☆ いんくる~しぶ・は~つ ☆ 

  Inclusive・Hearts いま、ここから。

「いろんなおとのあめ 」

2010-11-21 20:58:24 | なんとなく私

下中恵子さん 読み聞かせ講座第4回

「この詩は先生が子どもたちに読み聞かせるというより
子どもたちが自由に楽しく読んで表現する詩だけどね」

と下中さん。

声に出して読んでみると、とっても楽しいのです。

   草野心平の「河童と蛙」を思い出した。

    「るんるん るるんぶ るるんぶ るるん
                 つんつん つるんぶ つるんぶ つるん」

子どもたちが踊りながら楽しそうに読んでいたのを思い出した。

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「いろんなおとのあめ 」岸田衿子

あめ あめ
いろんなおとのあめ

はっぱにあたって  ぴとん
まどにあたって   ばちん
かさにあたって   ぱらん
ほっぺたにあたって ぷちん
てのひらにあたって ぽとん
こいぬのはなに   ぴこん
こねこのしっぽに  しゅるん
かえるのせなかに  ぴたん
すみれのはなに   しとん
くるまのやねに   とてん

あめあめあめあめ
いろんなおとのあめ
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「春に」

2010-11-13 16:40:39 | インクルーシブ・ライフ 

下中恵子さんの読み聞かせ講座 第3回

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              春に
                       谷川俊太郎

              この気もちはなんだろう
              目に見えないエネルギーの流れが
              大地からあしのうらを伝わって
              ぼくの腹へ胸へそうしてのどへ
              声にならないさけびとなってこみあげる
              この気もちはなんだろう


              枝の先のふくらんだ新芽が心をつつく
              よろこびだ しかしかなしみでもある
              いらだちだ しかもやすらぎがある
              あこがれだ そしていかりがかくれている
              心のダムにせきとめられ
              よどみ渦まきせめぎあい
              いまあふれようとする
              この気もちはなんだろう


              あの空の青に手をひたしたい
              まだ会ったことのないすべての人と
              会ってみたい話してみたい
              あしたとあさってが一度にくるといい
              ぼくはもどかしい
              地平線のかなたへと歩きつづけたい
              そのくせこの草の上でじっとしていたい
              大声でだれかを呼びたい
              そのくせひとりで黙っていたい
              この気もちはなんだろう



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今まで、こんなに丁寧に詩を読んだことがあっただろうか?

と思うほど、一言一言に込められた思いを確かめながら、声に出す。

「この気持ちはなんだろう」
この1行だけでも、実感を持って、自分の胸の中の気持ちと対峙しながら読もうとすると
本当に難しい。
「ぼく」の体を突き抜けてこみあげてくる気持ち
悲しみでもある喜び、やすらぎのあるいらだち、いかりを内包するあこがれ
そのどれもが想像するのが難しい。

たにかわしゅんたろう、今までもこの人について調べたこともあった。
「朝のリレー」とか「いるかいるかいないかいるか」など教科書に載ってたから。
でも、私は何を調べていたのだろうと思う。
ひとりっこの谷川俊太郎が、幼いころはひよわで孤独だったけれど
思春期の頃から、大きく変化したという。
「突如としてわいてきた意志の力」を自覚したと「ひとりっこ」という文章で書いているという。

私自身が読んだ文章ではないけれど。

そして、詩を書き始めた18歳ごろから学校が嫌いになり
成績低下、定時制に転学したという。
大学進学の意思もなかったと。
一方そのころ三好達治の紹介で詩壇に登場する。
この「春に」は1986年刊行の詩集、「どきん」に収められている。

このころ毎年詩集を出しているから、このころの作(55歳ごろ)だと考えられる。
今も詩集を出し続けている谷川俊太郎さん。
詩集だけではなく、絵本・脚本・散文・戯曲・映像など活躍分野はかぎりない。

言葉を紡ぎ、磨き、生み出していく原動力は
いったいどこから生まれてくるのかと思った。

今まで、何を調べていたんだろう?
何を伝えてこれたんだろう?
これじゃぁなと遅ればせながらの反省をした次第。


秋ですね。

2010-11-09 10:05:39 | なんとなく私

紅葉が始まったと思ったら、
早、落ち葉の山。

今朝は阪大の林の中で
風に落ちたぎんなんを
たくさん拾ってきました。

なんだかやっぱり中途半端なわたしで
ぐずぐずしていますが

「今はそんなとき」

自分に言い聞かせながら
できることを少しずつしていってます。

いっつも「なんだかなぁ」って思います。

 


「ウソ」

2010-11-08 15:47:56 | なんとなく私

先週の金曜日の「下中恵子さんの読み聞かせ講座」の詩は「ウソ」
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   ウソ    川崎 洋  

  ウソという鳥がいます

 ウソではありません

 ホントです

 ホントという鳥はいませんが

 

 ウソをつくと

 エンマさまに舌を抜かれる

 なんてウソ

 まっかなウソ

 

 ウソをつかない人はいない

 というのはホントであり

 ホントだ

 というのはえてしてウソであり

 

 冗談のようなホントがあり

 涙ながらのウソがあって

 なにがホントで

 どれがウソやら

 

 そこで私はいつも

 水をすくう形に両手のひらを重ね

 そっと息を吹きかけるのです

 このあたたかさだけは

 ウソではない と

 自分でうなづくために           出典「日本の詩 いきる」小峰書店

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私は今までこの詩を、何回も朗読している。

なにがホントで、どれがウソやらという世の中で
確実にホントと思えるものが
手のひらに吹きかける息のあたたかさだ。
というのが
せつなく悲しい。

涙ながらのウソに翻弄されて
それでもホントと信じたくて
でもやっぱりウソで
なんかやりきれないけど
それが現実と思ったこともあった。

悲壮感のある詩ではないけれど、
「ウソという鳥がいます」
ってちゃかして始まるから救われる。


改めて読んでみて
朗読の難しさ。
つたえることのむずかしさを思った。

自分の癖って気付かないものなんだなぁ。