1日1日感動したことを書きたい

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ヴィクトリア アンド アルバート美術館所蔵 浮世絵名品展

2008-01-20 17:47:53 | 美術館
 今日は、神戸市立博物館で開かれている「ヴィクトリア アンド アルバート美術館所蔵 浮世絵名品展」に行ってきました。ヴィクトリア アンド アルバート美術館所蔵の浮世絵160点が展示されていたのですが、保存状態がとてもよくて、浮世絵の鮮やかな色づかいと、繊細で細やかな筆づかいがとてもよくわかりました。
 歌麿も春信も魚屋北渓もよかったけれど、やっぱり僕は、北斎と広重の浮世絵がすごいと思いました。
 遠景の富士と中景の大浪と近景の波。大浪の上を櫓だけで進んでいく船と船にしがみついている人たち。北斎の「神奈川沖浪裏」からは、私たちをとりまく世界の奥行きの深さと厳しさと、それと対峙しながら生きている人間の営為とがしっかりと伝わってきました。「凱風快晴」も「山下白雨」も、とてもいい絵でした。「凱風快晴」の、富士の赤と山裾の緑。青い空と白い鰯雲。この色づかいはすごかったし、緑の色と赤の色の微妙な変化を見ていると、風によって靄が少しずつ晴れていく富士の姿を感じるとることができたように思います。
 山裾での雷と黒い富士、頂上に行くにつれて晴れ渡っていく赤い富士。「山下白雨」この対比も素晴らしいと思いました。北斎のこの三つの浮世絵は、日本の美術館でも見たことがあるのですが、今まで見たものの中で、一番美しかったです。
 広重の、画面からはみ出した富士山も印象的だったし、輪郭線を用いないで色の濃淡で遠近を表現した手法も、すごいと思いました。浮世絵を見ていると、北斎も広重も、西洋の遠近法をよく知っていたのだと思いました。展示の最後のほうで、ゴッホの「夜のカフェテラス」の構図にそっくりな広重の絵が出てきて、色づかいも構図も光の表現も、たしかに浮世絵は、印象派の画家に影響を与えたのだと納得しながら会場を後にしました。ほんとうにおすすめの展覧会です。


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