NHK「こころの時代」で2003年11月に放送された番組の再放送(アーカイブ)は、
今年2023年1月12日に 93歳で亡くなった加賀乙彦さんの追悼でした。
犯罪心理学の学者であり、精神科医で、作家。
『湿原』を、ずっと前に読みました。
加賀乙彦さんが、晩年になってなぜカトリックの信仰を持ったのか、
ずっと知りたいと思っていました。
その謎が解けました。
キリスト教(聖書)の知識がいくらあっても、それは山を眺めているだけ。
信仰とは、1歩踏み出してその山に登ること。
58歳のときに、カトリックのK神父を、軽井沢の別荘に招き、質問攻めをした。
3日目になって、質問することがなくなり、K神父に、洗礼を受けてもいいですよ、と言われ
妻と共に1987年12月24日に受洗。
13歳の時、名古屋の陸軍幼年学校で学び、軍国少年として成長するも、
16歳の時に敗戦を迎えた。
その時大人たちが、一夜にしてその主義主張を変える=変節するのをみて
信念をもつとは、どういうことか疑問をもつ。
1979年『宣告』を出版。
これは死刑囚Aとの16年にわたる交流・文通を元に書いたもの。
Aはカトリック信者になっていて、死を前に静謐な姿で、哲学的思索もしていた。
K神父に導かれた。
加賀乙彦はK神父からフランス語を学んでいたこともあり、親交を深めた。
Aとの出会いは、大きな影響を与えた。
100パーセントイエス・キリストを信じることが出来て、
今まで知らなかった別の世界が見えるようになったという。
聖書の言葉が、いままでとは違う意味をもって聞こえる。
親鸞の弟子が書いた『歎異抄』が、より深く分かるようになったという。
加賀乙彦さんが、大きなくりくりとした目で語ることをお聞きして、
やはり真理は一つなのだと思いました。
目が開かれ、耳が開かれ、見えないものを見るように生きる。
信じる者となって、喜びが湧き、明るく人生を生きられることを知ったという。
まさに、同感です。
この放送は、78歳の時のものですが、
ご自分の信仰に入ったその道筋を、とても簡潔にお話くださったと思いました。
ずっと知りたかったことを、知ることができました。
1998年に書かれた『永遠の都』を読んでみたいです。
メタセコイア並木と池 (よしみさんからお借りしました)
静謐(せいひつ)という言葉が浮かびます
心静かに 平安な日々の貴さを思います。