こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『影絵の街にて』新井素子

2022-01-23 19:45:14 | 読書感想
 
短編集で、大抵読んではいましたが、何しろ久方ぶりで忘れている作品もあり、そこは新鮮でした。
また、覚えていても旧友に再会したような気分でした。

特に冒頭の『季節のお話』
古川タクさんの絵が無いというのも、それはそれで自分の想像力を駆使できて悪くないなと感じました。

他の作品については、印象深いものについて書きます。

まず「眠い、ねむうい由紀子」
かなり毒のある残酷な話ですが、その原因となるものを持ちこんだ人物の苦悩によって、読む側の感じ方が和らげられるような気がしました。

次に「夕暮れ、七つの情景」
2人がすれ違った後、彼らの立場が入れ替わるのか?
何となく、そう感じました。そして、逆になったら彼らはどう思うのかも気になりました。
意外と、感じ方は変わらないように思えます。

3つ目「山手線のあいちゃん」
国鉄の時代のお話ですね。
あれからずいぶん経ちますが、21世紀になっても依然としてこの問題を解決できない、どころか悪化させているきらいもあるのはどうにかならないものか。
以前、仰っていた方もありましたが、本当にいじめる側の精神鑑定や生活環境の精査と改善を図らないと、解決しないでしょうね。

さらに「阪神が勝ってしまった」
素子さぁ~~ん。
いや、確かに笑ってしまいましたが、ある意味、かなりの問題作ですよ。

最後に「馬場さゆり」「あした」
私の大好きな『チグリスとユーフラテス』の外伝で、「ナイン」で地球から出発する前の話。
一方は、人々の愚かさのために不幸に落とされ、もう一方は、幸せだからこそ、あるハードルを上げ過ぎてしまう。
どちらも切ない物語でした。

様々なタイプのSF短編が載っていますので、ぜひ!お読みください。
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『御坊日々』畠中恵

2022-01-14 19:50:55 | 読書感想
 
時は明治20年。
冬伯が住職を務める東春寺には、よく相場師が客としてやって来る。

明治維新で廃仏毀釈の嵐が吹き荒れた大変な時期に、東春寺は先代の住職を失い、弟子だった若い冬伯は寺を支えられず一旦廃寺にしてしまった。
その後、ある日との世話で相場師の元で働く事となり、ようやく2年前にこの寺を立て直したという過去があるためであった。

しかし冬伯の弟子の玄泉は、その相場師仲間を快く持っていない。
例え今の東春寺が檀家もいず、師匠の相場の稼ぎで暮らしているとしてもだ。

また、冬伯には兄弟子もいたのだが、生活のために神職に鞍替えしたという事を冬伯自身は許していないし、師匠の急死の理由も知りえていないという。

そんな東春寺には、相場師ばかりか呼びもしない厄介事が次々とやって来ては、彼らの生活を引っ掻き回す。
ただ、その厄介事を解決していくうちに、師匠の謎も明かされていく。

何と申しますか、この物語の終盤に出てくる政治家の発言は、まるで今の政治家も言いそうな事に思えました。
不満があるなら、お前らが政治家になれと。
なら、政治家もその高収入に合わせて仕事をしろと言いたいです。
他にも細々と言いたい事はありますが、とても長くなりそうなので、このくらいで。
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「ロートレックとベル・エポックの巴里」展と「きたきゅうコロンブスの冬休み」

2022-01-07 20:18:51 | 美術館・博物館
北九州市立美術館で開催されている「ロートレックとベル・エポックの巴里」と、小倉井筒屋で開催されている「きたきゅうコロンブスの冬休み」に行ってきました。

まず、ロートレック~ですが、ベル・エポックの巴里の時代の画家の中では、私に限ってはミュシャが好きなんですよねえ。他にも素敵な画家さんがたくさんいらして、絵葉書も買ってきましたので載せますね。

あと、きたきゅう~については、文月今日子さんの薄いコミックスを購入してきました。
文月さんの畑にやってきた二匹の猫の猫生が描かれていて、可愛くも切ないものでした。
これですね。

ちなみに文月さんが、9日日曜日に会場にいらっしゃってお話もできるそうなので、お好きな方はぜひ!
また、同じ会場内で販売されていた鉛筆画家の平野隆司さんの動物イラストも素敵で、私は柴犬のイラスト2枚を購入しました。
こちらです。

他にもイラストやアクセサリーなど素敵なものがたくさんで、目移りするくらいでした。
できれば万華鏡も買いたかったのですが、自分で作るタイプのでも5千円なんです。
もちろん、値段に見合った美しい光景が見られる万華鏡なわけで、とーーーっても残念です。
お金貯めなきゃ。

とても充実した1日でした。
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