さて、前回紹介したエサ台のすぐ隣に並べて作ってみました。
小枝の先をハサミで斜めに切って逆さまに地面に突き刺し、てっぺんにV字や三又に枝分かれしているのを麻ヒモで固定してポケットを作り、そこに藁カゴを取り付けるだけ。
カゴの固定は、縁からたれている麻ヒモでポケットになっている小枝に縛り付ければ簡単ですね。
上からのぞき込むと、こんな感じ。
シジュウカラなんかの野鳥用餌台です。
ひょっとするとリスなんかも利用するかも。
秋口には、あんなにたくさん落ちてたドングリや栗も、イノシシなんかがゴソゴソ食べに来てたおかげで、すっかり無くなっちまいやした。
なので、今回作った餌台にはリス用のエサとして売られているヒマワリの種を入れてみることに。
ちなみに、エサ入れの周りに着けてるのは、この林で拾ったホオノキやセンノキ(ハリギリ)の葉っぱです。
餌台を設置した場所は、人の影響の強いところに限っています。
林が切り開かれた影響で、冬場のエサが不足するのを補います。
林の中では、ヒマワリの芽生えは育たないし、もしどこかで一時的に育ったとしても、簡単に在来種と区別でき駆除も簡単、しかも在来種との交配も起こらないってな理由で選んでみました。
春になったら、毛糸クズでも入れてみようかと思ってます。
シジュウカラなんかが、巣の材料に利用してくれるはず。
エリアごとに毛糸クズの色を変えておけば、巣立ちのあとで巣箱の中を覗いてみれば、どのあたりから巣の材料を持ってきてるか、一目でわかります。
木立の陰にも、エサ台が潜んでいますよ。
A(^_^;
このあたりの林も、長いこと放置された薪炭林で、コナラの木が伸びすぎたために林の中が暗くなり、生育できる植物の種類が極端に減ってきていました。
植物層が単調になると、そこを利用できる昆虫が減り、虫を食べに来る野鳥や獣たちも減って来ます。
所々木を間引いて日の光を入れることで、林内の環境を多様化して、色んな生物を呼び戻そうとしている訳なんですが、樹木の伐採をすれば、一時的に食料が減ることもまた事実なんですよね。
で、まぁ一時的にエサ台を置いてみてるんですね。
出来れば林の中にある木の実だけで賄いたかったんだけれど、足らない分をヒマワリの種で補っているんです。
そんな園芸植物の種子より、よそからドングリを持ってきた方が良いんじゃないかって思うかも知れませんが、多地域からのドングリが林の中で芽吹いて大きくなったりすると将来的には遺伝的攪乱が起こってしまうおそれがあるんですよね。
もちろん、ある種類の生物が地域ごとでどれぐらい遺伝的な違いを持っているのかってのは一律に言える訳じゃありません。
生物種ごとで種内多様性のあり方も様々。
しかも、全ての野生生物で、地域ごとの遺伝的違いが調べられているなんて訳ではないのが現状ですから、まだ良くわかっていない地域ごとでの種内多様性にいかに影響を与えないように僕たちが環境回復に関わってっていくか、そう言う方法を考える必要があるんですね。
そうじゃないと、僕たちが自然に対して良かれと思ってしたことが、返って悪影響を引き起こしてしまう結果に成りかねないんです。
例えば、日本中のドングリが不作だった2004年に、ツキノワグマが人里に出没するということが頻発しました。
そんな中で、「都会の公園でドングリを拾い集め、山にまこう」という活動を呼びかけた団体がありました。
もちろん大騒動になりましたね。
当時の様子を思い返すために、<野生動物へのエサやり その3「お粗末な自然保護団体 ~ 日本熊森協会 ~」>って所からチョコッと抜粋してみます。
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ドングリにも本来の生育地があり、他地域のドングリをばらまくべきではない。(遺伝子の攪乱)。またドングリにドングリを食べる虫が付いており、それらの病害虫の管理なしにむやみに他の地域に持ち込むのは植物防疫上も問題。
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なかなか良い感じの指摘をしている面白いブログなので、お時間のあるときにでも読んでみてください。
もちろん、公正を期すためにも、ドングリ運びについての日本熊森協会の見解(2004年11月)って所をお読みになることもお薦めいたします。
汗
C・W・ニコル氏の意見も紹介されている羆嵐って所からもちょっと抜粋。
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クマがなぜ里に現れるかを真剣に考えなくてはならない。昭和に至るまで、日本にはアユ、サケ、イワナの遡行する川や支流が何百、何千とあった。しかし、相次ぐダムの建設で、そうしたクマの餌場が次々に襲われている。
もう一つ、声を大にして言いたいのが、この国の植林事業の問題だ。広葉樹と針葉樹の混ざり合った昔ながらの天然混交林が次々と針葉樹の単一林に姿を変えていく。それがどれほど自然の生態系を乱すことになるか。餌となる実をつけない植林。伐採後、放置されて荒れ果てた二次林。当然、クマの生息地も餌の供給源も根こそぎにされていった。その一方で生ごみが放置され、農家は毎年、同じ場所にクマの大好物のトウモロコシを植える。味を占めたクマがごちそうを求めてうろつくうちに、どこかの家の裏庭に行きついたとしても不思議はない。
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実際、僕も山里の人家裏でツキノワグマに出くわした経験があるしね。
汗汗汗
いけね、また話がそれたよ。
悪いクセだねぇ.....
A(^_^;
いずれにしても、エサ台などなどの設置は、色々考えないといけないのだね。
いちばん良いのは、こんな散策コース着きの林では、林の中のドングリを少しばかり拾ってエサ台に置いて、そこに来る生き物たちを観察する。
その程度なら、環境に与える負荷は最小限に抑えられるだろうし、子供たちが自然から学ぶ恩恵の方が遙かに大きくなるだろうし。
それに、空っぽのエサ台が、それだけでも愛嬌ある物だったら、言うことないんじゃないかしらん?