半ぐれ行政書士の徒然日記-Ⅱ

信州は小諸の半ぐれ行政書士
仕事のこと、地域のこと、様々な出来事を徒然なるままに書き記します

相続のエトセトラ~相続人の配偶者がキーマン

2005年09月27日 | 行政書士の仕事
 相続がスムーズに進むか、揉めるかのカギを握る人物が、「相続人の配偶者」である場合が意外に多い。
 例えば被相続人が父親で、その配偶者である母親は数年前に亡くなっており、相続人が子A・B・C、主な遺産が自宅土地と農地、僅かの金銭としよう。
 A・B・Cはこれまで兄弟(姉妹)仲も悪くなく、当初から兄弟で行ってきた遺産分割協議では、事実上の跡取りとして墓守をし、先祖伝来の農地を耕し生計を立てているAが土地(自宅・農地)を中心に他の兄弟よりも余計に遺産を受けることで話がほぼ決まりかけていた。
 しかし、協議の終盤Bが突然A・Cに対して、土地も金銭も兄弟が平等になるよう分割協議をやり直すよう申入れをした。
 なぜBが突然豹変したのか不思議に思いA・Cがいろいろと調べてみると、どうやらBの配偶者であるDがBの尻を叩いて『あなたも相続人として例え農地であっても法定相続分まで平等に貰えるよう権利主張すべきだ。』と唆したようなのだ。
 当然Dは相続人ではないので、自らそれを主張することはできない(偶にDがBを差し置いてしゃしゃり出る場合もないではない)が、Bと“運命共同体”であり、現在の経済状況や老後の生活設計を考えると少しでも財産は多い方が良いと判断し、Bの尻を叩いたのであろう(例えばDが遺産である農地の財産的価値を知らずに、都会の宅地並みに過大評価をしているような場合は、さらにその権利主張は強力になり最後までその意思を押し通すことになる。)。
 このようなケースで、B(とD)が首尾よく農地を取得したとしても、彼らが都会で暮らしている場合などには、相続した農地を耕作することもせずに放置し荒地にしてしまうばかりか、これまで良好な関係であったA・B・Cの兄弟関係まで荒廃させてしまう場合が時としてあるのだ。
 上記の場合、何もBが権利主張することがいけないというのでなく、Bが農地であっても遺産として欲しいというのでれば、A・B・Cの兄弟間で十分に協議し解決すれば良いことである。ただ相続という法律関係の中に、関係のないBの配偶者Dが分割協議にまで(事実上)口を出してしゃしゃり出るようになると他の兄弟が「なぜDが口をだすのだ。」と無用な反発が出て、相続問題を難しくしてしまう危険性が高くなるのだ。
 このように「相続人の配偶者」は、相続を左右する重要なキーマンなのだ。




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