目指せ!映画批評家

時たまネタバレしながら、メジャーな作品からマイナーな作品まで色んな映画を色んな視点で楽しむ力を育みます★

ヒーローショー ★★★

2010-12-28 20:48:19 | ★★★
実は井筒監督の作品って初めて観ました。よく世間で言われる岸和田少年愚連隊もパッチギ!も観たことがない人間なので、この作品だけで井筒監督という人を理解できそうにもありませんが・・・。息もできない、と立て続けに観たのは失敗だったかなあ、というのがまず一つ。更に言えることは、ややこの映画は冗長だったかな、ということ。
ジャルジャルが主演で、1人はお笑い芸人志望で専門学校に行きながらバイトを繰り返す若者と元自衛官で配管工、将来は調理師免許を取って沖縄でレストランを出そうと考えている若者があることがきっかけで巻き込まれていく事件を追う話です。

この映画をかなり高く評価する声があるのも勿論よくわかるのですが、私はどうもちょっとそれほど「傑作!」と手放しで楽しめませんでした。暴力描写が繰り返されるわけですが、そこここに出てくる登場人物の描きこみがあまりに足らずカタルシスが不足しているように感じました。もう少し出てくる人間を減らして欲しかったなあ、というのが正直なところ。あれもこれも描こうとしていて肝心の主役の2人の描きこみが足りなかった印象を受けました。役者としての技量についてはお笑い芸人なのに、凄いとは思いましたが、物語としてもう少し精緻さが欲しかったと思います。

息もできないと絡めて話をすると、暴力的な人物でも精緻に描きこめば普段暴力とは無縁の人間でも感情移入がしやすい映画にはなると思うのです。ただ、それがそうならなかったということはやはり描き方の問題なのだと思うのです。ただ、それがテーマでもないのかな。。。どちらかというとどんどん悪化していく暴力の連鎖とそのむなしさ、バカばかしさを描いていたのかなとも思います。時に人は軽薄に人を殺すし、簡単にその向こう側へ落ちてしまうものなのだ、ということについては描きこみとして凄まじいものがあったと思います。ここ最近溢れる「なんちゃって青春不良映画」とは一線を画する作品になっているとは思います。暴力なんてものはさわやかなものでも格好のよいものでもなくて、暴力を振るえば生身の人間が傷つくし、仕返しされるし、時にやりすぎたりして簡単に人が死んだりする、と。

実在の事件をモデルに映画化された、というのはこの記事を書くにあたって知りました。事件を調べて映画を思い返すとかなり実際の事件を映画にしてあるようにも感じました。
うーん、そういうバックグラウンドは観る前に知っていたらかなり印象が違ったかもしれません。誰でも手放しで褒める作品とは思いませんが、結構楽しめました。


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