渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

友帰る

2023年10月24日 | open



友は船で来て船で東京さ帰る。
空には秋のうろこ雲。

大阪生まれ育ちの奴と茶しば
いている時、旧友の船旅の話
をした。
そいつも大型乗りで、北海道
にもよく行ってた奴。
「船は旅費浮かすなら雑魚寝
二等船室でいいしな」と言う。
「おんめ、学生時代じゃねぇ
んだからよ~。この歳でそれ
はちょいときついぜ。俺らの
歳考えろよ(笑」と言うと、
「それはそうだ。俺も大学
時代の事を思い浮かべて言っ
てたわ~。いかさま、左様に
御座
る」と言ってた。
そういや、船便でのバイク旅
というのは、私は高校生の時
以来やってない。
それ以降は横浜から広島往復
などもすべて陸
路だった。

東京の旧友に都内から北海道
ツーリ
ングに行くときの予算
を訊い
た。
するとやはり一週間予定では
最低で25万要る
との事だった。
宿泊先を民宿
やゲストハウス
にしてそれ。
そこらの海外旅行よりもずっと

高いじゃん(笑
一番かかるのが船便の運賃だっ
た。

てことは、広島から毎年北海道
に行ってる乗り仲間とか、毎年
北海道往復だけで数十万使って
るんだろうなぁ。
それに、やつらは毎月のように
九州阿蘇まで走ってる(笑
ほんとの「走り=マイライフ」
というようなライフスタイルだ。
モーターサイクルを生活の中心
に据えている。二人とも通勤も
毎日二輪だし、両者とも二輪は
数台持っていてローテで乗って
いる。

オートバイ乗り、変なの多い(笑
ただの「趣味」とかの領域を
越えている連中がわんさかい
る。
BORN TO RIDE というのが単
る標語ではなくて実生活が
それ
そのもののような種族。
かなり多い。
まあ、世の中、人はそれぞれ
だけどさ。

「またいつかどこかで」
これ、二輪乗りは初めて会った
相手でも
別れ際の定番台詞だが、
これ
はさりげなくカッコいい。
さらりとスマートで。
でも、乗り屋はてらいなく自然
に言う。
一つのオートバイ乗りの文化
だろうなぁ。
すれ違いざまにも、乗り屋同士
は「ヤエー」などではない挨拶
を交わす。
それは軽くメット越しに会釈
したり、静かに手を挙げたり
する。
これは古く、半世紀以上前から
あった日本独自のオートバイ
乗りたちの文化だ。

オートバイ乗りたちは良い空気
出してると思う。
それね、何だか武士同士がすれ

違う時に軽く会釈して「御免」
というのに共通するものがある
ように私には思える。
シカトの無視という礼を失する
事はしない、というような。
日本独自のオートバイ乗りの
そうした文化
側面は、とても
ジェントルマン
的良質カルチャー
だと思うよ。

「静寂なる事を学べ」と言い遺し

たのは釣聖のアイザック・ウォ
ルトンだったが、そうした心の
文化がオートバイ乗りにはある。
ピンクドラゴンの高橋誠一郎
店長のハーレーのタンクには
ウォルトン
の言葉が英語で書か
れていた。

「静寂なる事を学べ」
この言い表す世界観は、かなり
空気と心が
澄んでいる。
その透徹さの一部をオートバイ
乗りたちは獲得しているように
私には思える。



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