なんとも色合いの悪い食卓風景である。
これは弟子が作った何作目かの昼食、師匠徳さんに贈る高血圧対策料理である。
左は味噌風味だしのそば。ナスを茹でたものと枝豆を茹でて砕いたものがのっている。
右は豚肉のスライスと長いもを油で炒めたもの。醤油味、というより他の一切の工夫はしていない。
前もって携帯でレシピを調べ作ってくれるのだが、素材には忠実であっても調味料の使い方が訓練ゼロ。おまけに味見もしない。
実際に口に入れるまでは、弟子も徳さんも戦々恐々。
案の定、そばの方はピリッとせず、ナスがナスとして生かされてない。七味をかけて乗り切った。
炒め物の方は素材の力を信じてよく噛む事によって乗り切った。
食べ終えてしまえば、うん、それなりに美味であった。
薄味の料理というものはベテランの人でも難しいはず。
味のバランスが薄味であればあるほど微妙になって当然だ。
それを味見もせず、数種の調味料を適当に投げ入れるだけなんて、わが弟子はその風貌に似合わず結構大胆な奴だったりして‥‥‥。
2ヶ月前、とある仏教書に出会ってから、急に禁酒禁煙、健康食に目覚めた弟子君。
いつの間にか酒の誘いに付き合うようになり、タバコも表立って吸ってないだけで、証拠物件をチラホラ見うけるようになっている。
師匠としてはまずまずの現況だ。