渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

トラブル不具合が起きた時の対処(2017年9月記事再掲)

2024年02月16日 | open



本業の仕事でも学業でも趣味
の世界でも、対処の仕方は同
じである。

まず不具合が出た起因を掘り
下げて正確に確定し、さらに

その根本原因を特定する。
現象が起きたことの観察は誰
でもできることだろう。

例えば銃でいうならば自動小
銃や半自動拳銃の回転不良=

=カートリッヂの噛みこみ=
ジャミングが起きたら、その

起きたことは誰でも認識でき
る。

駆けっこで走者が転んだら、
転んだことは誰でも現認でき

る。オートバイのスポーツ
ライディングも全く同じだ。

問題はそこから先だ。
なぜそういう現象が起きたの
かをまず論理的かつ理論的に

解析しなければならない。
問題発生が何に起因するのか
を当初は推定ながらも、多角
的に検証していく。

そして、その発生に至る根本
原因を探り当てて、それへの

対処法(必ず複数ある)のう
ち何が一番適切であるかを選
択していくのである。


今回、友人に進呈する頂き物
の元私所有の電動ガン(やや

こしい)の機関部=メカボッ
クスを耐久性等を考慮して

完全にノーマルに全パーツを
樹脂軸受に至るまで戻すこと

にした。
メタルギアの軸受については、
私はメタル軸受の選択搭載に
は非常に疑問がある。

これは日本刀の実用性におい
て、鉄目釘よりも絶対に竹目
釘(しかも粘って硬いという
特殊な竹。ただの乾燥竹は×)
のほうが刀剣の斬撃には適し
ているという理由にも通じる
ものがある。

電動ガンのメタルギアの軸受
は絶対にメタル軸受やベアリ
ング軸受よりもデルリン®等
の工業樹脂製の軸受のほうが
トラブルが少ない。


今回のトラブルの症状は、突
然ギアがクラッシュではなく

固着停止し、逆転防止ラッチ
が深くベベルギアの逆転防止

溝に噛みこんで前にも後ろに
もまったく回転しないという

状態が発生した。
旧式メカボックス(略称メカ
ボ)には三種類のギアがある。



セクターギア:ピストン下部
のギヤに噛んで円運動を横運
動に変換してピストンを後退
させるためのギア。sector
(扇形)になっており、ある
位置まで回るとピストンを最
後方まで押し下げてそこから
ギアの歯車がない部分が空回
りすることでピストンはスプ
リングの力により前進する。

ピストンとシリンダーの構造
は注射や水鉄砲と同じである。

耐荷以上の負荷がかかった場
合、このセクタギアが破損す
ることによりメカボ全体の重
篤な破壊を防止することがで
きる。

従って、材質はホワイトメタ
ル等の「損耗しやすい」材質と

なっており、ここにステンレ
スギア等の強化パーツを使う

のは別な問題を惹起させる可
能性がある。


スパーギア:spur(拍車)型
の二重ギアでモーターからの
動力回転が伝えられたベベル
ギアの回転を異なるギヤ比で
減速させてセクターギアを回
すための重要なギア。文字通
り、ピストンの後退運動に拍
車をかけるためのギアで、焼
結高硬度素材で製作されてい
る。


ベベルギア:bevel(傾斜)の
名の通り、モーター先端の円
錐状の形状のギアの回転をや
はり同じアングルで傾いたギ
アで受け止めて動力を伝達し、
同じベベルギア内に設置され
た別歯車でスパーギアに動力
を伝える。スパーギアと同じ
くすべて円運動であるが、斜
めの回転を平面回転に返還さ
せると同時に減速させてスパー
に効率よく回転力を伝達する
ための重要なギア。高硬度金
属素材で製作されている。

また、トリガーを放した時の
ピストンの停止の際に、ギア
に逆転の負荷がかかって逆転
させないための「逆転防止溝」
も備えており、そこに逆転防
止ラッチが噛みこむことでギア

