飢餓海峡
2020-05-20 | 映画
今日は仕事はお休みでした。
午後から、昨日のNHKBSでの放映を録画した、映画「飢餓海峡」を見ました。
昭和40年作の日本映画で、原作は水上勉で監督は内田吐夢、出演は三國連太郎、伴淳三郎、高倉健、左幸子などです。
3時間以上の大作ですが、中学か高校の頃にテレビの年末年始の特別枠で見た記憶がありました。
内容はすっかり忘れていましたが、見ていると「そうだそうだ」と思い出して来ました。
死者1155人を出した現代日本最大の海難事故である洞爺丸事件に想を得た作品で、超絶貧困層出身の男が、過去の犯罪歴を隠して財を成したけれど、ふとしたことから再び人を殺めて破滅する…というのが話の骨子です。
それにしても圧倒的に陰鬱でトラウマ感に満ちた作品でした。
この陰惨なモノクロ作品が大ヒットしたのですから、昭和40年の日本国民も、高度成長期のイケイケ気分ばかりではなかったのかも知れません。
出自を隠して成功した男がふとした綻びから破滅する…という主題では、「砂の器」や「ワンスアポンタイムアメリカ」などを連想しますが、主人公の陰鬱感において、三國連太郎は圧倒的でした。
撮影時まだ四十代になったばかりですが、もっと遥かに風雪を経てきたような凄味があります。
刑事役の高倉健も撮影時は32、3歳ですが、もっとずっと大人に見えます。
戦争と貧困を体験した世代の俳優の顔付きは、優しい顔だらけの現在の俳優から見ると外国人のようだ…という私の持論を強化する作品でした。
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