ミツバチを飼育しているアマチュア養蜂家は必ずと言ってもいいくらい、一度はチャレンジし
たいと思っているのが蜂蜜酒(ミード酒)造りだと思います。今回、ミード酒造りに欠かせない
「発酵栓」という器具をやっと見つけましたので、実験的にミード酒を造ってみることにしまし
た。
ミード酒は人類最古のお酒とも言われているそうです。ハーブやスパイスを一緒に漬け込ん
だミード酒は血行が良くなり体が暖まり、体力回復に役立ったことからメセグリン(Metheglin)
と呼ばれ、これが薬(Medicine)の語源になったそうです。
また、古代から中世にかけてのゲルマン人は新婚直後の新婦は住居から外出せず、1ヶ
月間ミード酒を造り、新郎に飲ませて子づくりに励んだとされ、これが「蜂蜜の一ヶ月間」、
つまり「蜜月(ハネムーン)」という言葉が生まれた由来だそうです。
これだけ歴史のある、昔の人も愛飲したミード酒ですが、日本では酒税法により、個人で
造ることが禁じられています。造ると脱税ということになります。酒税法ではアルコールが
1%以上が酒類となります。そのため、今回は実験的にそれ以下を目指し、出来たミード酒
は家族だけで飲んでみることにします。
ミード酒の原料は、蜂蜜と水と酵母だけです。蜂蜜は勿論自家製の蜂蜜です。水はペット
ボトル入りの水を使いました。酵母はワイン酵母が望ましいとのことですが、手に入らなかっ
たので、白神山地で採れたパン酵母を使いました。
まずは、発酵に使う瓶を含め、全ての調理器具を消毒です。熱湯消毒の後、アルコール
でも消毒し、野生酵母等の雑菌の侵入を極力避けるようにしました。
蜂蜜400gに水1300CCを70~75℃の範囲内で15分程加熱しながらゆっくりと撹拌しま
す。温度をこれ以上上げると蜂蜜の香りが飛んでしまうのだそうです。
この途中で表面に浮いてくる灰汁を丁寧にすくい取りました。雑味の原因になるようなもの
が極力混ざらないようにするみたいです。15分加熱したら、少し冷まして発酵させるための
瓶に移します。発酵用瓶は一升瓶を使うことにしました。
一升瓶に入れた原料の温度が30℃以下となった時点で、予め予備発酵をさせておいた
酵母菌を一升瓶に入れます。予備発酵は30℃程度のお湯(30CC)に酵母約5g入れて、
約2時間発酵させておきました。
酵母投入後、少し液をかき混ぜ、酸素を供給してから「発酵栓」をします。これから発酵の
開始です。発酵が始まると一升瓶の中で二酸化炭素が発生します。これを外に逃がさない
と瓶の圧力が上がって瓶が割れてしまいます。そのために、外からの雑菌の侵入を防ぎな
がら、瓶内のガスを逃がすこの「発酵栓」が欲しかったのですが、なかなか見つかりません
でした。「発酵栓」という名称さえ判らずにいましたが、やっと入手出来たので今回の実験に
こぎ着けたということです。
発酵は2~3週間程で終了するそうです。その時点で瓶の底に澱が貯まっているので、上
澄みをサイホンで抜き取り、その時点で少々のウォッカを投入して酵母菌を殺してしまえば
出来上がりだそうです。さて、どの時点でウォッカを加えるか思案のしどころです。