全体の逆転を防止している。


今回のトラブルの根本原因は
M90不当ピッチスプリングに
あった。
ピストンが後退してスプリン
グがたわんだ時に、何かの拍
子にスプリング自体が他部品
に噛みこんでロックし、その
際に同時に逆転防止ラッチも
深くベベルギアの溝に噛みこ
んでしまうという因果関係の
連続状態によってギアがロッ
クしてしまうということが不
具合の中身であった。
それの対処についてはいろい
ろな方法があるが、私は3種類
の選択肢のうち、以下をまず
試した。

⇒線径の太い不等ピッチの度数
 が少ないM90相当のバネ係数
 のスプリングに交換する


一発で症状がまるっきり解消し
た。
不当ピッチスプリングは多くの
サードパーティーが発売してい
るが、バネ全体の本体径やバネ
自体の線径などは極めて重要な
要素なのであった。
また、スプリングストロークも
とても大切で、長めのスプリン
グはそれだけ縮んだ時にたわみ
が出やすい。
そのたわみをピストン内部直径
との同調性やスプリングガイド
の円錐状のテーパーの径などで
シャキッと補正できる相性であ
るならばよいのだが、そのバラ
ンスが崩れると、スプリングが
暴れだして他の周辺パーツに噛
みこんでしまうのである。
するとギアがロックする。

このスプリングによるギアロッ
ク現象は、電動ガンでは多く発
生していたようであるが(私は
未経験)、今回アドバイスをも
らった先輩においても、逆転防
止ラッチを解除したらギアのロ
ックが解放されて後退停止した
ピストンが前進して正常状態に
戻る、という現象は経験したこ
とがないとのことだった。
推測だが、ほぼ同時に二つの不
具合状態が同時多発的にそれぞ
れ因果関係を持ちながら発生し
ていたのではなかろうか。
たぶんコンマ何ミリかの歪みに
よるギアロック現象だったのだ
ろう。

しかし、これが正しい。これが
正確なメカボックスの動きであ
る。
そこで無理やり強力な力で強引
に歯車を回転させようとしたら、
ギヤだけでなく他の部品も交通
事故の衝突事故のように損傷す
る事だろう。
グッと止まるのは、それはそれ
で不具合状態を知らせるのだか
ら、それのほうが正解というこ
とであるのだ。
ゆえに、強化ステンレスギアな
どを組み込んで、強力なスプリ
ングで無理矢理回すなどという
昔極悪銃とよばれた電動ガンの
作り込みの方向は、私は明らか
に機械の安全性確保の面では間
違っていると思う次第。
車が衝突しても潰れないように
ガチガチに固めましょう、とい
うのではなく、車のボディが
破損することで乗車人員を守れ
る。
バイクのヘルメットにしても、
帽体が破損して衝撃を吸収する
ことによって人体頭部を保護で
きる。
電動ガンのメカボックスも同じ
ようなことがいえ、すべての部
品を超硬質合金部品とする方向
性は「チューンナップ」ではな
いと断言できるのである。トイ
ガンの場合は。
安全回路として、一部が部分的
に壊れるような設計思想や組み
込み構想が不存在のまま、ただ
やみくもにサードパーティーか
ら販売されている高硬度金属パ
ーツを搭載するのは、改悪であ
りチューニングでもチューンナ
ップでもない。

私も1990年代初頭から電動ガン
を持って相当な年月が経つが、
今回、スプリングの在り様は
非常に大切であるということ
を改めて認識した次第にて。

今回の交換前不等ピッチM90SP。
この状態の見た目上では判らな
いトラブルが潜んでいた。


適正スプリングに交換後の初速。
何が適正かは、経験的な勘所に
より、「予想推測」にて組み込
んでみて試すしかない。


無知な者も知ることにより一つ
無知から脱する。

今回は、まさにそれだった。


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