今日の覚書、集めてみました

いつの間にか、10歳になりました。

ドラクマ案山子とグリギジット神話

2012-05-22 17:24:12 | Telegraph (UK)
閣下ー、閣下ー、どこいったんですかー。

Drachma scarecrows and the Myths of Greek Exit
(ドラクマ案山子とグリギジット神話)
By Ambrose Evans-Pritchard
Telegraph Blog: Last updated: May 21st, 2012
We keep hearing that Greece cannot impose exchange and capital controls – as Iceland did – to contain the damage from Drachma Day, restore stability, and prevent a devaluation overshoot.

ドラクマ・デイの被害を抑えるために、アイスランドがやったように、為替と資本をコントロールすることは、ギリシャには不可能だと言われ続けています。

We hear too that Greece would have to leave the EU if it is ejected from/withdraws from the euro.

また、ギリシャがユーロ追放/離脱となれば、EUも離脱しなければならなくなる、とも言われています。

Both assertions are wrong.

両方とも間違っていますよ。

The European Commission published a study in its 2003 EU Economic Review examining the treaty basis for exchange controls in an emergency.

欧州委員会は2003年版EU経済展望に、緊急事態における為替管理に関する条約的根拠の検証結果を掲載しました。

It concluded that states can indeed put up barriers under the Maastricht Treaty: "Among the actions that can be undertaken when a member state experiences serious balance of payments difficulties, Articles 119 and 120 EC provide for the possibility to reintroduce 'quantitative protective measures' against third countries."

結論は、加盟国は確かにマーストリヒト条約の下で管理を行っても良いというものでした。
「加盟国が深刻な国際収支危機に見舞われている際に実施が認められている対策のうち、第119条および第120条は第三国に対する『量的防御手段』を再導入する可能性を与えている」

The measures require agreement by the Ecofin council of EU finance ministers, under qualified majority vote (QMV). The can be imposed for six months, and renewed indefinitely.

このような対策を実施するには、EU財務相理事会の特定多数決による承認が必要です。
有効期間は6ヶ月で、無期限に更新可能です。

The work was prepared by a small cellule of French EU officials in Brussels for arcane purposes that have no relevance to today's events. No matter.

本研究は、ブリュッセルにいるEUの仏人当局者数名のグループが、現在起こっていることとは全く無関係な某目的でまとめたものです。
どうでもいいことですが。

As for Greece having to leave the EU. The treaties are opaque. An ECB official – who happens to be Greek – wrote a personal opinion two years ago concluding that Greece would have to leave. "Withdrawal and expulsion from the EU and EMU: some reflections, by Phoebus Athanassiou, December 2009"

さて、ギリシャのEU離脱は不可避という話ですが。
条約的には玉虫色です。
欧州中央銀行の某職員(たまたまですが、ギリシャ人でした)は2年前、ギリシャは離脱しなければならないだろうと締め括る個人的見解を記しています。
「EUおよびEMUからの離脱および除名:私の思うところ」(フィーバス・アタナシウ著、2009年12月)

"Withdrawal from EMU without a parallel withdrawal from the EU would be legally impossible," he stated.

「EUからも同時離脱することなしにユーロを離脱するのは法的に不可能である」とのこと。

Actually, the treaties are silent. He developed a series of complex arguments to infer this conclusion, largely based on the intent of the treaty drafters but also drawing on the Vienna Convention on the Law of Treaties. He is perfectly entitled to do so. We all love intellectual stimulation. The rest of us are equally entitled to conclude that this is Jesuitical.

実は、条約は何も規定していません。
アタナシウ氏はこのような結論を推測するにあたりあれこれと複雑な議論を展開しています。
主に条約の草案をまとめた人々の意図に基づくものですが、条約法に関するウィーン条約も引き合いに出しています。
彼にはそうする権利があるのは間違いありません。
僕等は皆、知的な刺激が大好きです。
他の人達にも、これは陰謀っぽいと結論付ける権利が同じくらいあります。

The paper contained a great number of assertions that I consider to be both wrong and dangerous for the democratic order of Europe. It implied that the UK can no longer leave the EU, as if it were a prison.

