ライ麦畑でつかまえて

村上春樹訳ではなく、従来の訳で読んだ。
以前なら一日で容易に読めたはずの分量と内容だが、今のおれの体調では５日くらいかけて読むのがやっとだった。とにかく集中力がない。あと読んでいると具合が悪くなってくる。あまり内容に興味がもてない。まあそれはおいておくとしよう…

『ライ麦畑でつかまえて』はティーンエージャー向けの本だと思うんだが、二十歳を大分過ぎてから初めて読んでみた。で、思ったんだけど、１６歳ってこんなに幼かったっけ？ってこと。おれが１６歳の頃はもっと大人の考え方をしていたと思う。「大人の考え方」ってのはつまり、この場合、冷めたものの見方ってことだけど。本書の主人公のように、何でもかんでも「インチキ」って楯突いて反抗するのは小学生とか中学生じゃないかなあ。あと、反抗する対象が、いまいち実感湧かないのは、たぶんこの小説の舞台がアメリカだからだと思う。「インチキ」だと槍玉に挙がる「幸運を祈るよ」なんて、日本では言わないからね。最後のホモ疑惑の先生だって、あれはとてもアメリカ的な発想だ。日本ではまず出ない。寝ているときに頭を撫でられただけでその人がホモじゃないかと疑う主人公は絶対に日本人ではありえない。そういうところで、微妙な距離感があった。

確かに、高校生のときは、例えば権威に媚を売るようなまねはしたくなかった。そういうのは腐ってる、って思ってた。でも、「インチキ」だって思うんじゃなくて、なんていうのかなあ、もっと格好よく物事を考えていたような気がする。「インチキ」って、いかにもお子様的な言葉使いじゃないか。

しかし、なかなか読ませる文体で、まあ大したことは書かれていないんだけど、調子がよければ一気読みできる本だ。ティーンエージャーのときに読んでいたら、どんな感想を持っていただろうなあ。