのか、はたまた没個性の極みなのかは意見の分かれるところだと思う。

その服が象徴するところのヒエラルキーを身にまとうと言うこと、演じると言うこと、本当のアタシ、あるいはホントでない俺になったかのような感覚をもてあそぶこと。

早い話、中身の品質は問わないことにして、ラッピングに凝る遊びだったりしないだろうか?
とはいえ、タカシマヤだとかイセタンの包装紙を開けてみたらバイブだったなんてのも、嫌いではないのだけれど。>ぼかっ!

自分の本質を変えるよりも、見かけを変える方が遙かに手軽なのは言うまでもないこと。

別の楽しみもある。
TVカメラの前にオーバーオールを着て行ったり、チェックのシャツを羽織っていったりするのも、自分を積極的に記号化して、より深い理解と言うよりはむしろ表面的に扱われることで、僕を見る人間が一種思考停止状態になり、個人の領域まで踏み込むのを忘れさせる効果を期待していたりする。
実際、それは十分な役割を果たしてきた。

というわけで、僕はファッションに興味がない。
そりゃぁ、たまにパリコレとか見るのは面白いし好きだけれど、時計やら靴やらはやりのジャケット、有名ブランドに血道を上げる方ではない。
たまたま気に入ったデザインの物があったら買うことはあってもね。
それ以外の時には、単純に上に挙げたような「機能」としてとらえていたりする。

実際、僕がたまに、ニコルだのメンズビギだのを身につけていても、誰もそれと気がつかない。僕の一部になってしまっているから。
きっと、アバクロを来てもユニクロに見えるだろうし、エディーバウアーを羽織っても虎一に見えてしまうに違いない。
しくしく。

何が言いたいのかって?
コスプレってのに、どうもなじめなかった僕だけれど、何の抵抗もなく受け入れることが出来るようになったような気がするなぁってな話しだったのだ。
ぶはははは
いや、困ったことに、何の抵抗もない。
正確に言うと何の感慨もない。
ただ、実際に仕事をするときには、こんな格好はしないなぁとかは思うのだ。
実際にはもっとシンプルに、もっと機能的な格好で動いている。
なので、地下足袋を履いたからと言って、カウパー氏腺液がにじむと言うこともない。
不感症である。


とはいえ、舞台衣装は重要だ。
少なくとも、口を開くまでは、その人となりを覆い隠してくれるからね。
なので、安物をひとそろいそろえようかとは思っている。
台詞回しは、もっと後の話しになるだろうね。

まだ買ってないのは、地下足袋かぁ。
あんまりそそられないねぇ。
学生の頃、牛糞のにじんだのをはいていた記憶とか、ファンタジーとはかけ離れた、あまりにリアルな記憶がまだ残ってるからねぇ。

いずれにしても、愛情を持ってする仕草を、愛情を持って受け止めてくれるのでなければ、あらゆる行為は心に届くこともないのだから。
それは、チェックのシャツでも、ブランド物でも、土方着でも、ネクタイにスーツでも、変わる所はないんじゃないかって思ってるのだよ。

本当の快楽は、その遙か先にあるのだし。

表層的に相手を受け止めている間は、
得られる快楽も表層的なものでしかない。
そのことは、すでに体が知ってしまっているし。


ふひ~、良い湯でしたがな

2005-09-27 15:01:15 | ノンジャンル

ただいまぁ~!
鹿教湯(かけゆ)温泉に行ってきましたよ。
どんな所かって言うとね

「その昔、鹿に変身した文殊菩薩が、
日頃、信仰浅からぬ
一人の猟師に
信州、丸子の山中に湧く
効能あらたかな
いで湯の存在を
教えた......」

と、つっこみどころ満載な言い伝えの温泉です。
つっこみどころ?
えぇ。
仏教ってのは基本的に四つ足は食っちゃぁいかんというんじゃなかったですか?
とはいえウサギは例外で、連中は鳥の一種だという乱暴な論法というか方便で、一羽二羽と数えたっちゅうのはご存じですよね。
と、まぁ、その、仏教的には穢れた職業であるところのですねぇ猟師に、文殊様がわざわざ教えたってのがどうもねぇ、宗旨的にどうなのかと。
と言うか、味わい深いエピソードだなぁと。
早い話マタギというのは、当時の宗教事情とかから言うと、一般人からすれば忌み穢れの対象だったっちゅうことなんですわ。
でも、カツカツで暮らす山の暮らし、そんなことを言ってたらだぁれも生きては行けないんですよね。で、あえて穢れた職業の人間に文殊様がわざわざ教えたってあたりが、なんて言うのかねぇ、包容力?愛の力?ってか、認めざるを得ない生活事情なんてのを感じさせるんですよ。
いえ、あたしゃぁにわか神道ですから、そんなことはどうでもいいんですよ。

