ほとほと通信

89歳の母と二人暮らしの61歳男性の日記。老人ホームでケアマネジャーをしています。

或るフレスコ画展

2012-05-30 | 分かち合い
今日の午後、JR南武線の谷保という駅から歩いて10分くらいのところで開催されている、小さな個展に行って来ました。

会場は、カトリック立川教会の国立集会所というところです。







その集会所で、「鈴蘭さん」という女性がフレスコ画の個展を開いているのです。

鈴蘭さんは、七、八年前に教会で知り合った、素敵な女性です。






集会場は小学校の教室ほどの広さですが、国立に住むカトリック信徒のために定期的にミサをあげます。

ふだんからとても静かで落ち着いた雰囲気ですが、今日は、控えめに展示されていた鈴蘭さんのフレスコ画が、さらに豊かな静謐を作り出しているようでした。





上の画は、よく見ると、海から生えている(?)樹の左の脇に、樹を押すような恰好で妖精がいます。

鈴蘭さんは、描き始めるときには、特に「何を描くか」は決めていないそうです。これを描いたときも、妖精が登場したのは、自然現象のようなものだったとか。

観た人が自由に感じて解釈すればいいそうです。この妖精は、樹にしがみついているようにも、掴って海の中を移動しているのうにも見えます。

フレスコ画は、生乾きの漆喰の上に溶かした顔料で描いていくので、技術と想像力が必要なのだそうです。

ミケランジェロの『最後の晩餐』もフレスコ画だったんですね。





鈴蘭さんは、小さなライトを持って、画を少しずつ上から照らしてくれました。

「ほら、こうすると、どんどん画の表情が変わっていくでしょ」

確かに、それまで見えなかった色や絵柄が現れてきて、キラキラと玉手箱のようです。

この個展で意識したのは、森や水の息吹き、循環だそうです。

青や緑が基調になっている画が多いのは、そのためでしょうか。


そして、もっとも重要なテーマは「精霊」でした。

精霊というのは、神様が私たちに届けてくれる霊の息吹き、賜物です。

本当のところ、洗礼を受けてもう14年になるのに、私はいまだに「精霊」が何なのか、よくわかりません。

とはいえ、私が大量服薬してから、家族や友人、お医者さんの助けを得て今こうしていられるのは、まさしく「精霊の働き」によるものかも知れない…。

私は、今回の件を経てから、少しずつそんな風に感じられるようになってきました。





精霊のシンボルはハトです。

ですから、会場には、何羽もハトが飛んでいました。






個展の27作品のうち、私が一番気になったのが、上の画です。実は、これだけがフレスコ画ではなく、油絵でした。


私の目を留めたのは、画の中央右に描かれた、人間の表情でした。






これは、苦しんでいる人の顔ではありません。と言って、取り澄ましているわけでもない。


しっかりとした意志を持ちながらも、顔を上げて光を求めているように見えます。


私には、「人の表情」がいちばん気になるようです。


子供の頃からそうだったけれど、今も変わりません。


歳を重ねると、人間から自然に関心が移る…というけれど、ますます「人心」に惑っている気がします。


そんなことを改めて感じたのでした。





鈴蘭さんのファンらしい女性が二人、ゆっくりと個展を見ていました。


感謝の気持ちを、最後に鈴蘭さんと抱き合って表していました。


私も、鈴蘭さんのおかげで、良い分かち合いができました。


























































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2 コメント

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Unknown (キャン009)
2012-06-21 13:35:47
鈴蘭さんの個展、もうひと月近く前に私も足を運ばせていただきました。
小学校の同級生。とはいっても当時も今もお付き合いはないものの、共通の友達からネット上で個展のことを聴いたので。
国立の街並みも展示されていた作品も素敵でした。
機会があればまた作品を拝見したいものです。
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はじめまして (ほとほと男)
2012-06-25 12:46:40
キャン009さん、コメントありがとうございます。鈴蘭さんの小学校の同級生ですか。鈴蘭さんはどんな少女だったのでしょうかね。きっと、ちょっと大人っぽくてお洒落でちょっと謎めいた、魅力的な子だったのでしょうね。これからもよろしくお願いします。
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