悲しみよ こんにちは
~ポール・エリュアール~
悲しみよ さようなら
悲しみよ こんにちは
お前は天井の線の中に
書き込まれている
お前は愛する人の目の中に
書き込まれている
お前は悲惨さなんかじゃない
どんな貧しい人でも
お前の名を口にするのは
微笑みながらだ
悲しみよ こんにちは
いとしい肉体の愛
力強い
愛からはやさしさが滲み出す
形なき亡霊のように
失望した頭
悲しみ
そして美しい顔
ワタシは
ほんとうの
悲しみを
知らない
ほんとうの
喪失を
知らない
終わり
は
はじまり
そう
想って
いるから
ワタシは
悲しみに
脅かされない
それは
捉え方次第で
糧にも
なるから
悦び
の
対極に
あるモノが
悲しみ
ならば
悲しみが
訪れるたびに
ワクワクする
だろう
きっと
峠のように
1日のように
越えていった
その場所
には
悦びが
待ち受けている
筈だから
ワタシは
ほんとうの
悲しみを
知らない
よって
ほんとうの
悦びも
まだ
知らない
のかも
しれない