1日1日感動したことを書きたい

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人生の黄昏時だから、なおそう思います。

「わが教え子、ヒトラー」

2009-07-26 13:11:11 | 映画
 本日もひきこもり生活中。「わが教え子、ヒトラー」を見ました。これも、おもしろかったです。

「政治=組織」と「個」と「家族=愛」と。三つの関係の中で苦闘し、引き裂かれ、軋み音
をあげて生きている人間の姿が、とても印象的な映画でした。

1944年12月。廃墟となったベルリン。ドイツ帝国の総統でありながらも、帝国の
勝利を信じることができなくなったヒトラーが、この映画の一人の主人公です。
彼は、幼いころ受けた父親からの虐待のトラウマに苦しみ、部屋に引きこもったま
ま、国民の前で演説することさえできなくなっています。

そんなヒトラーを前に、宣伝相ゲッペルスは、廃墟となったベルリンを映画のセット
で飾り、100万の民衆を動員して、総力戦にむけた演説を1945年の元旦に、ヒト
ラーに行わせようとします。

そしてもう一人の主人公。大衆の前で演説する気力を喪失してしまったヒトラーに
大衆の心を打つ演説の仕方を教えるために、収容所からユダヤ人演劇家アドルフ・
グリュンバウムが連れてこられます。彼は、家族の収容所からの解放を条件にヒトラー
の教師になることを引き受けるのですが、彼の心は、ユダヤ人虐殺の張本人であるヒト
ラーに協力すべきなのか、チャンスを見て暗殺してまうべきなのかという葛藤に揺れ
動きます。

主人公の心の葛藤を、「善き人たちのためのソナタ」のウルリッヒ・ミューエが好演
しています。僕が、このDVDを選んだのも、彼の演技が見たかったからなのです。
この映画を撮ったあとで、胃がんで亡くなられたのですね。残念。

不眠症のヒトラーが、「愛がほしい」「孤独なんだ」と泣き崩れる姿、
ヒトラーを暗殺できない優柔不断な父を非難する息子うや妻の姿、
ヒトラーを殺せば、家族全員が殺されてしまうのだという主人公の姿。
そして映画のラストシーン。

ヒトラーやユダヤ人グリュンバウムの葛藤は、決して人ごとではなくて、生きていく上で、
僕たち一人一人が直面しなければならないものなのでしょうね・・・コメディータッチの映画
だっただけに、なおさら重たい。




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