くまえもんのネタ帳2

放置してたのをこちらに引っ越ししてみました。

時間軸方向への旅

2009-08-04 17:04:00 | ノンジャンル


なんと、万座毛で黒曜石を発見してしまった!!

ご存じの通り、万座毛は隆起珊瑚礁で出来た台地なので、火山性の黒曜石なんて自然にできるはずのない場所だ。




植物も、石灰岩地帯独特の植生で、火山性土壌なんてどこにもない。
コウライシバの草原にアダンやクサトベラ、ハマユウなんてのが生えている。







人が踏み荒らしたところだけ、石灰岩が風化して出来たまっ赤な土が顔を覗かせている。




そんな土の露出した一角に、何とも奇妙な物を見つけたのだ。
白い骨のように横たわっているのは、石灰岩。
その周りに黒いツブツブが散乱してるのがわかるだろうか?
その粒の大きさが大体そろっている。




顔を近づけてみると、きらっと光るガラス質の粒だ。
???黒曜石?
なんでこんな所にあるんだ?

黒曜石は、火山から流れ出たマグマが海水などで急激に冷やされたりして出来るんだから、こんな海辺で見つかってもおかしくないと言いたいところだけれど、このあたりはあいにく溶岩台地ではない。
これと似たようなツブツブの散乱を、霧ヶ峰で見たことがある。
そう、矢尻とかが見つかってるエリアでね。





手に取ってみると、確かに粒ぞろいの黒曜石だ。
......う~ん、あり得ない。
かなりの範囲にわたって散乱している。
これまでにここで発見されなかったのは、コウライシバがしっかり地面を覆っていたからなんだと思うのだ。

沖縄県の活火山は、硫黄鳥島と西表島北北東海底火山の2カ所だけ。
昔の人たちが拾ってきて何かの理由でここに棄てていったとして、一番近くの火山は那覇の北約200㎞にある硫黄鳥島だ。

けれど、もっと調べてみるとこんな事がわかった。

ここから少し抜粋してみよう。
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黒曜石研究の動向
小田静夫
http://ao.jpn.org/kuroshio/kenkyudoko.htm

3-14 奄美・沖縄地方

 この地方には黒曜石の原産地は知られていない。

 沖縄での黒曜石石器は大正15年(1926)に東京の小牧實繁による城嶽貝塚の発掘調査で、出土した石鏃の中に2点の黒曜石製品があり、沖縄では初めての発見で大変愉快であったと述べている。城嶽貝塚からは他に黒曜石の剥片が35点出土し、小牧は石鏃製作がこの遺跡で行われたことを示唆している(小牧「那覇市外城嶽貝塚発掘調査(予報)」人類学雑誌42-8, 1926)。

 黒曜石の理化学分析は、昭和52年(1977)の仲泊遺跡が最初である。鈴木正男により分析され、腰岳(佐賀県)産の黒曜石と判定された(『仲泊遺跡』1977所収)。最近、伊是名貝塚遺跡発掘調査団(団長堅田 直・帝塚山大学)によって、伊是名貝塚と隣接したウフジカ遺跡の黒曜石が東京学芸大学の二宮修治によって分析され、やはり腰岳産と判定されている(『伊是名貝塚遺跡の研究』2001所収)。

 現在、奄美地方では奄美大島から4カ所、徳之島から3カ所、伊是名島から3カ所、沖縄本島から16カ所以上発見されている(上村俊雄「南西諸島出土の石鏃と黒曜石」人類史研究10, 1998)。

 奄美・沖縄地方はサンゴ礁の発達した地域で、南海産の大型貝殻が道具に多用されている。当然石器に代わる原材であり、重量石器以外の小型軽量剥片石器にはこの貝殻が用いられている。この地域の遺跡を歩くと、表面には貝殻は多く散布するが、石片類はほとんど見つからない。発掘資料にはチャート製石器が僅かに存在し、地元のチャートが使用されていることが分かる(小田静夫「沖縄の剥片石器について」『高宮廣衞先生古稀記念論集』2000)。したがって、黒曜石は超貴重品であった訳で、九州地方の縄文人が、貝殻などとの交換財として持ち込んだものであろう。
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昭和52年(1977)に腰岳(佐賀県)産と判定された黒曜石が見つかっている仲泊遺跡は、地図で見ると結構近くなんだけど、万座毛に遺跡があるってな報告はなさそう。

さらに沖縄タイムスにこんなのが。
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2009年06月01日 地域
http://www.okinawatimes.co.jp/news/2009-06-01-M_1-024-1_001.html
中の町に!? 黒曜石の謎/石器の材料 県内で未発掘の原石
/里さん、小学校で発見/博物館に寄贈「やっぱり宝物だった」

 【沖縄】火山岩の一種で、県内に産出地がない黒曜石の原石を小学校敷地内で見つけた山内中学校1年の宮里明衣さん(12)が、石を市立郷土博物館に寄贈。5月29日、感謝状が手渡された。黒曜石は石器の材料になり、県内では3500年ほど前から九州の産地から持ち込まれていることが確認されている。しかし、加工されていない原石は発見されておらず、同館は「発見場所付近に遺跡は見つかってなく、なぜ原石があったのか研究を進めたい」と話している。

 黒曜石は横約6センチ、たて5・5センチの卵形で、重さは196グラム。

中略

 昨年、母親が知り合いになった石の専門家に見せたところ、黒曜石と分かり、同博物館に寄贈した。宮里さんは「やっぱり宝物と知ってうれしかった。展示されているので友達を連れて見に来たい」と笑顔で話した。

 県教育庁文化課の盛本勲主幹によると、沖縄、奄美地方で発掘された黒曜石の多くが佐賀県伊万里市の産出。県内では矢じりなど石器の破片として遺跡付近から発掘されている。盛本主幹は「県内で原石の発掘例はない。近年、持ち込まれた可能性もあるが、付近に遺跡があり、関連が認められれば、貴重な発見」と話している。
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現在、博物館に問い合わせ中、調査が進められているようです。
今後の展開が楽しみですわ。