件の論文には、間違っている上にヨーロッパの民主的秩序にとって危険だと思われる断定が、非常に沢山盛り込まれています。
EUがまるで牢獄であるかのように、英国はもはやEUを逃れることは不可能だなどとほのめかしています。

The claim that EU states have already abandoned their sovereignty for ever – victims of Monnet creep and past deceptions, irreversible because we did not wage war to prevent each new treaty — is not one that the Daily Telegraph can accept lightly.

EU加盟国はもう永遠に主権を放棄してしまったという主張(詐欺師モネと昔の嘘の犠牲になった。新条約の成立を阻止するために闘わなかったのだからどうしようもないという主張)ですが、これは小紙が易々と受け容れられる主張ではありません。

(The claims suggest that Cameron may have been right to block the EU fiscal treaty, whatever the specific details in the text. EU ideologues will pocket concessions and turn them against you twenty years later). Be that as it may, the ECB stated: "The views expressed in this paper do not necessarily reflect those of the European Central Bank."

(このような主張は、条約の具体的詳細が何であれ、キャメロン英首相がEU財政協定を阻止したのは正解だったかもしれない、ということを示唆しています。EUイデオロギー信者は譲歩を手に入れて、20年後にはそれを武器に襲い掛かってくるでしょう。)
何はともあれ、欧州中央銀行は次のように述べています。
「本論文の見解は必ずしも欧州中央銀行の見解を反映するものではない」

The political reality is that Greece could simply retreat to a) the Polish or Swedish formula (floating currencies, with a pro-forma commitment to join the euro when the time is right) or b) the Baltic formula (ERM 2 membership with a euro-peg, presumably at a 30pc devaluation).

政治的現実には、ギリシャは(a)ポーランドまたはスウェーデン方式(時期が来たらユーロに加盟するという仮約束を伴う、変動相場制への移行)、もしくは(b)バルト諸国方式(ERM2加盟と恐らく30%ほどデバリュエーションした上でのユーロ固定相場制の導入)のいずれかを選べば良いだけでしょう。

Whether Europe's leaders would go along with this would entirely depend on the sort of government in place in Athens. If it was a loony Left coalition that used blackmail and tried to play off Russia against the EU, some might lose patience. If it was more or less responsible, the EU would find some way to keep Greece in the family. The issue is entirely political.

欧州首脳陣がこれに賛同するかどうかは、ギリシャにどのような政府が出来るかにかかっています。
脅迫したりロシアをEUにぶつけようとしたりするキチガイ左翼政府が成立するなら、堪忍袋の緒が切れる向きも出てくるかもしれません。
おおむねまともな政府ならば、EUはギリシャをファミリーの一員とし続ける方法を見出すでしょう。
これは100%政治的問題なのです。

As for EU "law", it does not exist. There are rules stemming from EU treaties. The laws are national. They must be transposed into sovereign law by sovereign parliaments before they have any validity. The term EU law is a con-trick by the great apparatus of officialdom and vested interests that have a stake in making us believe such mythology.

また、EU「法」はどうかと言いますと、そんなものは存在しないのです。
EU条約から派生する規則はありますよ。
法律は各国の法律なのです。
正当性を得る前に、各国の議会によって国の法律にされなければならないのです。
EU法という表現は、僕らにそんな御伽噺を信じ込ませると得をする、大官僚軍団と既得権者のトリックなのです。

The European Court of Justice is the biggest con-trick of all. It is a panel, not a court. We can tell the ECJ to go to Hell whenever we feel like it. One day we will.

