AWA@TELL まいにち

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中学夜間学級、数学の授業を見て思ったこと

2019年07月10日 | 日本語教育
今日は、なんとかやりくりがついて、ほぼ2ヶ月ぶりに、中学夜間学級の学習支援に伺いました。

最後に行ったのが、ラマダンに入ってすぐの頃だったから、5月初めだよね。

今日は水曜日、数学と英語なんですが、やはり何や彼やがあって、数学だけお手伝いして帰りました。

腰が痛くてねえ、立ちっぱなしがしんどいから、座ったり立ったりでしたよ

生徒さんたち、「久しぶりー」と声をかけてくれて嬉しかった。

さて、今日の数学の授業を見て、考えたことが結構ありました。

数学の先生、授業にはいつもプリントを配ってくださって、そのプリントに沿って授業を進めていかれるんですが、

復習も兼ねていろんな話をされるんですよね、

で、今日の学習する内容をお話しされるんですが、プリントに、教科書の枠囲みになっている箇所を引き写してあって、そこに太字のキーワードを入れるようになっているんですよ。

どうも、毎回同じパターンで繰り返していらっしゃる様子。

というのも、今日、先生がそこのキーワードは何か、という話をしようとしたら、みんなが先に答えちゃうの。で、先生が、「すごいなー、なんでも知ってるなー」と苦笑いされると、「教科書に書いてあります!」とみんなが答える。

これさ、重要なんだと思う。

発達障害を持つ子供たちの授業の時、いつもと違うことをするというのが非常に負担になるわけで、同じパターンで物事が進むと、注意しなきゃいけないところが絞り込めるのね。
それから、同じことをするとわかっていたら、何を準備しておけばいいかがわかるわけで、少なくとも、教科書の枠囲みのところを見て起きさえすれば、授業開始の時、先生の発問に手が挙げられて、答えらえるわけだよ。
しかも、さりげなく、自分から予習できるように仕組んである。

発達障害を持つ子供と、日本語指導が必要な子供達に対する授業の共通点は、注意しなきゃいけんないことだらけの授業にしないというところだと思う。
視覚を活用し、いつもと同じパターンで、というのは、重要なんじゃないかなー

それと、今日の授業を拝見するまで気づかなかったのは、先生が、「これ、どうしてだと思う?」と問いかけられた時に、生徒さんが口々に色々いうのね。
それを引き取って、「じゃ、説明してみてよ」と振る。

一人の生徒さんが、「わかってるけど、説明できないよー」と言ったのを聞いて、言語的挫折が生まれている場面だと解釈しました。説明に必要な言葉や日本語の用法が身についてない。つまり、ここに支援をしていけば、この生徒さんは伸びていくわけだ。

別の生徒さんが、頑張って説明してくれたんだけど、やっぱりわかりにくい。こうやって、説明させる、というのは、言語能力の確認、言語指導の内容検討にとても役に立つわけです。

で、

数学の理屈を説明する、というのは、この後、証明問題に繋げられる重要な部分だと思うのね。

先生が引き取って説明してくださったのは、生徒さんの理解を第一に考えているので、数字の擬人化や先生の激しいアクションが付いてくるんだけども、

証明問題につなげる意識で、きちんとした説明も、そのうちされるのかな。

一つ気になったのは、学習者さんの口癖。

「ああ、そういうことか」という口癖の生徒さんがいるんですが、

その次の問題も同じ失敗をしていたから、

もしかしたら、日本人との職場での接触で、「ああ、そういうことか」という言葉で自分を守っていたのかな、といろんなことを考えました。

やっぱり、授業を見せていただくのはありがたいこと。

えっと、12日金曜日は美術です。






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