「まかない」ってのがもてはやされたりする今日この頃。料理人が仕事の合間にチャチャッとありわせで作って、しかもうまいという物。あれですがな。
お客が来てるときは、それなりに料理も作ったりするんだけど、一人になると食事はとたんに「まかない」化しはじめる。遙かな昔、2人暮らししていた頃には毎日食事ごとに数品目出してたんだけど、自分だけの食事となると何だか張り合いがない。妙においしくできたりなんかすると、2人で食べたらどんなにおいしいかだなんてつい考えてしまう自分がイヤで、全く食事を作らなくなった時期があった。10年近く続いたかなぁ。歳をとってからの手痛い失恋は、リハビリに時間がかかるのよ>ってかいくらなんでもかかりすぎ!!
それでもまぁ、このごろは、友達が来ればそれなりの料理は出すようになったのだ。この1週間、地方から友達が出てきていて(世に言う腐れ縁ってやつね)、それなりにおいしい物は出したつもりなのだよ。彼は、上京すると僕の所を定宿にきめて、発展場巡りやナイト、ヤリ部屋、サウナ、乱交パーティーと、アグレッシブにこなしていく。とても同い年とは思えないパワー。ふいっと行ったきり戻ってこないこともしばしば。そして一々成果を報告する。妙に口ごもってるときは、返ってキョーレツなのをかましてきた時だったりするんで、なるべく知らん顔している。人の自慢話を根ほり葉ほり聞いたところで、自分が気持ちよくなるわけでもないしね。いつまでも治らない古傷をなめてた僕とは好対照で、胸のすく思いを通り越して何だか可笑しいぐらい。
何をそんなに生き急ぐのか?ってか僕たちそんなに後が残ってないのね、そう言えば。>なんか、他人事なんだよなぁ
そんな友達がやっと帰って、ほっと一息。慣れ親しんだ一人暮らしは、やっぱり落ち着くねぇ。>かつて同棲マニアを自認してた僕の言葉とも思えないのだがね。
閑話休題
ってか、これからが閑話の本題。
でだ、究極のまかない料理なのだ。
冷蔵庫の中をあさる。
アボガド、タマゴ、ベーコン、ワカメ、梅干し。ふむ。キムチと納豆は今回はご遠慮していただくとして、さてこれで何を作ろうか。その気になれば、数品目作れる素材だね。だけど、まかないなので.......。
ダッタンそばを湯がいて全部のっけてしまった。
無国籍大皿料理。
創作料理かな?
ポイントはベーコンエッグとアボガドだね。>普通のせないよね
これで美味しかったら、料理のサルティンバンコかキダムの再来だなんて思ってるでしょ?
ダッタンそばはルチンが多くて動脈硬化の予防とかには良いんだけれど(人気が無くて安売りになってたんで買い置きしてたのがあったんだよね)、独特の苦みがあってね。普通のそばの扱いで食べると、結構つらいかもな一品なのだ。そばに油物は良く合うものなんだけど、天ぷらごときでは太刀打ち出来ないんだよね、この味は。で、材料を見た瞬間の確信で、こんな物をでっち上げてみたわけ。
いやぁ~、想像を遙かに超えてうまかった。
信じられないだろうから、信じなくても良いのだ。
けど、念のため言っておくけど、僕は味覚音痴に分類されたことはないのだよ。
そば2束、アボガド1個、タマゴ2個、ベーコン3枚、ワカメ一握り、梅干し2個。これをでっかいパスタ皿に盛りつけて一気に食べてしまった。
アボガドとタマゴのふくよかな風味が口の中に広がって、それでいてベーコンの香ばしさとダッタンそばのほろ苦さが全体を引き締めてる.....なんて、おいしんぼしても始まらないか。
普通に作っておいしいのはあたりまえ。勘所を押さえたら、まかない料理も大人のたのしみなのかな。と、それとなくお勧めしてみたりするのであった。