一番の詐欺は欧州裁判所です。
これはパネル委員会であって裁判所じゃありませんから。
僕等はいつでも好きな時に、欧州裁判所なんぞ知ったことか、と言えるのですよ。
いつか言ってやりますよ。

As for Greece, let us expose all these empty threats for what they are. Greece can leave the euro without being thrown to the wolves. It can avert disaster. Once it has lanced the boil and restored a viable exchange rate, rich Greeks will bring back their capital. The Chinese will invest, so will the Russians, so indeed will the Germans – particularly the Germans. Devaluation crises are two a penny. They happen all over the world, very frequently. We have reams of clinical data and the verdict is that countries usually recover quickly.

さてギリシャですが、これらのこけおどしを暴いてやろうじゃないですか。
ギリシャは狼の群れに投げ込まれることなく、ユーロを離脱することが出来るんです。
膿が出てしまえば、そして実行可能な為替レートに戻れば、金持ちギリシャ人達も資金を国に戻すでしょう。
中国は投資してくれるでしょうし、ロシアもしてくれるでしょうし、それこそドイツだって投資するでしょう、というか、特にドイツは投資するでしょうね。
デバリュエーションなんて珍しいことじゃありません。
世界中で行われていますし、とても頻繁に行われています。
データはたっぷりありますしね。
それからは、デバリュエーションした国は通常さっさと回復する、という判断が導き出されます。

There may be hyperinflation if the Greeks screw it up but that would be an unforced error. They can impose capital controls to prevent a terms of trade shock and a drachma overshoot. They are already just 1pc shy of a primary budget surplus so it is far from clear why the government machinery would collapse. The IMF is there to help manage the transition. That is what the IMF is for.

ギリシャがへまをやらかせばハイパーインフレになるかもしれませんが、それは凡ミスです。
トレード・ショックとドラクマ急騰を防ぐために、資本規制も出来ますしね。
もうプライマリーバランス黒字まで僅か1%というところなのですから、一体全体何だって政治機構が崩壊するなんて言われるんだか、理由がさっぱりわかりません。
IMFが移行を助けてくれます。
それがIMFの仕事なんですから。

It is possible – perhaps likely – that Greece would be growing briskly again within 18 months, led by a tourist boom and by import substitution as local manufacturing rebounds.

観光ブームと輸入減少による地元製造業の復活がけん引役になって、ギリシャが18ヶ月以内に堅調な成長を再開する可能性はありますよ(大いにありそうかも)。

The danger for EMU is that Greece's trajectory may look tempting to others once the dust settles. By then Portugal, Spain, and Italy will be further into their austerity death spirals, and further into self-feeding debt deflation. Their own internal Greek tragedies — less extreme perhaps, but equally relentless — will be unfolding.

EMUにとって危険なのは、騒動が治まった後、ギリシャのやり方が他国の目に魅力的に映るかもしれないということです。
その頃までには、ポルトガル、スペイン、イタリアは緊縮政策の悪循環のもっと深い所に落ち込んでいるだろうし、自己悪化する債務デフレにも今よりはまっていることでしょう。
各国それぞれ独自のギリシャ悲劇が展開されるでしょう(ギリシャほど極端じゃないかもしれませんが、同じくらい過酷な悲劇ですね)。

It is not contagion. It is replication.

これは感染ではありませんよ。
複製です。






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2 コメント

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Unknown (ジェム派だ)
2012-05-22 23:37:44
ホント
何度目ですかね(´・ω・`)
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Unknown (陳胡痒)
2012-05-22 18:23:52
googleにスパムブログだから削除しろというクレームを垂れたバカがいて、英語しかわからん担当者がよく調べもせずに削除したとのこと。
その後、私がクレームを入れたら、日本語がわかる社員が今いないので、一両日中に調査して問題なければ復活しますという返事があった。
googleは政治的姿勢などが理由で削除することはありません、裁判所命令がある場合は除きますが、あくまでも今回はスパムブログであるという申し立てがあったことが削除の原因ですとのこと。
ご心配をおかけしました。
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