それよりも、この界隈の原始宗教や神道が仏教とうまい具合にブレンドされてできたこの空間が異様に居心地が良かったんですよね。

というわけで、鹿教湯(かけゆ)温泉のムササビを見ようと、お向かいの文殊様や薬師如来様が祀られている、川を挟んで旅館の真向かいにある境内へと探険に出掛けました。



水の翼

これ、文殊様のお堂の上に鎮座まします、まさに鬼瓦。
両脇は、なかなかにアールデコな雰囲気の、水紋のような、はたまた翼のような瓦にかためられてました。
なんでも、元禄14年(1701)に着工し宝永6年(1709)に完成したんだそうで、傷みはひどいけれど、それはもう豪華絢爛たる様式。
完成当時を偲びながら、ため息混じりにお社を眺めてきました。
えぇ、何というか神仏混淆な雰囲気でねぇ。
文殊様という神様をお祭りしているとでも言ったら良いようなムードを醸し出してましたよ。
この頃、お寺さんの境内だと何となく居心地の悪さを感じがちな、にわか神道な僕なんですが、ここはすっごく居心地が良かった。
この感覚、いったいなんなんだろうねぇ。


で、境内の杉の木を見上げると、あったあった、ムササビの巣穴。
まだちゃんと使われてる気配。
どうもキツツキの穴を拡張して流用してるようです。


さて、夜になっていそいそと境内を探検に行ってきました。
これは薬師堂。
このあたりでも、以前よく見かけたと、宿の主人。
でも、見つかりませんでしたねぇ、ムササビ君。
地面に食べかすの小枝すら落ちていない。
どうしちゃったんだろねぇ。

だれですか?
発展しに行ったんだろうなんて言ってる人は?
鹿教湯温泉は、もともとが湯治場だからね、あたしを含め、賞味期限切れの爺婆ばっかりなんですよ。
発展?
滅相もございません。
いえ、ホントですとも。
さすがに有名なだけあって良い湯でしたがね、景色はめっぽう悪うござんした。
とほほ。


で、気分を変えようと、一昨日は別所温泉まで足を伸ばして来ましたよ。
若い女の子が連れだってとか、ちょっと年配のアベックとか、おばさんの群れとか、そんなのはいましたが、やっぱりイキのいい男どもにはついに出会うこともございませんでした。
一昔前なら、温泉芸者をあげてのどんちゃん騒ぎってのや、まぁそこまで派手にやらなくても男どもが寄り合って飲んで騒いでってのが、男たちの楽しみの一つだったと思うんですけどねぇ。
景気が悪くなってからと言うもの、温泉町の賑わいを支えてるのは爺婆と女たちになっちまいましたねぇ。

で、別所温泉を徘徊していて見つけたのがこれ。
お汚れのマリア様。>これこれ、違うからっ!



最終日の昨日は、美ヶ原高原に寄ってきました。
いや、良い天気。

カラマツもまだ、紅葉にはちょっと早かったですけどね。
こうやって日に透かしてみると、葉の奥底に隠れている秋の色が見えてきます。かすかに黄色がかってるでしょ?
もう2週間もすれば、このあたりの山一面、金色に染まることでしょう。


美ヶ原高原。
こうやって眺める分には気持ちの良い所ですが、実はここ、高原全部が放牧場なんですよね。なので、実際に歩くとどこまで行ってもも牧草が生えているだけの、牛の糞が落ちているだけの、単調な場所なんです。
遙かアモーレの鐘まで道は続き、山荘のマイクロバスは走ってますがね、一般車両は環境保護?のために通行禁止のエリアなんですわ。
まぁ、わからんでもないですが。
言うなら、牧場保護でしょうに。


だから、こうやって、原王ヶ頭ホテルのテラスからの眺めに、コーヒーでもすすりながら「へぇ~、自然保護ねぇ」なんてスタンスでのんびりするのが一番なんですわ。がはははは。

そうそう、ここの断崖絶壁を見下ろしながらの温泉も、なかなかおつなものです。高所恐怖症じゃなければ、おすすめ。
玉上がるでぇ~>ボカッ!

記憶

2005-09-22 19:04:08 | ノンジャンル
実を結ばぬ花もある
しかし、それは美しくはなかっただろうか?
儚くも大地に叩きつけられようと
忘却という時の落ち葉に埋もれようと
不稔の花とはいえ
そのあでやかな花弁は
僕を喜ばせはしなかっただろうか



偽りの香りと
蜜を持たぬ花芯と
はにかむようにうつむいて咲く
いや
湧き水に映る己の姿だけを見つめて咲くその花の姿は
ひそかに僕を喜ばせはしなかっただろうか
たとえ僕が
傍らを過ぎる蜜蜂ほどにも顧みられなかったとしても

いつか遠いある日
人生の地平の縁で
冬木立のように立ちつくす僕を
その記憶は慰めてくれるだろう
気まぐれに本棚から取り出した
あのころ夢見がちに読みふけった小説の
黄ばんだページのあいだから
すべり落ちる押し花のように

