氣楽亭 日乗

大阪生まれで奈良県広陵町の長閑で氣楽な田舎暮らしの氣功師が氣ままに綴る懐かしい昭和の年代記です。

虚無僧

2006-01-13 10:23:25 | 懐かしい思い出
あの頃(昭和20年代後半から30年代初め)には未だ「虚無僧」が街に来ました。
今ではTVや映画の時代劇でしか見る事は有りません。

夕暮れの街に蝙蝠が飛び交い何処からとも無く「尺八の音色」が聞こえてくる・・・・・・
深編み笠(天蓋)に着物を着て胸には「明暗」の箱を提げ「尺八」を吹きながら街角を来る・・・・怖かった。

怖いけれど見たい。
映画の「鞍馬天狗」や「新諸国物語」などに出て来る「虚無僧」が目の前に居る。
「隠密」か「間諜」に違いない・・・
七つの顔を持つ「多羅尾伴内」の変装か?
はたまた「怪人二十面相」か「謎の秘密結社」のスパイか?

興味津々の悪ガキ連は直ぐに「少年探偵団」に成ります。
「謎の虚無僧」の後を「尾行」し隠れながら「追跡」する・・・
夕暮れの街が段々暗くなると何時の間にか「謎の虚無僧」の姿が消える。
にわか作りの「少年探偵団」の手にはおえませんでした。

ある日の昼下がり公園で野球をしていた我々は「謎の虚無僧」を見かける。
「謎の虚無僧」が「弁当」を食べていた。
「深編み笠」を脇に置いて「弁当」を食べる「謎の虚無僧」は普通のオジサンです。
なんだかガッカリしてしまいました。
「虚無僧」の顔は見ない方が好かったと思った「懐かしい思い出」です。