(1)(夕御飯の支度をしている場面で)/冷蔵庫を開けたとたん;「あれっ・・・?」と思って、(何を取ろうとしていたのかが、一瞬思い出せないんです!?)
(何を取ろうとしていたんだっけ・・・?)。・・・「あっ・・! 豆腐だった!!」)。
(トントンと2階に上がっていく場面で)部屋のドアを開けたとたん;「あれっ・・・?」と思って、(何をしに来たのかが一瞬思い出せない)。
(何をしようと思って来たんだっけ・・?)。「あっ・・! 洗濯ものを取りに来たんだった!!」)。
(2) 年をとってきて、こうした「物忘れ」の起きる回数が次第に頻繁になってくると、気になってきます。(年のせいかな・・?)と思いつつも、ちょっと気になることがあるのです。
何が気になるのかというと、「アルツハイマー型認知症」!。「物忘れは、ボケの始まり」とか、昔から言われてきたからです。
その言葉が(貴方の心の隅に)、引っかかるのです!
(3) 記憶は、「記銘」したものを「保持」して、それを「想起」してくると言う経路をたどります。
「はっきりと記憶している」とか、「すっかり忘れてしまった」とかいうことは、どの程度に記銘され、保持され、想起されるのかという個々の要素の機能レベルが影響している(個々の要素の相剰効果による)と私たちは考えています。
その中でも、「記銘」するときの『記銘度』と言う要素が、最も重要だと考えています。
海馬に集められた認知対象の情報を記銘するとき、(記銘度が高いもの)であったなら、その記銘度に応じて「長期」に保存されるし、(記銘度が低いもの)であったなら、その記銘度に応じて「短期」にしか保存されないと考えるのです(By 「二段階方式」が世界に誇る「脳機能データ」の解析結果)。
(4)「記銘」する(覚える)ときの「記銘度」が高い(良く記銘された)情報は、良く「保持」され、良く「想起」される(思い出される)のです。
このことは、「記銘」した5分後に「想起」できる程度をチェックしてみれば、直ぐに分かります。「記銘度」が高い情報ほど、想起することが容易なのです。
更に、よく「記銘」された(=「記銘度」が高い)情報は、長期に記憶されることになるのです。専門家が言うような、(海馬が「選択(?)」して、短期記憶と長期記憶とに区別している)からなどとは、考えられないのです(科学的で客観的な脳機能データによる裏付けのない、所謂、単なる憶測の類いでしかない!!) 。
(5)「記銘度」は、記銘するときの状況(「前頭葉の三本柱」の機能、就中、『注意の分配力』の機能の働きのレベル及び働き方(働きの度合い=機能の発揮度)に左右されるのです。
記憶の対象となる/認知の対象となる情報を記銘する時、「意欲」が強く作用する内容であり、「注意の集中力」が深く作用する内容であり、「注意の分配力」が大きく作用する内容(度のテーマにどれだけ多く分配の量が配分されたか)であれば、あるほど、「記銘度」が高くなるので、長期に保存され、想起しやすく、結果的に「長期記憶」となると考えられるのです。
逆の場合は、「記銘度」が低くなるので、短期にしか保存されず、想起し難く、結果的に「短期記憶」となると考えるのです。勿論、「繰り返して」海馬に送り込まれた同じような内容の情報は、繰り返された回数が多いほど「記銘度」が高くなるので、其の分、想起し易くなり、より長期に保存されることになると考えるのです。
(6) 更に付け加えると、私たち「二段階方式」の『脳機能データ』によれば、『アルツハイマー型認知症(以下、「AD型認知症」と略記する)』の発病者である場合は、MMSEの(11の下位項目中)、「想起」が最も早くから、『ナイナイ尽くしの単調な生活習慣の継続』に起因した『廃用性の加速度的で異常な』機能低下の進行という要因により、機能低下の進行が起きて来て、機能が早く衰えていく項目なのです。
そもそも、「記銘度」自体が、「意欲」、「注意の集中力」、「注意の分配力」という「前頭葉の三本柱」の機能の働き具合に大きく影響を受けます。そして、この三本柱の機能自体もまた「加齢と共に衰えていく」と言う性質を持つのです。そのため、年を取る(加齢の進行)につれて、「覚える」こと(記銘)が難しくなっていき、「思い出す」こと(想起)も難しくなっていくことは、皆さん経験済みのことでしょう。
(7) 加齢により衰えていくという両者の性質が、「正常な老化の物忘れ」と密接な関係があるのです。
(8)『前頭葉の三本柱』の機能の一つに、「注意の分配力」(①3つ以上の異なる複数のテーマを、②同時に並行して処理する為の機能)であり並びに(③内容及び覚醒度が異なる複数の意識を、④同時に並行して構築し/管理する為の機能)であり、私たち人間だけに備わっている特有な脳機能であることに注意)と言う機能があります。
