ほとほと通信

89歳の母と二人暮らしの61歳男性の日記。老人ホームでケアマネジャーをしています。

エミコさん

2017-08-31 | ほとほと日記
今日は2連勤の2日目です。


朝のニュースで、軽度の知的障害者とそのお母さんの関わりが報じられていました。
明るく、前向きなトーンのレポートでした。


ふと私は、20年以上前に施設職員として出会った母子のことを思い出しました。

エミコという名前の通所者がいました。
「笑子」と書いてエミコと読みます。
エミコさんは、通所施設が開設して半年ほど経ってから入所しました。
二十六、七歳くらいで、笑うと愛嬌のある顔になりました。
ところが、周りのメンバーになかなか馴染めず、少しすると施設を休みがちになりました。


私はエミコさんの家庭訪問をすることになりました。
私が訪問すると、お母さんとエミコさんが待っていました。
お母さんは六十代半ばくらいで、エミコさんと違って痩せ型でしたが愛想の良い方で、訪問した私に盛んに申し訳なさそうにされました。
エミコさんもその場にいましたが、少し悲しげな顔をして、さかんにスケッチブックに絵を書いていました。
それは幼稚園児が描くようなユニークで可愛い絵柄でした。
しばらく話を聞いていると、やがてエミコさんの硬さも和らぎ、はにかんだように「また行く」と言いました。

多少の変遷はありましたが、やがてエミコさんはしっかり通所するようになり、中心メンバーになりました。
エミコさんにはお父さんはなく、弟さんがいたように思いますが、確かな記憶ではありません。

あれから二十年余り。
エミコさんは五十歳近く、お母さんは八十代後半だと思います。
二人は今ごろ、どこで何をしているでしょうか?
そう想うと、懐かしさの中に何とも知れぬ哀しみを覚えます。



神様。
今日一日が穏やかなものでありますように。
家族が皆、健康で暮らせますように。
友人たちが無事に一日を終えますように。
お祈り致します。


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