ほとほと通信

89歳の母と二人暮らしの61歳男性の日記。老人ホームでケアマネジャーをしています。

歴史的傑作を観て

2020-02-11 | 映画

昨日と今日は仕事はお休みでした。

 
 
今日は午後1時からNHKBSで黒澤明監督の『七人の侍』が放送されました。
 
今まで二、三回は観ているのですが、今日も観始めるとたちまち引き込まれました。
 
 
ただ、今日は休みとは言え、明日の仕事の準備をしなくてはならず、二時に職場に出かけたのです。
 
帰って来たのは四時過ぎでしたが、『七人の侍』はまだやっていました。
 
映画史に残ると言われる、最後の雨中の合戦のクライマックスシーンでした。
 
 
もともと録画をしていたので、夕食を摂りながら初めから観始めました。
 
すぐにまた惹き込まれ、3時間半、最後まで見入ってしまいました。
 
改めて、脚本、演出、演技、カメラワーク、どれをとっても途方もない大傑作だと感じ入ったことです。
 
 
昨日、アメリカ映画のアカデミー賞で、韓国作品が作品、監督、脚本、国際映画の主要部門を受賞したことが大いに話題になりました。
 
私はその作品は観ていないけれど、予告編を見ただけでも作品のもつパワーは伝わってきます。
 
近頃の日本映画からはどうにも感じられないパワーを。
 
 
率直に言って、今世紀に入った頃から、実写の日本映画で40代以上の男性が観たくなるような作品はほとんどなくなったと感じています。
 
話題になるのはアニメ映画かアイドルの恋愛映画かマンガ原作活劇ばかり。
 
私のようなオールド映画ファンからすると、わざわざ電車に乗って出掛けてお金を払って観に行きたくなる邦画作品は皆無に近いのです。
 
言わば、テレビ番組の延長のような作品ばかり。
 
そのテレビ番組と言えば、どれも過剰なナレーションと説明テロップで、何も考えなくても判るように作られています。
 
そういう視聴者向きの映画をいくら作っても、国内向けの映画賞で仲間内で褒め合うことは出来ても、初見の外国のお客さんを引き込む力のある作品が出来るはずはありません。
 
 
ただ、それが悪いことだ…とばかりも言えません。
 
私は、日本に平和な社会が続いた影響が大きいと思っています。
 
特にここ数年は、国民全体の嗜好が「女子化」して、より優して可愛くて好感度の高いものを好むようになった影響が映画作りにも表れている気がしてなりません。
 
 
 
『七人の侍』の三船敏郎も志村喬も宮口精二も強烈な面構えで、現代のハリウッドでも勝負出来るような強い個性があります。
 
そもそも今はあんな強烈な顔付きの日本人はいないし、いても人気俳優にはなれないでしょう。
 
黒澤明のイワン雷帝のような圧力のカリスマ性は、現代日本ではあっという間にパワハラ訴えされるでしょう。
 
彼らの表情の迫力や覚悟、戦闘性は、明らかに戦争体験の影響があると感じます。
 
 
中性風イケメンと秋元康グループ的カワイ子ちゃんがオタク的恋愛ごっこをする映画をいくら量産しても本家アカデミー賞には永久に無縁でしょうが、それはそれで致し方ないか…という気もしたことです。
 
 

最新の画像もっと見る

コメントを投稿