人生と言う荒野の片隅で
ついに実を結ぶことのなかった花でさえ
その色褪せた花弁は
さらに遠くへと人をいざなったりはしないだろうか
果てしない追憶と憧憬の旅へと

ヒースの繁る丘のむこうへと

やんわりと

2005-09-22 12:24:42 | ノンジャンル
大人な言い方ですと、
『しかし、読者もお気づきでしょうが、「勘違い」をしたのは、この女性のような有権者の方でしょう。郵政民営化とその他の諸問題について、後者が重要だと思うなら、
投票行動自体をもっと考えるべきだったということです。
「これが争点だ」と言われたものを本当に争点だと思わなければいけないと信じるようでは、
人間らしい判断力を発揮しているとはいえません。』
とこんな感じになりますが、
ひらたく言えば、「ばっかじゃねぇ~の!」ってことになっちゃいますねぇ。

せっかくなので、全文引用。

http://ryumurakami.jmm.co.jp/
■ 山崎元  :経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員

 有権者は現状維持を選択した、というのが今回の総選挙の結果であり効果だと思います。つまり、この選挙の結果は、日本経済に大きな影響を与えないでしょう。自民党の歴史的大勝利の興奮が冷めてみると、国民は、何も変わりそうにないことに気づいて、大いに白けるのではないでしょうか。

 今後の臨時国会で郵政民営化法案が通過し、その後に組閣が行われる予定ですが、郵政民営化法案は、本来あるべき改革から見ると全く「かったるい」としか言いようのない内容ですし、その後の内閣メンバーを想像しても、多少の話題性はあろうと思いますが、現閣僚よりも実務能力がある大臣が登用されそうなイメージが湧きません。

 短期的には、政策の官僚依存が強まるでしょう。いわゆる抵抗勢力的な族議員の勢力を絶対的にも相対的にも弱めたことは、それ自体としては歓迎すべき事ですが、首相周辺が圧倒的な力を持ったことから、大臣の権力が薄れ、官僚が首相官邸と緊密に政府を動かすケースが増えそうです。たぶん軽量政治家と人気取りの人寄せパンダ的人物が多数大臣ポストに就くのでしょうから、官僚と大臣が実質的には同じくらいの力で首相官邸に指示を仰ぐような事態になるのではないでしょうか。

 過去の小泉政権でも、小泉首相以下政治家が「政局」を担当し、「政策」はいわゆる“丸投げ”の形で官僚にやらせていたのが実態です。例えば、年金問題では、小泉首相はマクロスライド方式について自力で説明できないといった有様でした。本来、官僚機構と政府の活動の縮小が大きな政策テーマですが、政策の具体的な担い手が官僚では、世の中は大きく変わらない筈です。小泉政権誕生後の構造改革ブームでも、「改革」は掛け声だけで、実行力を伴いませんでした。たぶん首相官邸に近い一部の官僚たちにとっては、大いに「やり甲斐」がある状況が生まれそうで、中には良い政策の実現もあるでしょうが、「官による官の改革」には限界があります。

 今回の選挙結果は、国民による、現在の官僚機構への信任を通じた、「現状維持」の選択であり、従って日本経済もさしたる影響を受けないという大局認識で良いと考えます。「官僚機構を信任したつもりなどない」と思う有権者が多いでしょうが、自民党圧勝の実質的な効果はそういうことだと思います。

 開票当日のある選挙報道番組に寄せられた視聴者の女性のメールが記憶に残っています。「私は、郵政民営化には賛成なので今回は小泉さんの自民党に投票しましたが、年金問題やイラク問題、拉致問題などについて、小泉さんの政策を支持している訳ではありません。小泉さんには、この大勝で全てが支持されたという勘違いをしないで欲しいと思います」という内容でした。

 しかし、読者もお気づきでしょうが、「勘違い」をしたのは、この女性のような有権者の方でしょう。郵政民営化とその他の諸問題について、後者が重要だと思うなら、投票行動自体をもっと考えるべきだったということです。「これが争点だ」と言われたものを本当に争点だと思わなければいけないと信じるようでは、人間らしい判断力を発揮しているとはいえません。

 小泉首相の鮮やかなトップダウンの決断と争点を一本化したイメージ戦略の成功に対して、民主党の岡田代表は、あたかも社内バランスに行動を制約されたサラリーマン社長のように歯切れが悪く、訴えのポイントを絞らなかったことも、真面目ではあっても、マーケティング戦略上、大失敗でした。それにしても、彼が登場した「日本をあきらめない」という台詞の入ったCMは何を訴えたいのか分からなくて、最低の出来映えでした。あんなものにお金をかけているようでは、政治でもビジネスでも成功しないでしょう。マネジメントとマーケティングの観点で考えると、今回の選挙は、ビジネス上は非常に分かり易い教訓を残しました。

 たぶん、小泉首相は、旧経世会に代表される党内の政敵を郵政民営化法案を使ってあぶり出して潰す意図で解散を仕掛けたのでしょうが、副産物として、野党である民主党も半ば潰せてしまった、というのが今回の総選挙です。

              経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員:山崎元