秋も深まり夜寒(よさむ)の街角を足早に過ぎるとき、酉の市のポスターなんか見かけたりすると、コタツでミカンの季節がもうすぐそこまで来てるのが皮膚感覚で実感できますね。
コタツと言えば、こんな川柳を思い出します。
丸く出て
四角く臭う
炬燵の屁
詠み人知らず
いや、狂歌だったかな。
鼻につくと嫌がられそうなものなんだけれど、身近な題材であるからか、ちょっと探すと屁玉をあつかった句には
意外に雅?なのも出てくる。
「
狂歌の校注者、浜田義一郎「川柳・狂歌」教育社1977年には四方赤良の甥、紀定丸の「寄屁無常(へによするむじゃう)」という詞書のある狂歌が紹介されている」とか言う由緒正しいのを紹介してみようかしらん?
すかし屁の
消えやすきこそ
あはれなれ
みはなき物と
思ひながらも
紀定丸
なな屁や屁
音はすれども
カラ吹きの
実のひとつだに
出ぬぞ悲しき
四方赤良
この句は、ご存じ太田道灌のお話しにも出てくる
七重八重
花は咲けども
山吹の
実のひとつだに
なきぞ悲しき
兼明親王
が、本歌になっている。
いわゆる
本歌取りですね。
なぁ~んて雅な。
なんでも、屁を題材とした句が百花繚乱したのは、
狂歌がのびのび開花した江戸時代なんだそうな。
もっとぶっ放し、もとい、ぶっ飛んだ句も。
へゝゝゝゝ
へゝゝゝゝゝゝ
へゝゝゝゝ
へゝゝゝゝゝゝ
へゝゝゝゝゝゝ
加保茶元成
これなんかもう、
ダダイズムの境地だね。
ところで、屁のべつの呼び方、「おなら」って言葉はどんな起源なんでしょうかね?
これも出てきましたねぇ、Webってなんて便利なんでしょう。
「
今昔物語」の中に「あやまりて、いと高く鳴らしけり」と書かれていて、オナラとは「鳴らす」が語源になっているんだそうですよ。
語源由来辞典にも詳しく載っていたので、ちょっと抜粋。
*********
おならとは、屁の婉曲な言い方。
おならは、「鳴らす」の連用形を名詞化した「鳴らし」に、接頭語の「お」が付いた「お鳴らし(おならし)」を最後まで言わず婉曲に表現したもので、もと女房詞である。
*********
なるほどねぇ、「お鳴らし」ねぇ、だれです?「へ~っ!」とか言ってる人は。
ついでながら、その昔、言語学関係の本から仕入れた
うんちくも。
言葉ってのは、一般的に起源が古い重要なものほど短くなるんだそうで、例えば身体に関係している言葉に多い1音節からなっているのがそれなんだとか。
例えばこんなのね、「て」、「め」、「ち」、「け」、「き」など。
その伝で行くと、「へ」もかなり古いことになりそう。
とはいえ、こんな話しを酒の席なんかでうっかりひけらかしたりすれば、うさん臭さが「鼻につく」とかそしられ「味噌がつく」のがオチ。
さて、こんな話しをするはずではなかったので、急に話題が変わる。
そう、したかった話というのは、「鼻につく」とか「鼻を突く」臭いをごまかす方法とかそっち系について。
変わってないじゃん!
汗
秋の初めに街角で香る花と言えば、やっぱりキンモクセイが印象的なんだけれど、僕はあの人を追憶に浸らせる甘い香りよりも、もっときりっと柑橘系に近い銀木犀や、冬の初めの凛とした空気に香る柊の花の香りの方が遙かに好きではある。
もちろん、木の花の香りが鼻に着くとか鼻を突くとかそう言う展開ではなくって、トイレの消臭芳香剤の功罪がどうとかと言いたいわけ。
そう、トイレの消臭剤に花の香りとか果物の香りとか使わないで欲しいと思うのだよ。
皆さん、そう言うのって気になりませんか?
この頃、秋の園芸市とかでキンモクセイの苗木を出店しても、若い世代にはとんと人気が無く、さっぱり売れないなんて話しを小耳に挟みましてね、えぇ、すぐにピンと来た訳なんですよ、
ピコレットが原因なんだってね。
そう、若い世代の間では、
金木犀の香りは西脇順三郎が詠うようなウパニシャドの深遠ではなくてトイレの臭いの木になり下がっちゃってるんですよ。
涙
深まる秋の日差しの中、金木犀の樹の下なんかでうっかり愛の告白なんかしちゃうと、クサイ仲になりかねないってなね。
A(^_^;
このトイレ消臭剤ピコレットには他にスズランと薔薇の香りもあったんだけど、なんと言っても当時発売されるちょっと前までは合成が難しいとされていたところの金木犀の香りがやっぱり強烈な印象だ。
もっともこれ、今では売られて無くて、桃の香りとか青リンゴの香りとか売られてて、もうね僕としてはホントによして欲しいと思うんですよ。
だって、駅のトイレとかならまだしも喫茶店やレストランのトイレに入ったら、おいしそうな果物の香りがしてて、トイレから出てくると今度はデザートやフルーツの香りがするなんてゲゲゲッって思いませんか?
瑞々しいフルーツを口に運んだ瞬間、トイレのイメージがフラッシュバックしたら嫌じゃない?
ってか、パブロフ的悲劇だっておこりそうな。
.....................
え?僕が神経質すぎるだけだって?
じゃぁ、ちょっとイメージしてみてくださいな。
こんなトイレの消臭剤の香りを.....
駅蕎麦のツユの香りの消臭剤、カレーの匂いのトイレ、バニラエッセンスが香るトイレのケーキ屋さん、ウナギ屋の香りのトイレ.....
Imagine there's no heaven
It's easy if you try
No hell below us
Above us only sky
Imagine all the people
Living for today....
John Lennon
ね?
パブロフ的悲劇が起こりそうじゃない?
カレーを食べようとすると、条件反射的に便意が。
デザートを出されると尿意が。
いにしへの
ならのみやこの
やへざくら
けふここのへに
にほひぬるかな