正確には世界無形文化遺産というジャンルに和食が選ばれた。世界3大料理はフランス料理、トルコ料理、中華料
理といわれ中華料理以外は世界遺産に登録されている。中華料理は種類が多過ぎて申請することが技術的に難しく、
登録を申請しても受理されるには至らず今なお、登録方法を模索中。
和食と同時期に韓国の『キムチとキムチジャン』が登録された。他国の食文化の事をとやかく言うつもりはないが
日本人の私には和食が一番美味しいと思うのは極当たり前のこと。それぞれの国の人もそう言うに違いないからだ。
フランスに行った時に大衆レストランやホテルで食べた料理はフルコースではないが一応、フランス料理という事
になろうし、トルコで食べるものはトルコ料理となる。大衆食堂から豪華レストランで出される日本料理も和食。
私は味盲でも料理知らずでもない。好き嫌いはあるが、それとは別に美味しい、不味いくらいは分かる。大まかに
ヨーロッパの料理は大衆レストランだとジャガイモ、肉をベースにしたもので味は塩・胡椒、国が違っても味に大
きな違いを見出せなかった。味付けに色々なスパイスやハーブ類を使ったりの工夫はあるが、それは国の違いでは
なく料理方法の違いということになる。日本ではどんな片田舎の食堂に行っても、味の濃い、薄いは別としてきち
んとした味付けが施された和食を食べることが出来、this is washokuという事ができる。ここがヨーロッパの大衆
食堂との違いだ。つまり和食と洋食の違い。
雑駁(ざっぱく)に日本食と洋食を比較すると一番大きな違いは、和食は出汁をベースにして『さしすせそ』で味付
けをするから辛い、甘い、酸っぱい以外に旨味を感じる。
それに比べて洋食の味付けは塩、スパイスがベースになっていて食材そのものの素材を活かす料理方法だ。勿論の
こと凝った味わい深いソースを使った高級な料理は特別なもので、日常の家庭料理で使われているのではない。
日本では家庭料理であっても出汁のない料理はまずない。例えば味噌汁にしても出汁を使ったものだから味わい深
いが、外国で食べる味噌汁の大半はお湯に味噌を溶いただけの感じだ。日本の大衆食堂と外国の大衆レストランの
比較だけでも大きな味の違いを経験することが出来る。出汁による旨味の文化と塩・胡椒の単純味付けの文化だ。
だから和食が醸し出す『旨味』なるものがUmamiとして外国語になっている。元から旨味が料理の味として求め
られていたなら21世紀になって海外で『旨味』などについて語られることはなかったろう。和食料理人が和食を
広めようとして出汁の大切さを説き、昆布の重要性を説いてきたが見向きもされなかった時代があった。先人が苦
労して広めた結果が和食の無形文化遺産登録に繋がったものだと思う。
また、料理の食べ方にも大きな違いがある。和食はご飯をベースにして煮物、汁物、漬物、揚げ物、刺身などを同
時に食べる。人によってこだわりがあり煮物と刺身は同時に食べない等はあるだろうが基本的には一緒に食べる。
ところが洋食は一品ずつ食べていく。フルコースや結婚式の披露宴などの洋食コースだと一皿ずつ料理が出される。
日本人の味蕾は一緒に食べたものの味をきちんと分けたり、組み合わせたりで旨いと感じる、私に言わせれば優秀
な舌を持っている。それに比して洋食人種は味の分別能力が劣るから一品ずつ食べる。
この話、尤もらしいが本当か嘘か定かではないが、私は本当だと信じている。北王子魯山人が女性の鑑別をするの
に味蕾を見たなんて逸話もあるから・・・・・これも眉唾?
私は海外旅行に出かけることが好きだ。何日も普段は食べない料理を食べ和食が恋しくなる。和食に飢えて帰国し
て取り敢えず空港のレストランで腹を満たす。しかし、これで満足するのではない。帰宅して天日干しで干した地
元産の米を焚いて、有合せのもので食べる食事、これが最高なのである。
あーあ、やっと帰国したか・・・・最高の幸せを感じる。
ひょっとして、この感激が薄れてきたら、再び味わいたくて旅行の虫が騒ぐのではなかろうか。