☆ いんくる~しぶ・は~つ ☆ 

  Inclusive・Hearts いま、ここから。

病院。。。10「最終回」

2008-08-19 09:27:06 | ともに生きる
家に帰ってから、2日目。
「トイレに行ってくるわ」と歩き始める母。

でも、立ちあがるのが難しそうなので、
低い椅子をおいて、手をつく。
もう少し高い椅子をおいて、腰を浮かせる。
立ち上がる。
歩き始める。
そして、トイレまで歩いて行った。

入院していたことは、忘れている様子。
寝たきりで、歩くことなど不可能にみえた。
痛かったことも忘れている。

意識低下で、脳から運動機能への伝達ができなかった模様。

家で笑いながらテレビを観ている母を見ながら、

「病院っていったいなんだろう?」
「病気を治すところなんじゃないの?」
「薬は何のために投薬するの?」

と疑問だらけ。

「退院してきて正解!!!!」
と自分の選択が間違っていなかったことを確信する。

でも、仕事を辞めていなかったら、退院させる勇気は出なかった。

もう一つの病院で父を看ている母には
義理の母が倒れたことは言えなかった。
「そっちに行き。こっちはいいから。。。」って言うにきまっている。
退院の2日前。
「実は~~」と打ち明ける。
びっくりする母。

とにかく二つの病院を駆け回った。
その間に雑誌の投稿の文書も仕上げたし。(これは私の宝)
学校の最後のまとめの書類も作成した。

でも、他の先生方や、子どもたちには
ずいぶん迷惑をかけた。

この間、ずっと「病院」・「医療」っていったい何かを考えていた。
母の同じ病室の寝たままの患者さん。
これから先ももっともっと老人が増える。
私も年老いる。
調子が悪いと「お医者さんに行かなきゃ」と考える。
ほかにどうしたらいいかわからないから。

病院は病を治してくれるところと思っていた。
でもそうではないんだとつくづく思った。

「寝たきり老人は作られる」
何年か前に聞いた言葉が脳裏をよぎった。

私の父は、病のために起き上がることはできなくなっていた。
それでも、最期まで意識はしっかりしていた。
寝たきりにはなったけれど、この義理の母の場合とは違うと思った。

自分がどう老いるか。
自分はどうするか。。。。これからの自分の課題。

そして「投薬」、「譫妄」、「寝かせきり」は社会問題だと思った。
そうなってしまう背景、
病床に対する看護師の数、それを定める法律。
人手不足・医療体制。薬のこと。などなど。
いっぱい考えていかなければならないと思った。
(おしまい)






病院。。。9

2008-08-16 23:12:23 | ともに生きる
結局、昼も夜もとろとろと眠り続け、食事もままならない。
日によったら、5時間の間に、目を開けたのは3回だけ。
もちろん腰も浮かせられない。
このままだったら、本当に寝たきり老人になってしまう。

かろうじて意識がはっきりしているとき、体を動かしたそうにしている。
意識低下のときは腰も浮かせられない。
痛い痛いと訴える。
でも、いたかったことも忘れているときもある。

そこで、病室の手洗い場のところまで挑戦!
約2メートル。
そろりそろりとベッドからおりた。
そろりそろりと立つ。立てた!
そろりそろりと足を出す。歩けた!
でも腰が砕ける。

そしたら、看護師さんが飛んできた。
「危ないじゃないですか!いつもお嫁さんがいるとは限らない。
一人で歩こうとしてこけて転倒したらどうするんですか!!!!」
と怒られた。

意識混濁・昼夜逆転・体が動かせないのは
絶対薬と病院のせいだと考えた私は、
退院させることにした。
お医者さんからの退院許可は出ていない。

1日でもながく病院に置いておくと、
ほんとうに立てなくなる。歩けなくなる。意識も戻らなくなる。

そう考えて、介護用ベッドを、うちにセッティングしてもらうことに。
義理の父は足が悪いので、絶対介護は無理。
これしかない。
でないと、寝たきり、療養型病院への転院しかあとがない。

そして最初の入院から16日後。
母を、まずは今まで住んでいた家に連れて帰った。
玄関マットの上で、ごろんと横になったまま動けない母。
玄関マットごと、蒲団の敷いてある部屋にずりずりと引っ張って行った。
ここまでくると、家で看ると言い張っていた父も観念した模様。
その日の午後には、うちに連れてきた。(つづく)

次回最終回。

病院。。。8 「譫妄」

2008-08-14 02:56:10 | ともに生きる
譫妄」(せんもう)という言葉を初めて聞いた。
看護師をしている卒業生から。

最近、病院で「譫妄プログラム」を組むようになったという。
睡眠薬などを投与したときによく現れる症状だそうだ。

昼夜逆転・幻覚・幻聴・意識低下・意識混濁など
もともとの病気からも、このような症状は出るそうだけど。。。

まさに母の症状そのもの。
意識低下で体が動かなくなり、救急車で搬送されたけれど
その日の午後には、意識ははっきりしてきていた。
入院して2日目には立ってポータブルトイレも使用できていた。

なのに、

入院3日目には、意識混濁。
言語障害。ろれつもまわらない。
ゴミをつまむ動作。
縫物をする動作。
虫がいっぱいおる。。。
幻覚。。。。

日が経つごとにどんどん悪化していく

昼夜逆転。夜にごそごそする。
薬を飲まされる。
昼は、まどろみから覚めない。。。。
そんな中で尿意を催したとき、衣服もおむつも全部取ってしまう。

なので
拘束衣を着せられる。
ベッドの柵を縛られる。
肩にアラームがつけられる。
(続く)
(そろそろ終わりにしようと思っているのだけれど、
なかなか最後まで行きつかない。)