上述のように、「正常老化の物忘れ」は、「記銘」するときの「記銘度」が低くなっていることに原因があります。その「記銘度」は、記銘する時の「注意の分配力」の機能の発揮度(働きの度合い=分配の量)に、大きく左右されるからなのです。
何等かのテーマを記銘するとき、同時に心に浮かんでくる他のテーマ(心配事や関心事などの、気になること)に注意がそれていたりすると、肝心のテーマに対する『注意の分配力』の機能の分配量が少なくなり、その分、「記銘度」が低くなってしまうのです。「記銘度」が低くなった結果として、その分、「保持」が難しくなり、「想起」するのが難しくなる(=思い出せない)のです。
※ 次男のところは、(3人の子供=私たちの孫)がいます。長女も長男も、東大生なのです。一番年下の孫が、東大の文一を受験。次男が受験生(文一)だったときは平気だったのに、今回だけは格別。どこで、何をしていても、『心ここにあらず‼』の心理状態の結果、やたらと、『眼鏡やスマホを探し回っている』という状態なのです。
これが、「正常な老化の物忘れ」のメカなのです。「前頭葉の三本柱」の機能、就中、『注意の分配力』の機能は、①正常な機能レベルの範囲内を保ちつつも、②加齢とともに働きが緩やかに衰えていくと言う性質(正常老化の性質)を持っているので(脳の正常な老化の過程でも、緩やかではあるが、機能が衰えていく)、記銘するときに、よほどそのことに集中出来ていないと(他のテーマに、注意がそれていると)、当該記銘対象の内容の記銘度が低くなるのです。その結果として、保持がその分難しくなり、更には、想起がその分難しくなるという訳なのです。そのメカのもとで、年をとるほど、「物忘れの症状」が、頻度を増して行き程度も酷くなって来る訳なのです。
つまるところ、それが、「正常老化の物忘れ」なのです。
ここで、一句 「物忘れ、反省と工夫が効けば、年のせい」 By Tad
(9) 『前頭葉』機能は、自分の置かれている状況を判断し、何をどのようにするかを組み立て対応する働きを持った、「意識」が覚醒下目的的な世界に於ける、脳全体の司令塔です。
「物忘れ」が増えてきて、心配になったり、日常に支障が出てきたら、「忘れたらいけない/大事なことは、その場でメモする」という習慣を身につければ、良いのです。
「AD型認知症」を発病すると、『前頭葉』の機能が最初に(真っ先に)異常なレベルに衰えて行きます。 その『前頭葉』の機能が、「正常なレベルにありさえすれば」、自分の置かれている状況(度々物忘れすることで、社会生活や家庭生活の面で、支障が起きる)を判断して、そのことを反省したうえで、適切な工夫をする(大事なことはメモをする)ことが出来る筈なのです。これさえ出来るのであれば、物忘れの症状があっても、「AD型認知症の発病の物忘れ」ではなくて、「正常な老化の物忘れ」に過ぎないのです。
(10) 認知症の専門家が言う「AD型認知症の物忘れ」とは、私たち二段階方式の区分で言う末期の段階である『大ボケ(重度認知症)』のレベルで起きてくる『極めて重度の記憶障害の症状のこと』を言います。『大ボケ(重度認知症)』のレベルになると、『前頭葉』の機能は、廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行に因り、殆ど働くことが出来なくなっているのです。
従って、「状況を適切、的確に判断」することも、ましてや、『反省に基づいた、適切な対応の為の「工夫」をすることもできなくなっている』のです。注意が他にそれていなくても、記銘すること自体が満足にできなくなっている為に起きてくるのが、専門家が問題にしている「アルツハイマー型認知症の発病としての物忘れ」なのです。上の一句をいつもあなたの財布に入れておいて、物忘れが気になったら、取り出して安心してください。
※( 追加)『AD型認知症』の発病としての「記憶障害」と『前頭葉を含む脳全体の機能レベル』との関係を説明します。
『大ボケ(重度認知症)』の高齢者の「物忘れの症状(記憶障害)」は、即ち、「AD型認知症」を発病した末期の段階である「大ボケ」の高齢者は、『前頭葉機能』は殆ど働いておらず、つまり、意欲/注意の集中力/就中、『注意の分配力』の機能が殆ど働いておらず、記銘度自体が極めて浅いレベルの記憶なのです。その結果、『直前に食事をしたことも/記銘出来ていないので、思い出せないだけ』のことなのです。
注)本著作物(このブログ A-12 に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。
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