俺はまだ終わっていない(ウェズレイ)

普通、昨年17ゴールを決めた選手が、開幕から2試合連続ゴールを決めても、何も驚くことはないはずです。しかし、広島を戦力外になり大分に移籍したウェズレイの活躍には正直言って驚きました。

それは、昨年後半のウェズレイの失速ぶりを見ているからです。入れ替え戦の第2戦では、ウェズレイがほとんどボールをキープできず、広島は2戦合計で敗れJ2降格となりました。この結果を受けて、広島のフロントはウェズレイと契約を更新しないことを決め、ウェズレイは入れ替え戦終了と同時にブラジルに帰国しました。

ウェズレイを外して平繁をFWに入れた広島が、その後の天皇杯で準優勝の快進撃で、もう少し早くウェズレイに見切りをつけておけばという報道もあったように、ウェズレイは終わった選手のように思われていました。しかし、新外国人FW探しが難航していた大分が、昨年前半の活躍ができるならと、ウェズレイにオファーを出しました。

広島と大分の資金力の差を考えたら、ウェズレイの年俸は相当ダウンしたでしょうが、慣れている日本でプレーできるならと思ったのか、ウェズレイは大分にやってきました。大分は山崎がG大阪に、松橋が神戸に移籍してFWが駒不足です。そのため、コンディションはシャムスカ監督に見極めてもらうとして、開幕からしばらくの間だけでも活躍してくれればという計算だったと思います。

その計算は当たりました。かつて、2002年に名古屋に在籍していた頃のウェズレイは圧倒的な個人技で突破する力がありました。今のウェズレイは、少し下がり気味の位置でキープして、隙を見て遠めからシュートを狙うFWになりました。ただ、シュート技術の高さは今でも健在で、ちょっとでもシュートコースを空けると、正確で強烈なシュートが飛んできます。

おそらく、大分にとっては苦し紛れの補強だったと思いますが、この最後のチャンスに賭けるウェズレイの思いは伝わってきます。是非、大分を残留に導いて、そのシュート技術をまだまだ日本で見せてもらいたいものです。