稽古なる人生

人生は稽古、そのひとり言的な空間

思い出「淡路島を歩いて一周しようとしたこと」

2020年09月02日 | 旅行や街角メモリー

(googlemapより)

確か高校2年生(1972年=昭和47年)の夏休みだったと思う。
夏休みも終わる頃に、なぜか急に思い立って「淡路島を歩いて一周しよう」としたのだ。
地図と言えば学校の授業で使う日本地図だけで、他に何の情報も持たず、
それでもなぜか「やる気になれば何でも出来る!」と、
リュックに米と缶詰、簡単なキャンプ道具を詰め込み、重いテントを持って出かけた。

期間は一週間の予定。「一週間あれば歩いて回れるだろう」と気楽に考えていた。
米さえ持っていけば何とかなる。確か全部で5千円も持たずに自宅を出た。
(当時の私の小遣いは月1,500円だったと記憶している)

今でこそ道は繋がっているが、当時の淡路島は完全な島である。行くには船に乗るしか方法は無い。
大阪から南海電車に乗り深日港(ふけこう)まで行き、そこから連絡船に乗って淡路島の洲本まで行った。
連絡船を下りてすぐに歩き始めた。時計と反対回りに北を目指す。

荷物は米を5合ほど。飯盒とコッヘルと懐中電灯、最低限の衣類など。
問題はテントで、米軍放出品の無茶苦茶に重いテントだった。
分厚い帆布製で支柱は木製2本、テントだけで5キロ以上の重さがあったと思う。

歩き始めて数分経って「これは容易では無い」と後悔した。
真夏の炎天下のアスファルトは歩くには不向きだ。「暑い!」というレベルをはるかに超える。
帽子を持ってなかったので途中で安いカウボーイハットを買った。
休み休み10キロほど歩いたがとうとう根をあげた。
水を飲むところが無いのが何より痛手だった。

コンビニなどまだ無い時代で水分補給がままならず、
道端には自動販売機しかなく、缶ジュースでは財布が持たなかったのだ。

もう一歩も歩けない。。。

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ここからは記憶が曖昧である。
以下は数日間の記憶である。

海岸の砂浜にテントを張った。
翌日から歩けるだけ歩いて疲れたらバスに乗った。
適当なところに降りてテントを張った。

海水浴場で海水浴も楽しんだ。
沖へ出て仰向けに浮かんでいたら、いつの間にか潮に流された。
岸を見たら、憶えている風景とまるっきし違うのだ。
驚いて無我夢中に泳いで岸に戻ったらトンでもなく遠くまで流されたようだ。
方角の検討をつけて元の場所まで歩いたがかなり遠かった。不安で心細かった。

夕暮れに、砂浜のテント脇で、ボーと海を見ていたら知らないオジサンが声をかけてくれた。
「風呂に入っていけ」と言われてお風呂に入らせてもらった。
ちょっと不安だったが嬉しかった。

バスで移動していると所持金が少なくなって来た。
飯盒飯ばかり食っていて無性に家が恋しくなってしまった。

バスで一気に洲本まで行った。
連絡船に乗り深日港(ふけこう)まで。
南海線と近鉄線を乗り継いで一気に帰宅した。
南海電車の冷房が強く、鳥肌が立つほど寒かったのを覚えている。

けっきょく3泊か4泊しただけで、へとへとになって帰宅すると
「なんやもう帰ってきたんか」と母親に言われた。
「実はバスで回った」とも言えず、口惜しさと挫折感を味わった。

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下は昔のアルバムに貼ってあった写真。


(この米軍放出のテントがやたらと重く、肩にずっしり食い込んだのを覚えている)


(米はあったが、おかずは缶詰中心、“おでん”は近くの海の家で買ってきたもの)

当時はキャンプ用のストーブなど思いも寄らず炊事は拾った木切れを薪に使った。
お金が無いので外食は一切しなかった。ファーストフードなど無い時代だ。
「飯さえ炊ければ何とかなる」と思っていた。


(googlemapで探しら、どうやら多賀の浜付近から撮影した風景のようだ)


(夕日からみて西側にある「おじんば礒」だと思うが微妙に形が違うので別の岩なのかも知れない)


(上の写真が「おじんば礒」だとすれば、この岬は「雁子岬」のはず)


(淡路島の最南端の鳴門岬、向こうに見えるのは四国徳島である)

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写真の数字の「72」から1972年、計算して高校2年生の夏休みだと考えたが、不思議なのは、
バイク(原付50cc)の免許をったのが高校1年生の12月なので、なぜバイクで無いの?という疑問。
もしかしたら高校1年の夏休みの撮影で、現像したのが翌年なのかも知れない。

それとも、バイクを買ったのがこの旅のあとなのかも知れない。
そうでなければ、当然、バイクで淡路島を一周していたはずだからだ。

淡路島は一周約150キロ。
真夏で無ければ歩いて回れていたかも知れない。
こんど、バイクで日帰りツーリングしてみようと思う。

リベンジにはならないが・・・
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